[悠久の旋律な日々] トピック

2013年11月19日
23:32

シルフィーヌ クロニクル オンライン

日記に上げた小説っぽいものです。
よかったら読んでください

書き込み

1番~9番を表示

2013年
11月19日
08:50

『不思議な少女』


ここはウォーターレイヤーの海底洞窟
一時間おきに水温が変わるという不思議な海流が流れる以外は、
訪れるものもめったにいない平和な時間が流れる場所。
ここに住まうものは皆、温厚な性格の持ち主で、
仲間思いで助け合って生きていた。
めったに訪れるものがいないとはいえ、
ここにも冒険者はまれにやってくる。
その冒険者から守るために、
守護者が守ってくれているとはいうものの、
それでも被害はゼロではなく、
多くの者は人を嫌っていた。
ある日、海底洞窟に人の姿があった、
人に警戒するその場所に、
ペールゴールドでツインテールの少女が一人、
気持ちよさそうに泳いでいた。
彼女は周りからは警戒されていなかった、
むしろ、いつもと変わらぬ空気を漂わせていた。
「わかりません、でも気が付いたらこの姿になってました。」
彼女はシーホースに話しかけていた。
シーホースは彼女に向かって、
何かを訴えかけた、
「私でも驚きました、ですが後悔はしていません。」
彼女はその訴えに答えていた。
何かもめているような雰囲気だが、
シーホースは彼女を心配しているのだろう、
何かを必死に訴えかけているようだが、
彼女も一歩も引き下がらないでいる。
「今日のところはこれくらいにしませんか?
 私は後悔はしていないのは本当ですから、
 このままでは時間が過ぎ去るだけです。」
しばらく言い争ったあと、
彼女の方から口喧嘩を打ち切った。
基本的温厚な雰囲気が漂う海底洞窟に、
珍しい口喧嘩は彼女の一言で、
やや不穏な空気を残したまま終わりを告げた。

2013年
11月19日
08:50

『二人の訪問者』


海底洞窟に不思議な少女が現れてから、
四ヶ月が過ぎようとしていた。
相変わらず平和な時間が流れている毎日だった。
少女はこれまで、
水中にいることが多かったが、
陸にあがっても無事に活動できることを知ったようで、
最近はよく地上に出ては、
チュンチュンやヤドスラッグと、
のんびり遊んでいる。
そんな日々を送る中、
二人の少女が彼女のもとに現れた。
「ほう、ここにもアルマがいたとはな……」
黒いローブを身に纏い、大きな鎌を携え、
空中に浮遊した少女が彼女を見て声を漏らした。
「あの、アルマとはいったい?」
彼女は見知らぬ少女が言ったアルマという言葉を問い返した。
ほとんど人が訪れることのない平和な地であり、
彼女が知らないのは当然のことである。
「すまぬ、自己紹介が先であったな。
 我はデス。そなたと同じアルマ・モンスターだ。」
デスと名乗った少女は、
自分がアルマ・モンスターだと説明するが、
彼女にはわからなかった。
「そして私はスモモだよ、
 デスとは違って私はネコマタなんだ。」
もう一人の少女はスモモと名乗った、
スモモは自分をネコマタだとつづけた。
「えっと、私はシーホースです。」
シーホースはデスとスモモに挨拶を返し、
浮かんできた疑問を続けた。
「あの、アルマ・モンスターって何ですか?
 それと、ネコマタっていったい?」
シーホースは知らないのだから、
当然の疑問と言えるだろう、
デスはにやりとしながら答えた。
「アルマ・モンスターとはお主や我のように、
 モンスターでありながら人に興味を持ち、
 人の心と姿を得た者の事だ。
 お主にも心当たりがあろう?」
デスの説明はやや難しいものだったが、
シーホースには心当たりがあった。
「ネコマタはネコの魂が人の心に惹かれて
 この世にとどまった子の事だよ。」
スモモと名乗った少女の説明を聞いたが、
シーホースはデスの答えた言葉が、
頭から離れずにいた。
それを見透かしたかのように、
デスはシーホースに告げた。
「お主が人について興味があり、
 人になりたいと願うのであらば、
 ここより南にある塔を下りて、
 アクロポリスを目指すといい。」
デスはそういうと踵を返して去っていき、
スモモはそのあとをあわてて追いかけて行った。
途中、スモモがデスに何か言っていたようだが、
シーホースには聞き取れなかった。

