仕事から帰ってきて、夕飯作れないのでサンドイッチ買って
モグモグしながら左手でペチペチしていたらこの時間。。。
でも、どうしても書きたかったので、後悔はしてませんっ!
やっと最終回です。
ほぼ思い通りに書けました。
思い残すことは何もありません・・・
みなさま、本当にありがとうございました。
では・・・
梅雨が明けた。
ココロが晴れた。
スナオになれた。
そして次に訪れるのは夏。
そして次に出会うのは幸せ。
最終話。 はじまります。
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『仲良しグループ 恋の閉幕』
改札をくぐる。目の前の待合室は気だるそうに携帯をいじる高校生が数人たむろしていた。私たちはその高校生を横目に駅の入り口に向かう。小さな駅のため入り口は正面ひとつだけ。田舎はわかりやすくて好きだ。それに温かい雰囲気も、外の喧騒も車や雑踏ではなく自然の奏でる音だったりそれに空が広い。私は駅舎から出てまず大きく深呼吸する。
「うわぁ・・・。変わってないなぁ。」
「そうだねぇ。でも久しぶり。空気美味しいなぁ♪」
「お、ドトールできてるぜ。意外に変わったのか♪いっちょまえに駅前みたいだな。」
「あはは、ひどいなぁ。それより早くいこ?」
「あぁ・・・って、オイ引っ張るなって!」
私たちは駅を後にして歩き出す。久しぶりの光景は全てが懐かしくて、けれど時折見かけるちょっとした変化が新鮮で歩くのが楽しくなる。程なく歩き見覚えのある建物に辿りつく。そこは、私たちが3年間過ごした場所。そして私たちが・・・・・・。
「入ってもダイジョウブカナ?」
「今夏休みだしいいんじゃね?」
「それじゃ・・・」
「「アソコ行く?」」
二人が同時に発声し、その後ふたり顔を見合わせ思わず吹き出す。
「もう、おかしい~♪」
「いやいや、めちゃめちゃ気が合ってんだろ?やっぱ運命なんだって。」
「その運命を断ち切ろうとした人は誰ですかねぇ?ん~?誰ですかねぇ?」
「ソレ言うなよ。ったく、行くなら行こうぜ。」
「・・・あっ、ちょっと先行かないでよぉ。」
校門をくぐり、校舎の裏へ向かう。北校舎を回りこむように歩くとソレはすぐに目についた。古い桜の樹、恐らくこの学校でイチバン・・・。
「あった・・・。あったぁ!まだあったよ!」
「お、ホントだ。」
「懐かしいなぁ・・・。ここで私、告白したんだよ?フラれたけど。」
「言うなよ・・・。でも俺も告白しただろ?フラれなかったけど♪」
「今では新しい伝説になってるんだゾ?」
「えっ?!」
「お?!」
私たちは声のする方に振り向くと、そこに立っていたのは
「ミキぃ~!」
「おかえり、ちはぁ♪おひさだよー!」
仲良しグループの一人ミキ。そして、
「よっ・・・。久しぶり。どうだ?10年ぶりの地元は。」
「おう、いつまで経っても田舎で安心したぜ。ソウタ。」
ソウタ君だった。10年ぶりに仲良しグループが復活した。思い出の場所で伝説の桜の樹の下で。
ミキと約束した次の日、俺は学校に着くと ちは の手を引き、この場所に連れ出した。そこで、今度は俺の口から自分の想いをぶつけた。素直に偽りのない本当の俺の気持ちを。
そして傷つけたことを詫びた。ソレを聞いた ちは は笑顔で涙を流した。晴れて二人は恋人という関係になった。そして1年後、俺は東京の大学へ進学する。そして ちは は東京の専門学校へ進路を決める。大きな人生の節目の連続だった。初めての上京、一人暮らしから同棲、そして大学を卒業し俺は小さなIT関連の会社に就職した。ちは は学校の卒業制作でデザインした子供服が目に留まり、子供服のデザイナーとして子供服メーカーに就職した。そして、久しぶりにまとまった休暇が取れたので帰省したわけだ。
「どうよ?東京の生活は。」
「ん?あぁ、まぁ可もなく不可もなくって感じか。仕事が思ったより忙しいからな。楽しむとかそんな余裕ねぇなぁ。」
