前々回のあらすじ→
diary_439461前回のあらすじ→
diary_440426その後のお話
一言で言えば「パートナー居たけど一人で出来たよー!」に尽きますwんでは、この先はその最中に撮ったSSからイメージしたSS(ショートストーリー)もどきで締めましょうw
※以下、多々な妄想・独自解釈並び設定がございます事をご了承下さい
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ねえ、知ってるかい?
アイテムになってたとしても、ゴーレムの中で売られていても
ボク達は、ちゃーんと<見て>いるんだよ
青い空の下、行き交う人々で賑わっている都市・アップタウン
此処でボクは「変な女の子」と出会った
自分の身長より一回り小さなその子は
魔法の扱いに長けていて、その癖殴りに走り易く…あ、そう言えば初めて彼女を見た時はよだれ垂らしてたな~
…とにかく「変」って言葉が似合ってた
*
「ごめんねー、こんな所で呼んじゃって」
そう、彼女に言われて出てきたのは。何処かの地下水道だ
空中に浮かぶオブジェクトは一体何だろう。今まで見たことが無かったね
地下でも明るい天井は遥か遠く、水路の果ても見えないその場所で、彼女はいつもの口調で話し掛ける
「後ろ、任せても良い?」
「んー…休ませて欲しいんだけどー…」
これは本音
普段何かしら手伝いする為に呼ばれていたからね。けれど、彼女の様子を見て少しだけ考えを改めた
焦り、不安…とでも言うのかな?
身体を小刻みに震わせて、今にも青ざめそうな顔をしているのに。それを必死で隠していたんだよね
バレバレだよ、キミはポーカーフェイスが下手だな
「フフッ、冗談だよ☆ しっかりお仕事するネ」
苦笑交じりにボクはそう答えた
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嬉しそうなよだれ顔が目の前に有った
その隣には小さなお嬢さん。二人共魔法使いの様な出で立ちみたいだし、「冒険者の女の子達」って所かな
「アウラ!この人!前にお仕事やって、今度一緒に連れて行きたいなーって思ってたんだー」
「え?何で、って?」
「………なん…で、だろう??」
「んー…
<放っておけないから>…かなぁ?」
言葉の意味は、ボクには分からなかった
*
「インビジブル!」
「隠れられるって便利だよネ~☆」
「だね!さ、急ごう!!」
水路に沿って更に奥へ、更に深く
ボク達は姿を隠して進み続ける。今までのお仕事で、こんなに魔物が多かった場所は無かった気がするね
「あっ…ごめん、もう一度!」
敵の群れの中で魔法が切れてしまった。そうなった時のボクの役割は
「さぁ、マジックショーの始まりだよ~☆」
必要最低限戦ったり、敵に気付かれる前に隠れるお手伝いって所だね
「有り難う。こんな所でじっとしてられない、次行こ!」
「りょ~かい!」
後ろを振り向かないで、ただひたすらにボク達は走り続けた
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今日もあの子はボクを見ている
「まだ間に合うかな?」と、ゴーレムの前で一人呟いている
初めて会った時の緩みきったよだれ顔とは違って、寂しげに曇らせた顔が其処にある
キミは、何を焦っているんだい?
