ちょこっとリアルで色々あってご無沙汰だったECOに戻ってこれた感じのYUNIKOです!
さてさて・・・
随分と間が開いてしまったキサラギとトーコのお話。
久しぶりに再開です。
・・・忘れちゃってますよね?・・・・・・ですよねぇ(汗
というわけで、
diary_164216まとめページのリンク・・・です><
でわでわ久しぶりのアヴァンを・・・
キサラギに見せられたティタの記憶エミルの過去。
衝撃的な真実にトーコが口にした言葉は「腹立つぅ!」
けれどそれは本心ではなくて。
この気持ちを誰かに伝えたくて。
第25話 はじまります。
------↓↓本文↓↓------
第25話 ココロの欠片 ~ティタ復活篇1~
ランチタイムも終盤に差し掛かりテーブルから下げたお皿を厨房へ運んで洗い場へ。そこで私は小さな溜息をひとつ。
「トーコちゃんお疲れさま。昨日休んじゃったから今日はいつもよりお客さん多いねぇ。」
お皿を流しに入れると、手を拭いて次の料理をプレートに載せる。
「ですよねぇ。この時間にまだ料理してるマスター久しぶりに見ますよ~」
「あ、それ4番テーブルね。」
「はぁい・・・っと・・」
「あ、トーコさんごめ~ん、マスター!パスタランチ1つとリゾットランチ1つ入りま~す。」
「はいはーい・・・あ、トーコちゃんランチセット、アウトにしといてくれるかい?」
「は~い!」
いつもよりかなり忙しいランチタイムはこうして過ぎていった。
昼の大波が過ぎたのは、いつものランチピークよりかなり後だった。ディナータイムのための中休憩のクローズボードを入り口に立て、私達は遅めのランチをとる。
「そういえばですけどぉ、何気にトーコさん髪型変えましたよねぇ♪それってそれってぇ、紹介状の髪型ですよね?」
バイト仲間に尋ねられた。
「そうそう、俺も最初見たとき別人かと思っちゃったからねぇ。トーコちゃん、どういう心境の変化?あ、もしかしてカレシとかできた?」
「えー!?そーなんですかー?誰ですか?あ、時々店に来るアノ人ですかぁ?それとも・・・ま、まさかベリアルさまですかっ?!」
二人は興味津々と言った感じで私の顔を覗き込む。私は一瞬ドキッっとするが、それはすぐにチクッと胸を刺して消える。スープの入ったカップを手に取り、澄ました顔でスープを一口飲み、
「違う違う、これは単に気分転換したかっただけだよ。知り合いから紹介状もらってね、ニーベルングさんのトコ行って・・・。」
などと、他愛もない会話を楽しみながら束の間のランチタイムは過ぎていく。キサラギからティタの記憶だという映像を見せられて1週間、特に何かが変わったことはない。キサラギも最近は前ほど私にべったりというわけでもなく、今日も私のバイト先であるココに憑いてきていない。あの夜、記憶を見せられたあの後・・・
『んなぁにやってんのよー!ティタ!信じられないっ!腹立つぅぅぅぅ!』
『ちょ!トーコなんでそーなるの?!』
『だってそうでしょ?あんな風に・・・自分の命と引き換えにエミル君を生き返らせるとかさ。反則じゃないのよ。』
『トーコはどうしてそう思うの?』
『だって、あんな風になって自分が生き返ったって知ったらさ、きっと私だって誰だってエミル君だってティタのこと忘れないでしょ!いつまでもティタの事は心に残るでしょ?そりゃ死んじゃったんだから決して良い思い出ではないけど・・・それでも、ティタの命が自分の中にあるんだって思ったらさ・・・きっと他の誰も好きになれないよ・・・。』
『なんで?』
『だって、裏切るみたいで・・・。』
『なるほど、それでトーコはエミルとかいう坊やに見えない切れない鎖で心を縛ってしまったティタにムカついたんだ?』
『ム、ムカつくっていうか・・・ズルいなって・・・。』
『ふうん。なるほどねぇ・・・。じゃあトーコはさ、諦めちゃうんだ?それとも、戦争に行ったドミニオンの小僧を待ってるつもり?』
『な・・・諦めるとか待つとか・・・その・・・別にそもそも好きとか・・・』
『あ~、ハイハイ。そうだったわよね、トーコってチキンだったよね。』
『ちょ・・・』
『いいのいいの。あの記憶を見せたのは、ぶっちゃけ反則に近いわけだし。普通は体験できないし知り得ることのできない人の記憶なんだから。混乱しても色んな感情が生まれても全然おかしくないの。だからトーコ?ちゃんと受け止めなさい?整理して、理解して、信じて、受け止めて。そして考えなさい。私も暫くは用事が出来ちゃったからさ、トーコの傍にずっと居られないけど、逆にその方がアナタのためにもいいでしょ?』
『・・・・・・うん。』
というやり取りがあったのだ。
「信じて・・・受け止めて・・・考えなさい・・・か。はぁ・・・。」
「あー、トーコさん何ですかぁ?その訳ありって感じの溜息っ!アンニュイって感じ?あっ!私ピーンって来ましたよ!これ恋ですね?私の恋愛脳がセンサーがビビッと来ましたよ!」