2013年
11月19日
08:52

『追放と旅立ち』


(お主が人について興味があり、人になりたいと願うのであらば、
 ここより南にある塔を下りて、アクロポリスを目指すといい。)
デスとスモモと出会ってからというもの、
シーホースの頭からは、
デスの言った言葉が離れなかった。
ある日の出来事から、
シーホース自信、人に興味があったのは事実であり、
その事実がこうして、人の姿と心をあたえたのだった。
心というものがどういうものなのかはわからなかった、
分かるはずもなかった。
いままで、意識して考えたことがなく、
言われるまで気づかなかったからだ。
ただ、シーホース自信、他のシーホース達と、
自分とは姿以外に何かが違うことは感じていた。
シーホースは毎日のように悩んだ。
ここで今までのように暮らしていけば、
自分がどうなってしまうのか?
外に出て行ったらやっていけるのか?
外に出たらこの心というものがわかるのか?
期待と不安がシーホースを支配していた。
そんなシーホースをほかのシーホース達は、
心配そうに見つめていた。
ある日、海底洞窟の守護者・クルウルウ・ゼロは、
悩むシーホースを呼び出した。
「私を追放とはどういうことですか?」
クルウルウ・ゼロは厳しくも優しい目でシーホースを見つめ、
シーホースの疑問に答えた。
しあし、その答えは決してやさしくはなかった。
「そうですか…… わかりました。」
シーホースは逆らわなかった。
海底洞窟ではクルウルウは絶対的な存在で、
逆らえばそれは死を意味したからだ。
故郷を追放されたシーホースは、
デスの示した道、ウォーターレイヤーから南を目指すことにした。
その背中をクルウルウ・ゼロは祈る思いで見守っていた。

2013年
11月20日
00:33

『天まで続く塔』


産まれてからずっと、
ゆったりとした海底洞窟で過ごしていたシーホースにとって、
外海の壮大さや変化の激しい凪ぎと時化、
そこに生きる様々な魚たちの弱肉強食の厳しい世界、
そのどれもが新鮮かつ壮絶な刺激となって襲っていた。
時には色とりどりの魚たちと一緒に泳ぎ、
時には巨大な魚に追い回されたり、
時には生きるために小さな魚を獲るなど、
半月もの時を泳ぎ、ようやく天高く聳え立つ塔までたどり着いた。
陸にあがった直後、緊張の糸が切れたシーホースは、
そこで気を失って倒れてしまった。
気が付いたのはそれから二日後の船の上だった。
看病してくれたマーメイドにお礼をして、
塔に向かったシーホース、
彼女の前に、塔を守護するマーメイドが二人、
彼女の行く手を遮った。
「人の姿となっても、私たちと同じ故郷の君が、
 遠いところはるばる泳いできた所申し訳ないが、
 ここは通すわけにはいかない。」
最近、冒険者の通行が多くなったとはいえ、
この世界では塔から侵略者が現れるという、
古くからの言い伝えが浸透している。
そのため、おいそれとは通してはくれないようだった。
「私はここを下りてアクロポリスというところに行きたいのです。」
泳いで旅をしてきたシーホースには、
その目にはもう迷いの色はなかった。
「どうしても通るのか?」
マーメイドの問いかけにシーホースは強くうなずいた。
その強い意志に観念したのか、
マーメイドは道をあけた。
重厚感のある扉は、鍵穴に触れた途端に、
重々しく開いていき、
中は広々としていて、中央には大きな穴が口を開いていた。
シーホースは効いた通り、
入ったすぐのコンソールパネルを操作しようとした。
が、そのコンソールパネルは難しくて、
どれを押せばいいのか見当もつかなかった。
「あら? どうしたの?」
困っていたシーホースにの紫色の髪をツインテール風に結わえた
アークタイタニアの女性冒険者が声を掛けてきた。
「この塔をおりたいのです。」
それを聞いたアークタイタニアの女性は、
にっこりとほほ笑みシーホースの頭を撫でた後、
慣れた手つきでコンソールパネルを操作した。
途端にフロア全体が降りはじめたかと思うと、
次の瞬間にはもう止まっていた。
「ついたわよ。ここがエミル世界よ。」
扉から出た風景はさっきまでいた風景と、
さほど変わってはいなかったのだが、
澄んで静かなだった空気が、
活発で生き生きとしたような空気に変わっていた。
その空気の違いが、
別の場所に来たんだという実感が沸きざるおえなかった。