もしもボクが目の前に居たら…きっとそう聴いていたんじゃないかな
少しだけあの子が気になってきた。面白そうだったからね
*
「ぜぇ…ぜぇ…」
「ふー、休憩かい?」
「んーん、こんな所で止まってたら直ぐに見付かっちゃう。先急ごう」
「は~い☆」
水路の奥、壁に大きな亀裂が入っていた。其処に向かって全力で走り続ける
地下水道の光源が上方なら、こっちは足元が光ってるのかな
紫色で統一された不思議な通路にボク達は辿り着いた
「まだ、続いてるんだ。…気引き締めなきゃ」
呟く彼女の本を持つ手が少しだけ震えていたけれど、見なかった事にするよ
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「今日和、来てくれて有り難う…!」
曇り顔でもよだれ顔でもない、心からの笑顔
あの子はボクを雇う、という名目で買い取ったんだ
彼女は冒険者の筈なのに隙だらけでとても旅慣れているとは思えない。傍に立って一目見て分かったね
同じ冒険者でも前のパートナーとは全然違う…って、面白いね。人間は
暫くはちょっと相手に合わせた動きで様子を見ておくか
そして
「見て見て!オバチャンとイケメンのお姫様抱っこ!!」
「wwwwwww」
飛空庭の外。変な髪形と変な仮面をした彼女とその友達に、ボクは付き合わされていた
*
「アルカナ君!?」
「…っ。フフッ、人気者は叩かれるから困っちゃうね~☆」
呪文の詠唱が終わるより早く、敵はボクに襲いかかってきた
機械の兵士の規則的な動き。その合間を縫ってボクは反撃に出る
「エナジーバーン!」
敵の背後から放たれた、光球に続く光の棘。これは彼女の得意魔法の一つ
そのまま戦っていればボクだけでも勝てたけど。お人好しな彼女は引き返してきちゃったんだね
「…大丈夫?」
心配そうな顔が覗きこんでくる
そのままボクをアイテムに戻してくれれば良かったのに、無我夢中で助けようとするのは悪い癖かな
「もしかして心配させちゃった?」
「ん。強いの分かってたけど…先に行けなかった」
「そんな事してると、足元掬われちゃうよ~♪」
ボクの言葉を聴いて安心したのかな、少しだけ彼女の口元が笑った
「行こうか。まだ先があるみたいだし、皆を追い掛けなきゃ!」
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いつだったかな。彼女は急に息を合わせる様になったんだよね
それからはボクもしっかりとお仕事が出来た
頼りなさは相変わらずだし、前のパートナーに比べても全然弱い
けど、少し位は信じてあげても良いかな~って思ったよ
*
「綺麗…」
彼女の口から意外な言葉が出てきた
地下水道の最奥。静まり返った大きな通路は、まるで光る円柱の中にいるみたいだった
淡い紫の光が先へと続いている
宙に浮くマジックショーをしたらこんな感じなのかな?足は地面に着いていなかったね
「…あ、ごめんね!早く行かないと怒られちゃう」
「勝てるかどうかは分かんないけど、いざとなったら私一人で頑張るから…」
静寂を破った言葉はいつも通りの口調。けど、背中は怖がってるのが丸分かりだった
「その時は、見守っててね」
顔だけこちらを向けながら苦笑した彼女に
ボクは、声を掛ける
「コントレイル」
名前を呼ばれて振り向く彼女の前に跪き、両の手で左手を支え――――くちづけた
「…へ?………………え!?」
突然の出来事に顔を赤らめている様子は、ちょっと可笑しい
こういう事、慣れてなかったんだね。彼女は微動だにしなかった
「そんなに驚かなくても良いんじゃないかな?」
「あ、いや。そうなんだけど…何で?!」
「フフッ、何でだろうね~☆」
多分、キミの事だから分かっていると思うけど
さっきのは『敬愛』、って意味なんだよ
そっと手を離してボクは彼女を促した
「それじゃ、いこうか☆」
多分次の部屋が敵の本拠地。お仕事もいよいよ大詰めだね
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あれから翌日
「あの…アルカナ君。ちょーーーっと良いかな?」
「ん~?」
「マザーさん、居るよね?」
「凄く、強そうじゃん?みなぎる系の飲み物飲むじゃん?」
「倒すのに、三分も…掛らなかった、んだけど…」
「あー、道中が凄かったからね~☆」
「備えあれば憂いなしって言うけど。備え過ぎて逆に拍子抜けって言うか、何か…勿体無い…」
青空とそよ風が今日もアップタウンを優しく包んでいる。その中で冒険者の少女はベンチに腰掛け、反省会をしていた
「でも…何とか勝てて良かった…!」
「フフッ、そうだネ♪」
アイテムの無駄遣いを悔やんではいるものの、その表情は何処か晴れやかだ
「あ…ドミニオン界は落ち着いたと思うけど、まだ問題は残ってるんだよね」
「でも。今はちょっと休みたい…」
「アップ警備員に、私は戻る!」
「ボクも疲れたから休みたいね~」
今日も冒険者とそのパートナーは、ベンチに座ってのんびりし始める
問題が片付くまで、まだまだ時間が掛かるであろう事は
容易に想像出来た
(終わり。長文お付き合い頂いて有り難うございましたー!)
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