バイト仲間のリーンが獲物(おもちゃ)を見つけた猫のように瞳鋭くトーコを見る。トーコはつい零れてしまった言葉にしまったと後悔したが、時すでに遅く心の暇を持て余した悪戯好きな子猫に今か今かと睨まれてしまっている。すると、
「よし、昼休憩終わりっ!ごちそーさま!」
マスターが食器を重ねて立ち上がる。
「えー。マスターこれからイイとこなんですよぉ?ちょっとヒドくないですぅ?」
あからさまに不満を顔と声にしてブーイングするリーン。そして、マスターの行動にホッと胸を撫で下ろす私。マスターはリーンのブーイングを窘めるように言う。
「オマエなぁ、昼の洗い物が山ほどあんだぞ?ホールの掃除もしなきゃだし、ディナータイムの仕込みも・・・」
「はいはーい!ですよねーですよねー!わっかりましたぁ!・・・ぶぅ」
マスターの言葉を遮って、リーンは敬礼ポーズを取ると小さくブーイングは忘れずに自分とマスターの食器を抱えて厨房へ逃げて行った。マスターはわかりやすい溜息をつく。
「はぁ・・・ったく、アイツは・・・。んじゃ、トーコちゃんはホールと店前の掃除お願いね。リーンに洗いモンさせるから。」
「はい。それじゃチャッチャとやっちゃいましょう♪」
私は腕まくりする仕草をして、自分の食器を厨房へ運んだ。
ホールの清掃を終わらせ店前の掃除にとりかかる。箒で石畳を掃いていく。特に汚れているというわけでもないので、ついつい掃除以外の事を考えてしまう。キサラギに見せられたティタの記憶。
(禁忌の魔術で自分の命と引き換えに救われたエミルくん・・・エミルくんはその事実を知っているのかな・・・お兄さん、タイタスさんは知っているんだろうなぁっていうか、そもそもどうしてそんな魔術をティタは知っているの?私だってタイタニアだし、存在自体は知っていた。けれどそれは都市伝説クラスの話で、それに関わる文献は一切出回っていないし、タイタニアにある図書館にも置いてない。そりゃ、王宮とかにならあるのかもしれないけど。)
「・・・・・・はっ!だめだめ、仕事に集中しなきゃ。」
私は頭をブンブンと振って店頭の掃除を再開する。すると、
「トーコ。」
「ん?」
不意に声を掛けられ、顔を上げるとそこに居たのはタイタスだった。
「あ・・・タイタスさん・・・。こ、こんにちは。」
「やぁ、この間は遅くまで騒がせて悪かったな。」
(この間・・・あぁ、マスターとエミルくんと3人でのことか)
「いえいえ、私はさっさと帰らせてもらっちゃいましたし。それより珍しいですね、この時間にここにいるなんて。今日はエミルくんと一緒じゃないんです?」
最後の言葉に反応してか、少しだけ寂しい瞳になり
「うん、さっきティタのお墓に行ってきたんだ。」
「あ・・・。」
私はとっさにシマッタという表情を作ってしまったのだろう、タイタスはすぐに作り笑顔で
「大丈夫。そんな顔しないでくれ。ティタの親友だったトーコにそんな顔させると、私がティタに怒られてしまう。」
「ごめんなさい・・・。それより気になっていることがあって・・・。でも少し聞きにくいというか・・・。」
私が俯いて言うと、タイタスはなるほどといった面持ちで
「あぁ、『ティタのお墓にティタは眠っているの?』とか『ココロの欠片を見つけるとどうなるんですか?』ということ・・・かな?」
あまりにもストライクな言葉に私は誤魔化すことすら忘れて思わずウンと頷いてしまう。タイタスは
「そうだね、私もトーコには全部知ってもらってもいいのかもしれないな。エミルやベリアル、ルルイエ・・・そしてあの守護魔・・・。これ以上隠せるとも思えない。それじゃ・・・。」
「隠せ・・・ない?何が?ティタのこと?」
「あぁ、ティタのこと。そうだ今日は夜も仕事かい?」
「あ、うん。でも、明日はお休みだから・・・。」
「それじゃ、明日はゆっくり休んで欲しいから、今晩仕事が終わったらアップタウンの中央広場にきてくれないか?」
「中央広場?夜に?」
「ああ、今晩。・・・夜の方がいいんだ。」
私はタイタスのいつもと違う柔らかい雰囲気に少しだけ違和感を感じたが、特に気にすることなく了解した。タイタスはトーコの頭に手を置いて、優しく撫でながら
「それじゃ、今夜。・・・っと、トーコはどことなくティタに似ていると感じるときがあって、ついティタにしていたように頭を。レディに対して失礼だな。悪かった。」
「いいんです。私は一人っ子で兄妹とかいないので、もしお兄ちゃんがいたらこんな感じなのかなぁって。全然気になんてしないです。ティタのお兄ちゃんは親友である私のお兄ちゃんでもあるんですから、いつでも撫でてやってください!って、あれ?これでいいの?」
タイタスは、そうさせてもらうよ。と撫でていた手をそのまま肩へ滑らせ、優しく微笑みその場を後にした。そのとき私は、その笑顔の儚さに胸が締め付けられた。
・・To be continue
コメント