2013年
11月20日
00:33

『正体を知られる』


アークタイタニアの女性の好意で、
無事に塔を下りることができ、
さらに目的地であったアクロポリスまで送ってもらい、
空港に着いたところで女性と別れた。
アクロポリスに来たシーホースは、
しばらくあたりを散策して回っていたが、
時間が過ぎるにつれて人の気配がなくなり、
ついには誰もいなくなってしまった。
そこへちょうど良いところに噴水があったので、
周りに誰もいないのを確認してから、
噴水に入って、元のシーホースの姿に戻り水浴びをした。
海水ではないので多少の違和感があったが、
それでも水中で暮らしていたので、
水浴びは心が休まり気持ちのいい物だった。
「お、お前は一体……」
突然、背後から声が聞こえた。
油断してて気づけなかった存在に驚き、
とっさに人の姿にもどった。
「人の姿になれるのか?
 お前は何者なんだ?」
シーホースは見られてはいけないものを見られてしまった。
自分がモンスターだと知られれば、
周りの人達に討伐されてしまう。
「アルマです……」
これから起こりうるであろうことに、
物事があまり把握できずに、
自分がアルマであることを正直に言ってしまった。
「アルマ…… アルマか……」
よく見れば年のころ40といったところだろう、
貫禄があり、いくつもの苦難を乗り越えて来ただろう、
商人風の男がそこに立っていた。
「アルマよ、お前はこのアクロポリスに来たのはなぜだ?」
商人風の男はシーホースに問いただした、
その男の言葉は重みがあり重圧感が漂っていたが、
今すぐシーホースを退治するような感じではなかった。
「私はヒトに興味を持ってここに来ました。
 私はヒトになりたいのです。」
商人風の男にシーホースは正直に答えた。
商人風の男はすぐには答えずにしばらく考えた後、
「ならば私がお前の面倒を見よう。
 私がお前を人として導いてやろう。」
思いもよらない言葉が返ってきた。
しかし、ここで断ればこの先何が起きるかわからない。
シーホースは商人風の男に従うことにした。
「私はウォレデだ。」
シーホースはウォルデと名乗る男について行くことにした。

2013年
11月20日
00:34

『ゆずれないねがい 前編』


シーホースがウォルデのところに引き取られ、
言葉づかいや作法などを叩き込まれ、
迎えた月はいよいよ6月、
アクロポリス中にはあちこちで男女のカップルが、
楽しく笑い合って過ごしていた。
そんななか、シーホースはウォルデに黒の聖堂裏に連れ出された。
「私に息子がいるのは知っておるな? アルマよ」
ウォルデの息子というのは、ウィリアムの事だろう、
シーホースは何度かあったことのある人物だ。
もちろん直接話もしたこともある。
「その息子と結婚するのだ。
 逆らえば、どうなるかわかっておるな?」
シーホースはウォルデの言葉に逆らわなかった。
シーホースはこのウォルデに従っていれば、
人になれると思っていた。
「すこしよろしいでしょうか?」
先ほどの話を聞かれていたのだろうか?
アークタイタニアの全身真っ白といっても過言ではない女性と、
黒い傘に黒いドレスの少女と、
白いネコ耳としっぽのタイタニアの少女がいた。
(この方はあの時の……)
シーホースは真っ白なアークタイタニアの女性に見覚えがあった。
シーホースに話しかけて来た三人の少女たちは、
シーホースがアルマであることを知っていた。
そして、シーホースをある場所に連れて行きたいと言っていたので、
シーホースはその三人について行ってみることにした。
通されたのは大きな飛空庭で、
シーホースと同じくらいの子供たちが、
シーホースを見るなり近寄ってきた。
「この子たちもあなたと同じアルマ・モンスターですよ。」
この言葉にシーホースは驚いた。
シーホースはアルマ・モンスターは自分と、
であったデスという少女だけだと思っていたからだ。
集まってきたアルマは、
黒い服と翼のダークフェザー、
青い服と茶色の耳としっぽのバウ、
緑色の髪にかわいい花の髪飾りをしたシャボタン、
重たそうな着物とふさふさの尻尾をしたローキー、
やんちゃ盛り素直じゃなさそうなバルルだった。
皆、アルマであることを証明するように、
元の姿に戻った。
それにつられて、シーホースも元の姿に戻る。
この時、初めてシーホースは、
自分だけじゃなくて他の子もアルマがいることを悟った。
「私はブランと申します。
 そして、こちらがイセリアさんとミナヅキさんですわ」
シーホースを連れて来た三人の少女達が、
シーホースにあいさつした後、
ブランと名乗った少女が続けた。
「単刀直入にお尋ねします。
 貴女は結婚ということはご存知ですか?」
シーホースはその言葉を聞いたのは、
ついさっきの事である。
ようするに、言葉の意味を知らないのだ。
「貴女はお相手の事をどう思っておいでですか?」
ミナヅキが代わってシーホースに質問をした。
シーホースとって相手のウィリアムは、
自分を引き取ってくれた旦那様のウォルデの息子で、
出会ったら少し話をする程度の相手なのだ。
シーホースは正直に答えると、
「シーホース様の相手となられる方にお会いしてみます。」
とミナヅキがイセリアとブランと一緒に庭を下りて行った。

