空「へいタラちゃん!」
タランチュラ「……なんですか空さん」
空「タラちゃんもアタシの仲間になってわがまま放題好き放題の悪の道に走ろうぜ!!」
タランチュラ「いや、あの結構です」
空「そっか~。実はさ~、今度新入りのルチ魔王と魔王の座を懸けた真剣勝負があってさ~。タラちゃんなら頼れる悪の星になってくれると思ったんだけどな~」
タランチュラ「いやいやなりませんってば。ていうかまた変なことばかりして白さんに怒られても知りませんよ?」
空「はっはっは、そこんところはうまくやってのけるのさ!それじゃね!!」
~
バフォP「どう?分かったかしら」
ルチフェロ「空も自分の魔王軍を強くするために勧誘をしてる?だから私も勧誘するだけじゃ駄目ってことなの?」
バフォP「それだけだと半分しか丸をあげられないわね」
ルチフェロ「それじゃあ参謀としての意見を聞かせて?」
バフォP「は~い、それじゃあ簡単に説明するわね」
バフォP「まず空ちゃんとまおー様には魔王として決定的な違いがあるのはわかるかしら?」
ルチフェロ「……空のほうが体がおおきい?」
バフォP「う~ん、それは魔王としての違いとは別ね。で、私が言いたい違いというのは、まおー様はいい子で空ちゃんは悪い子だってこと」
ルチフェロ「悪の限りを尽くすのは魔王としてテンプレよ?それとも私も悪行をした方がいいの?」
バフォP「結論からいうとまおー様はそのままのほうがいいわよ?だって空ちゃんの真似をしたってまおー様のためにはならないもの」
バフォP「さて話を戻すけど、さっき空ちゃんがタラちゃんをスカウトしてたわね。まおー様から見てあのスカウト内容はどうだったかしら?」
ルチフェロ「全然だめ。だってタランチュラは真面目な子だもの。あんなこと言っても仲間になってくれないわ」
バフォP「そうね、確かに勧誘としてはアレは駄目ね。でも実は仲間にすることが目的じゃないとしたら?」
ルチフェロ「……どういうこと?仲間にするつもりがないのに勧誘することってあるの?」
バフォP「まぁまおー様はこっちに来て日が浅いから知らないのは無理も無いけれど、実は空ちゃんはいつもいたずらばかりして説教されて時々他の子も巻き込んだりして大騒ぎ」
バフォP「さて質問です。そんな空ちゃんから今度まおー様と魔王の座を懸けた真剣勝負をすると言われたタラちゃんですが、果たしてまおー様の勧誘を受けて配下になってくれるかしら?」
ルチフェロ「あ……。むずかしいかも……」
バフォP「多分普段の時なら頑張って勧誘すれば配下になってくれたと思うわ。でも目の前に見えるトラブルがある状態では流石に難しいでしょうね」
バフォP「そして逆にまおー様がスカウト失敗した相手はもしかしたら空ちゃんにスカウトされる可能性はあるわ。そうなると互いの戦力差はより大きくなるってわけ」
バフォP「はっきりいうなら空ちゃんはかなり頭が回るわ、それも悪知恵は抜群にね。あの子にかかれば自分の悪評だって強力な武器になるの」
ルチフェロ「魔王を名乗ってるだけあって手強い。少し侮ってたかも……」
空「
今更気がついても時すでに遅しだ!!」
バフォP「あら」
ルチフェロ「いつのまに……」
空「ふっふっふ、噂話を聞くために聞き耳を立てるのは魔王としての基本中の基本なり!」
ルチフェロ「あたらしい魔王観ね」
空「それはさておき、アタシの行動に気がついたようだがもはや手遅れ!アタシの華麗なる情報戦略でスカウトできたのは抱え込んでスカウトできなかった分はそれとな~く関わりたくならないように吹き込んでやったのさ!!」
空「そしてそもそもわざわざ総力戦で勝負することにしたのもルチフェロがこっちに来て日が浅くてまだ戦力が整ってないことをわかっててのこと!勢いで押し切られたからルチフェロもついその気になったでしょ!!」
空「つまりは最初からアタシの手のひらの上で転がされてたのだよルチフェロクン!!」
空「……決まった」
ルチフェロ「この権謀術数で相手を手玉にとる手管。まさしく魔王のなせる技ね、さすがは魔王空っていうべきかしら」
空「まぁ、ルチフェロもなにやら仲間ができたみたいだけど、精々無駄なあがきを……」
空「
って、げぇ、バフォP!?」
バフォP「は~い、敏腕プロデューサーで~す」
空「ちょっと待ってちょっと待って!なんでバフォPがそっちにいるのさ!!前に『魔王業のプロデュースだけはしちゃ駄目ってきつく言われてるの』って言ってたじゃん!!」
バフォP「あれってね、正確に言うと『
空ちゃんの魔王業プロデュースはしちゃ駄目』なのよ。だってあの時ってまだルチ……まおー様がいなかったから他に魔王業してる子いなかったし。ね?」
空「ぐぬぬ、まさかこんなところに大きな落とし穴があったとは……」
ルチフェロ「バフォメットってそんなにすごいの?」
空「そりゃもう当然……。いや、よゆーよゆー。バフォPがそっちについたぐらいじゃアタシの勝利は揺るがないし!!ホントマジだし!!」
バフォP「それじゃあ本気を出してプロデュースをしても問題ないわね?」
空「え、いや~あの~」
バフォP「それじゃ、まおー様行きましょうか。早く他の配下を探さないと」
ルチフェロ「そうね。それじゃあ空、私も負けないから」
~
空「う~ん、まさかバフォPがあっちにつくとはなぁ……。完全に予想外だこれ」
空「だがしかし!こっちにはまだ秘策があ~る!!ぶっちゃけ使うとは思ってすらなかったけど!!」
空「ふっふっふ、こんな予想外な自体にも対応できる自分の才能が恐ろしい……」
つづく