[ネコマタ日和] トピック

2011年01月21日
21:14

にゃんだふる☆DAYS

ネコマタ姉妹たちのほのぼのとした日常の1シーンを書いてみました♪

書き込み

1番~3番を表示

2011年
01月21日
21:14

第一話「おままごと」①

「おままごとして遊びたいよ~」
「ん……したいの」
 とある昼下がり。胡桃と若菜がそんなことを言い出した。
 末っ子であるこの二人はまだまだ幼く、遊びたい盛り。他の姉妹たちも胡桃と若菜には特に甘く、猫かわいがりしていた。だからそんな二人の提案を断るはずもなく、
「いいよ~♪」
「まぁ、暇やし、うちも構わんで~」
 ちょうどその場にいた桃と山吹が笑顔で頷いてくれた。
「んー、でもこの面子やと、ちょっと寂しいなぁ。うん、みんなも呼んでこよか!」
「みんなで遊ぶと楽しいもんね♪」
「ん、楽しいね」
 山吹がみんなを呼びに行き、ほどなくして姉妹全員が部屋へとやって来た。
「遊ぶって聞いたよ~♪ あたしも混ぜろー!」
「あ、あたしは別にどっちでも良かったんだけど、山吹がどうして一緒に遊びたいって頼むから、その……」
「まぁまぁ賑やかですね~。それで何をして遊ぶんですか?」
「ん、おままごとしたいの」
 若菜の言葉に桃と山吹を除く姉妹全員が顔を見合わせた。
「おままごと? 勇者ごっこじゃないの? ちぇっ」
「ふふふ、おままごとなんてするの、いつぶりかしら?」
「演技は、苦手だ……」
 姉妹全員が思い思いの反応を返してくるが、反対意見が上がることはなかった。
 こうして、ネコマタ姉妹全員でのおままごとが始まったのだった。

2011年
01月21日
21:15

第一話「おままごと」②

「それで、誰がどの役をなさるのでしょうか?」
 藍がしずしずと尋ねる。
「はいはーい、あたし魔王がいい!」
 すると、それを待っていたかのように空が元気よく手を上げた。
「杏はあたしの犬ね」
「えぇっ!?」
 わいわいがやがや。誰がどの役をやるかで部屋が騒がしくなる。
 みんな思い思いの役を言うが、出てくる登場キャラがバラバラすぎて、まとまりがない。
「このままだと、なかなか決まりそうにないですね」
 菫がため息交じりに苦笑する。
「……子供」
 すると今まで黙っていた新緑が胡桃と若菜を指差して言った。そのまま指は白と黒へ。
「お母さん、お父さん」
「あらあら~、黒さんがお父さんで、私がお母さんですか♪」
「お父さん言うな」
 そのまま新緑の指は菫、空へ。
「お姉さん、お婆ちゃん」
「あら、私がお姉さん? えっと、白お姉さんの妹ってことになるのかな?」
「小姑だー! 苛めてやるぞー♪」
「山吹は、訪問販売に来た人」
「商売人かいな。うちにぴったりやない♪」
「桃ねえさんは、お婆ちゃんの介護に来てる人」
「えぇ?! な、なんかマニアックだね~」
「藍はナレーター」
「お任せくださいまし♪」
「あ、あたしは? や、やってあげるんだから、まともな役にしなさいよねっ」
「……子供」
「ちょ、なんか投げやりじゃない?!」
「きっと考えるの面倒くさくなったんやで……」
「っぽいね~」
「……これで、終わり?」
「あれ、ボクは?」
「…………ポチ?」
「えぇっ?!」
「あはは、犬だ犬~♪ ここ掘れわんわん♪」
「ちょ、空おねえちゃん、止めてよ~」
 じゃれあう空と杏を脇目に、桃がハッとした顔で新緑を見る。
「あ、そういえば、緑ちゃんは何の役をするの?」
「……?」
「緑ちゃん、自分の役決めてないよ?」
「……何でもいい」
「ん、私たちのお姉ちゃん」
 若菜が新緑の服の裾を掴んで言う。
「……ん」
 こうして全員の配役が決まったのだった。



≪配役一覧≫
母→白
父→黒
子供→胡桃、若菜、茜、新緑
母の妹→菫
お婆ちゃん→空
お婆ちゃんのヘルパーさん→桃
訪問販売員→山吹
ポチ→杏
ナレーター→藍

2011年
01月21日
21:16

第一話「おままごと」③(終)

