渡り鳥 第一話 下
素早い動きで、僕を狙わずに、モンスターはマトに襲いかかる。
マトの前に躍り出た僕は、もう駄目だと思いながら、前に突き出した2本の剣がモンスターも貫いており、後型もなく消滅していた。
溜息が出るぐらいに腰を下す。
「マト、もう大丈夫……」
「あんたのその職っていったい何?剣を二つ持って、戦える職なんかなかったはずだけど……」
「あーこれ? ソードマスターって言うグラディエーターからのテクニカルジョブっていう職みたい」
「特徴的なスキルが両手に武器が装備できるってこと、つまり、二刀流ってことと、装備条件の合う武器であれば剣と斧を装備できることも可能。」
「今回は楽なクエストだと思っていたけど、キートがいなければどうなってかわからない……お礼は帰ってからね。」
僕らの今日のクエストは終わった。
しかし、問題となる点は、僕の今の職でもある。
ソードマスターも他のグラディエーター職のテクニカルジョブは言ったものの、現段階では僕だけがソードマスター職にジョブスイッチできたことと通常のダンジョン内ではありえない。
モンスターの出現、仮にドペッルゲンガーとなずけた。
モンスターの行動自体はほぼオリジナルコピーであり、行動パーンも同じようにも思える。
仕事の後の一杯は格別であり、マトの間の手から開放感、そして、一人でコーヒーを啜るひと時、ほんとにしあ・・・
「なぁに――、黄昏てるの! あんたは?」
僕の目の前に少し大きめの袋が置かれる。
「これはなんだい?」
マトはにっこりと笑う。
「今日の報酬よ また今度も頼むわね」
袋の中には、たんまりのゴールドと紙の切れ端が入ってる。
切れ端にはこう書かれてあった。
『新愛なるキートへ 言葉に書けないから手紙にするけど、キートがクエストに参加してくれなかったら今の私は無事ではなかったかもしれない。
助けてくれてありがとう。 今度も期待してるよあんたの腕に……マトより 追伸 今度はキートから誘いなさいよ!』
「まったく、マトらしい手紙」
コーヒーカップに残った量を口の中に流し込む、苦みと渋みを覚えつつ、天井をぼっーと見上げる。