最後はグネーさん。
三人から許可を貰って来たことを話すと、四天王に許可を取れだなんて、また大げさな言い方を…と、あっという間に認めてくれました。
なんですか、グネーさん…?
そういうのは、過去にそういう経験がある人か、身近な人がそういう目に遭ったのを見た人の言う台詞ですよ…。
私はその事について何も訊かないし、何もしないし、出来ないし。
それを知ったところで、覚悟の上で得た力。
今更悩むことなんてしないよ。
この先が、いよいよ見られるのね…。
氷洞の中に足を踏み入れては不思議に思ってはいたけれど。
先に行けばそこはなんだかいつもの氷洞とは違う雰囲気。
氷に囲まれているのには違いないのに。
角を曲がって目にしたのは。
あ…。
あああああ…。
そこには私の知ってるノーザンのイメージとはまるで違った、水と緑の美しい世界が宝物のように氷に囲われていました。
そしてその綺麗な世界樹の根元には。
ノーザンの王国の女王、ヴェルデガルド様が眠っておられました。
此処はエミル界側の世界樹だ、とティルは言います。
続けて彼は多くの事を語りました。
ノーザン王国は、他国には内緒で世界樹に秘められた力を研究していた事。
他国には豊富に資源があるが、ノーザンにあるのはこの世界樹くらいのもので、その世界樹の力で国として生き延びていけた事。
世界樹の存在が他国にばれてしまっては戦争になるかもしれないとヴェルデガルド様が恐れていた事。
それから、女王さまは国のため民のためを思って自ら研究に臨み、世界樹からさらに力を得られないかと…直に力を得るための実験を行った。
そしてその術式は世界樹の力の暴走を引き起こし、結果、ノーザン王国の大半が永久凍土と化した。
ヴェルデガルド様がここで眠っているのもそれが原因だという。
これが、ノーザン王国の真実。
確かに想いはどうあれ、結果的には悪い方に転がっちゃったのは事実。
国が一瞬で氷漬けになって、国民も氷に閉じ込められてしまったり、身体を失ってしまったり。
とっても悲しい。
それでもね、私すごいなって思うんだよ。
ノーザンの民は魂だけの状態になっても、ヴェルデガルド様を慕ってくれてる。
魂だけになっちゃったのも、皆を守ろうとしての事だって信じてくれてる。
これだけ慕われてるって凄いよね。
いつかちゃんと会ってみたいな。
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