「ほぉぉ?その割には・・・」
「っ!って、それよりオマエらどうなんだよ?」
俺はソウタの何かを企んだときの目を見逃すわけもなく、とっさに話を振る。だってそうだろう?何年の付き合いだと思ってるんだ。ソウタはチェッと小さく舌打ちして
「まぁなぁ、こんな田舎じゃドラマチックな事なんて何にもねぇよ。」
「ほぉぉ?その割には・・・」
「って!オイ!その流れデジャヴったぞ!」
「あはは。」
「それよりカケル・・・明日、大丈夫なんだよな?」
「勿論だって、そのために休み取ったんだからな。」
「サンキュ」
「お互いさま・・・ってか俺ら親友・・・だろ?」
「だったな。」
俺とソウタは肩を組んで、お互いの拳をコツンと当てる。
私はミキに駆け寄ると思いっきり抱きついた。それはもうマンガの世界で言えば身体が水平に上がっているような感じ?そしてミキの頬ずりしながら彼女の名前を呼ぶ。
「ミキミキミキ~っ♪」
「あぁん!こぉら、子供じゃないんだから・・・もうお化粧崩れるぅ・・・。」
ミキ成分を十分補充した私はハグを解除する。そして、さっき聞いた言葉の意味を尋ねる。
「ねぇねぇ、新しい伝説ってなに?」
「あぁ、そうそう。雨の日に赤い傘を持って好きな人に告白するとね、悪戯好きの桜の精が邪魔しちゃうんだって。」
「えー!?それってダメじゃん。」
「でもね。それには意味があって・・・。」
「意味?」
「そ♪その夜に、赤い傘は赤い糸になって、本当の運命の人とを結ぶんだって。そうすると、次の日赤い傘は無くなってて、代わりに本当の運命の人から告白されるんだってよ?」
「ほぇ~・・・って、赤い傘?えええええええええええええええ!!!!」
「そういうことよ♪よっ、伝説の人!!」
ミキは私の額をツンと突いてウィンクする。私とカケルの告白劇が学校の伝説になっちゃうなんて・・・。なんだかコソバユイ。それから私たちは桜の樹が見える木陰に座って昔話に華を咲かせる。
「ミキ?それじゃそろそろ行くか。」
「あ、そうだね。」
「お、もうこんな時間か。」
いつの間にか結構時間が経っていることに驚く。
「それじゃ、明日な。」
「おう。」
「明日、楽しみにしてるよ。」
「まかせといて♪」
『じゃあ、また明日っ!』
昔の決まりセリフを全員が口にする。
同じ声で
同じ速さで
同じタイミングで
そして、
同じ笑顔で。
俺とちはは実家へ向かう。見慣れた道、交差点、そして懐かしい曲がり角。
「ただいまぁ。」
俺は玄関を開けて、昔のように声をかける。しかし・・・
「おかえり~!パパー、ママー!」
出迎えは親父でもお袋でもなく、【俺たちの天使】。
「お?いい子にしてたか?おじいちゃんとおばあちゃんの言うことちゃんと聞いてたか?」
「うんっ!あたし、いい子にしてたもんっ!ねー?おばあちゃん。」
すると奥からお袋が出てくる。
「ごめんな、お袋。ムリ言っちゃって。」
「いいのいいの。おかげで東京見物もできたし、お父さんと一緒に旅行なんて何十年ぶりだもの。それにこんな可愛い孫と一緒なんて、カケル。あなた最高の親孝行だわ。」
「ほんとうにすいません、お義母さん。」
「もう、ちはちゃんまでっ。気にしないのよ。あなた達もお友達に会えた?」
「ええ。」
すると、カケルに抱き上げられていた娘が私に向かって、
「ねぇねぇ、ママ?明日はお出かけ?」
「そうよ。明日はね、パパとママの大事なお友達が王子様とお姫様になるのよ。」
その日は、まるで世界に青色以外の色が存在しないんじゃないかと錯覚するほどの澄んだ空。雲ひとつない、どこまでも青の世界。それはこの物語が始まったあの空を忘れさせてしまうくらいの。
今日で仲良しグループの恋の歌劇は幕を下ろす。
しかし・・・
恋は絆に変わり舞台は教会。
パイプオルガンの調べとともに第二幕の幕が上がる。
Fin Heureuse
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