2013年
11月20日
00:35

『ゆずれないねがい 後編』


しばらくして三人は戻ってきた。
「はっきりと申しますわ、
 貴女には結婚は早すぎます。」
三人は相手のウィリアムを見てきたのであろう。
話しを聞くところによると、
ウィリアムはこの結婚には納得してないとのこと、
どうにかして辞めさせられないかと考えていたところ、
テスというウィリアムの従者が庭にあがってきて、
結婚式を偽装し、その間にウィリアムを連れて逃げるといいだした。
そして、その企てをすべて自分がしたことにしてほしいと。
テスという少女の決意は固く、
その提案を受けた三人は、
偽装結婚の計画の準備に取り掛かった。
ノーザンの秘薬を使えば、
他人に成りすますことができるらしい、
ウィリアム役をすることになったのはイセリア、
その結婚役をイセリアはミナヅキを選んだ。
ブランはシャノワールという妹と共に、
ノーザンへ秘薬を取りにむかい、
残ったミナヅキが自分自身の話をしてくれた。
「私は守護魔・ミナヅキといいます。
 この季節に生まれる絆を守護するための守護魔です。」
しかし、ミナヅキの服装は黒く、
どこかさみしげな雰囲気があった。
ミナヅキの本来の姿は、
幸せに満ちた明るい姿ではあったが、
実らなかった思いを引き取るのに、
その姿では背負いきれないので、
今の姿になったといった。
薬の準備も終わり、偽装結婚作戦を開始した。
アミスといっていた女性の不慣れな進行の元、
順次うまくいっていた。
誓いのキスのところで、シーホースは胸に痛みが走った。
この痛みがなんなのかはわからなかった。
「旦那様がいませんわ!」
ブランの言葉にあたりを見回してみると、
息子の結婚式だというのに、ウォルデの姿がどこにもなかった。
偽装だとばれてしまったようだ。
あわてて探してみると、
ウォルデは息子のウィリアムと従者のテスの行く手を遮っていた。
酷く激怒したウォルデは息子のウィリアムを外出禁止にし、
テスにもひどく叱りつけた。
しかし、シーホースはウォルテに槍を構え、
「二人の道を阻むならわたくしは旦那様とて容赦はしません!」
と、シーホースはウォルテに向き直った。
その姿に心を打たれたウィリアムは、
初めて親に反抗し、テスを妻に向かい入れて、
自分だけの力で父親のような商人になると決意をぶつけた。
その決意を見せられたウォルデは、
過去の自分と重ね合わせ、
ウォルデはウィリアムとテスの恋を認めて旅立たせた。
ウォルデはシーホースに自由にするように伝え、
そのままその場を後にした。