――それはある家族の夕餉の一幕でございます――

「お腹空いたよ~」
「空いたの……」
「あらあら、もうちょっと待ってね。今、お母さんが作ってくれているからね♪」
「え、も、もう始まってるの? え、えっと、ふんっ! 早く作って持ってきなさいよね!」
「……三人とも、黙って、待つ。お父さんを見習って」
「む……」
――読んでいた本から、チラリと顔を覗かせた黒あね様はお父さんと呼ばれることに、まだ抵抗があるのか、複雑そうな表情を浮かべていました――
「もう少しで出来ますよ~♪ 菫さん、ちょっと手伝ってくださるかしら~」
「あ、はーい」
――菫あね様はチラリと子供たちを一瞥すると、そのまま白あね様のいる台所へと入っていきます――
「あぁ、桃さんや。ワシはお菓子が食べたいんじゃ。今すぐ持ってきてくれるかのう」
「もう、お婆ちゃん。これからご飯なんだから我慢しないと」
「ご飯まで待てないんじゃ。さ、早く持ってきておくれ」
「わ、わんわんわんわん(は、恥ずかしいよ~)」
「ぷ、ぷぷぷ……外でポチが吼えておる」
「お邪魔するでー」
――戸を開けて入ってきたのは山吹でした――
「あら、お客様?」
――白あね様が台所から顔を覗かせました――
「奥さん奥さん、今日はこれがお値打ち品やで。高級そうなチョコレートや」
――そう言って、山吹が出したのは、え、あれって……――
「お~、チョコレートだぁ♪ あたし食べたーい!」
「あれ、でもこのチョコレートって……」
「ご主人の棚に置いてあったんを持ってきたんよ。一杯入ってるし、ちょっとぐらい食べてもばれへんって」
「でもいいのかなぁ……」
「わ、わんわん(だだ、ダメだよ、勝手に食べちゃ!)」
「ほら、ポチも食べたいって言ってる! 一個ぐらいいいじゃん~」
「わ、わん?!」
「んー、白お姉さん、どうします?」
「そうですね~」
――白あね様はみんなの顔を順に見ていき、顔には出さないものの、みんなチョコレートを食べたがっていることに気づきました――
「あら、藍さんも食べたかったのね(くすっ)」
――あ、いえ、わたくしは、その……話を進めるために、えっと――
「じゃあ、いただきましょうか。あとで私からご主人様に言っておきますね。大丈夫、ご主人様なら笑って許してくださりますわ♪」
「やったー!」
「チョコレート、食べたいの」
「やーん、いい匂い~♪」
「ちょ、押さんといて! チョコは逃げへんって!」
――チョコレートの箱を奪い合うようにして、みんなで大騒ぎ――
「甘~い♪」
「あ、これアーモンド入ってる♪」
「美味しいの」
「美味しいね~」
「美味だな」
――箱の中には色々な種類のチョコレートが沢山。みんな思い思いのチョコレートを選んでは頬張っています。あ、美味しいです――
「あらあら、みんな大はしゃぎですね~。じゃあ、私はこれをもらおうかしら♪」
――白あね様が手に取ったのは、アルミ紙で包まれた小さなチョコレートです――
「あ、本当に甘くておいし――」
――白姉さま?――
「ぽーーー」
「む、なんだ白。私の顔に何かついて――」
「黒さ~ん♪」
「ちょ、白?! な、何を?」
「なんだかぽかぽかして、とってもいい気分なんですよ~。ほら、黒さんも食べましょう?」
「は、離せ。こら、どこを触っている! や、やめ、ひゃいっ!」
「ふふふ~、可愛いお声~♪ 黒さんはとっても敏感ですのね♪ じゃあ、こことかここなんかも~?」
「くっ、あ、し、白、止めろ。んぅ!」
「我慢する顔が可愛い~♪ なんだか私、いけない気分になってきちゃいそうです♪」
「ちょちょちょちょ、ちょっとー! 子供たちの前で何してんのよー!」
「あら、茜さん。夫婦ならこれぐらいのスキンシップ、別に構わないじゃないですか♪」
「うわうわうわ、い、いいのかな?」
「おー、なんだか面白そうだー。プロレスごっこなら、あたしも混ぜろー」
「あっ、胡桃ちゃん、若菜ちゃんは見ちゃメッよ!」
「なんか、えらいことになってもうたなぁ……」
「わん……(誰か止めなくていいのかなぁ)」
――はっ! 山吹! そのハリセンを!――
「ん? あぁ、任せとき!」
「うふふ~♪」
「~~~~っ(ぷるぷるぷる)」
「ええ加減にせんかいっ!」
 スパコーン!
――山吹のハリセンが暴走した白姉さまの後頭部を直撃いたしました。これで白姉さまも正気に……――
「あら、山吹さん、いきなり何をなさるんですの?(ごごごごごご)」
「え、あ、えっと、藍ちゃんがな……」
「問答無用です!」
「ちょ、止め、あはははははははっ、こしょばい、こしょばいって! あかん、降参、降参や!」
「もう無茶苦茶じゃない……これのどこがおままごとなのよ……」
「でも楽しいよ~」
「ん、楽しいね」
「…………ん」
「ぐすっ」
「あら、胡桃さん、どうしました?」
 山吹をこしょばせていた手を止めて、白は涙を浮かべて鼻をすする胡桃と若菜のところへ駆け寄る。
「みんな、揃って、こうして笑っていられるのが、嬉しくて、ぐすっ」
「ん、みんなと一緒がいいの、ぐすっ」
「胡桃さん……若菜さん……」
「あ、あいつには感謝しないとね。バラバラだったあたしたちを集めてくれたんだから」
「そうですね。随分苦労をかけてしまったのかもしれません」
「みんなでお礼言えばいいやんか。でも、その前に散らかったこの部屋を片付けないとあかんね」
「あ、あはは……ゴミで一杯だね……」
「片付け面倒くさいー」
「空、ちゃんとしろ」
「あ、ご主人、帰ってきたよ!」
「みんなでお出迎えしましょうか♪」
『はーい!』
――こうして、私たちの日々は穏やかに過ぎていくのでした。おしまい。あぁ、私も参ります! 待ってくださいませ!――

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