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diary_447692分からない事がある
だから、知りたい
ただ それだけだった
けれど
<それ>がもしも<知ってはいけない事>だったとしたら―――
*
両の手で顔を覆って、目を固く瞑って、冷静になろうと必死に気持ちを落ち着かせていた
一呼吸置いてからゆっくりと瞼を開ける。でも、指の隙間から見えるのは白い床
…これは夢じゃないんだ夢じゃないとしたら、私はどうしたら良い?
このまま此処に―――――「…しゅじん…っ
、ごしゅ…ん…、
ご主人!!」
「……あっ…」
聞き慣れた女の子の声
私は声の主を確かめる為に、恐る恐る手を開いて少し顔を上げた
その子は、私の目の前で必死に呼び掛けている
熊のぬいぐるみの耳に大きなとんがり帽子、可愛い洋服、ゆるいウェーブの掛かった綺麗な髪、きらきらしてるけど強さを感じる目
「アウラ…?」
私の隣にいつも居てくれるダンプティー・アルマ
『私』を「ご主人」と呼んでくれる、たった一人の女の子だ
「あ…あはは、ごめ…」
何で気付けなかったんだろう?
初めて出会ってから、どんな事があっても片時も離れなかった子の事を
知りたい事を知ろうと。ただそれだけに夢中になって、突然の出来事に対処出来なくて、混乱して…
「ごめんね。本当にごめ…ね…」
足元から力が抜けた
怖さや情けなさ、アウラに対しての気持ち。頭の中は様々な事で一杯になって…最後は、耐え切れず涙になって零れ落ちる
もう遅いんだけど、こんな顔を彼女に見せたくなくて。私は両手で顔を覆った
*
「ずびー…」
「ふんっ、そんなお前はきらいだ」
「え"へへー…ごめ"ん"ね"?」
私は、ちょっと不機嫌なアウラと一緒に座り込んでいた
状況は変わっていない。でも、隣にパートナーが居るって分かって、少しだけ気持ちは落ち着いた
それならば、次にやる事は決まっている
「ね、アウラ」
「む?」
「此処は何処だか分かる?」
「私もわからないぞ!」
「そっか。それなら出口を探しに行こうか」
パートナーへの確認と、とにかく何でもいい。行動を起こすんだ
そう思ってたんだけど…
「…あ、ちょっと待って」
「なにかあったのか?」
「透明な猫ちゃん、見掛けないな」
それだけが引っ掛かってた。私が知りたかった、『転生』について答えられそうな唯一の子だ
「出口と一緒に探しても、良い?」
「むうう…しょうがないな!」
半ば呆れながらも了解してくれるアウラに感謝しつつ。私達は真っ直ぐ前に走り出した
*
どの位歩いたかは覚えてないけど、出口は全然見付からない
ただ。半透明な猫を見付ける事は出来た
「ぐぅぐぅ」
凄く良い顔で寝てた
…こんな場所で眠れるって事は、もしかして此処の住人なのかも?
それなら出口についても聴いてみようかな?
「ねぇねぇ、猫ちゃん。起きてー?」
私は猫の身体をゆっくり揺すって起こしてみる
と。寝惚けているのか、彼?は「また夢か」「場所を変えよう」とか言いながら彼方へ行ってしまった
「…ね、アウラ」
「なんだ?」
「あの子持ち帰りt…じゃなくて、ちょっと追い掛けてみて良い?」
追い掛けては見付け
起こしては逃げられ
時に道に迷い、また見付け
やっぱり起こすと逃げられる
私は暫くの間気付かなかった
夢と誤解されているならば…一度ちゃんと寝て貰えば良かったのだ、と
<長くなりそうなので、もう少し続ける>
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