2013年
11月20日
00:36

『自分の想い』


シーホースはアミスが先生を務める学校がある庭にまねかれた。
ここではアルマ達が人の事を勉強するために、
ネコマタと守護魔たちが見守る中、
一生懸命に頑張っているところだ。
現在ここにはアルマが5人いる。
ダークフェザー、バウ、シャボタン、ローキー、バルル、
みんな、シーホースがここに来ることを快く迎えてくれた。
人としての勉強ができるということで、
シーホースには興味があったのは事実ではあったが、
シーホースには心残りがあった。
「シーホースちゃんっていうの?
 これからよろしくね。」
アミスは手を差し伸べてきたが、
シーホースはその手を受け取ることができなかった。
「どうしたの? シーホースちゃん?」
シーホースの事を心配したアミスは顔を覗き込んだ。
人になるための勉強は興味があるし、
誘ってくれるのはすごくうれしかったのだが、
シーホースは迷っていた。
つい、何気にシーホースはイセリアの顔を見た。
(このお方はやっぱりあの時の方、
 ここでこんな形でお会いできるなんて。)
その様子を見てたミナヅキは、
「あの、アミス先生、
 シーホースさんをイセリアさんに任せてみるのはいかがでしょう?」
それは意外な提案だった。
アミスはもちろん、他のアルマ達も驚いた。
「イセリアさんなら大丈夫ですわね。」
ブランもミナヅキの言葉に賛同した。
シーホースは二人の言葉を聞いて、
イセリアのもとに歩いた。
「私、貴女と一緒に居たいです。
 貴女と一緒に行かせてください!」
シーホースの強い決意を受けたイセリアは、
彼女の手を取り微笑んだ。
シーホースははちきれんばかりの笑顔になった。
「シーホースちゃん、イセリアさんと行くのは並大抵のことじゃないわ?
 イセリアさんは冒険者だから、
 とってもとっても危険なのよ?」
アミスの心配はごもっともである。
イセリアはダンジョンに潜り、
モンスター達と戦う危険と隣り合わせの冒険者、
場合によっては命さえ危ういのである。
しかし、シーホースの決意は固かった。
「わかったわ、シーホースちゃん。
 イセリアさん、シーホースちゃんを頼むわね。」
シーホースは満面の笑みを振りまいた。
「よろしくね。シーホース。」
イセリアが手を差し伸べて微笑んだ。
シーホースはその手を取り微笑み返した。
「よろしくお願いします。旦那様。」
他のアルマ達は一緒に学ぶ友達が増えると思っていたようで、
残念な表情を浮かべていたが、
自分の意志を伝えて笑顔になったシーホースを見て、
一緒に祝っていた。
「旦那さまって…… 私、女なんだけどなぁ……」

2013年
11月25日
01:07

『新しい名前』


シーホースが冒険者のイセリアと行動を共にして数日、
冒険の合間にいろいろと人について教わりつつ、
一緒にモンスター退治にもいったりした。
海底洞窟でののんびりとした生活とは一変、
常に危険と隣り合わせの緊張の連続だった。
しかし、本当に厳しい場所では、
共に歩くことはなく、家で留守番する日々も珍しくなかった。
シーホースは留守番するたびに、
イセリアともっと傍にいたいと願い、
どうしたらいいのか悩んでいた。
そんなとき、
「いつまでもシーホース・アルマってのもあれだし、
 私が新しい名前をあげる。」
イセリアから手渡されたものは、
シルフィーヌとかかれたネームプレートだった。
シーホースはイセリアからシルフィーヌという名前をもらった。
最近分かった事なのだが、
シーホース・アルマはこの世界に何人も存在しており、
同じシーホース・アルマはまるで
鏡を見ているかのように瓜二つなのである。
アミスの学校にも最近になって、
別のシーホースが入学し、実際にあってきたところなのだ。
「シルフィーヌ…… それが私の名前……」
思いがけないプレゼントに少し困惑したが、
シルフィーヌはうれしかった。
しかし、名前をもらうとより一層、
イセリアの傍に居たいという気持ちが強くなるのが分かった。
シルフィーヌはここ数日の留守番中、
自分なりに方法をいろいろ調べた。
自分がイセリアと行動するにはユニオンという、
絆をより深く結ぶ儀式を用いること、
ユニオンとして精進し、主人と絆を深めることで、
より強くなれるということがわかってきた。
シルフィーヌも進めてみたのだが、
イセリアはそのままでもいいよと、
なかなか認めてはくれなかった。
それでもなお、シルフィーヌは諦めきれなかった。

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