右手が無事回復したので、りはびりじゃなくなりましたw
なので、文量は変えずもう少しだけ引っ張ることにしました。
といっても、稚拙さは変わりませんg・・・(苦笑
今回のタイトルは百人一首から・・・
平兼盛 作。現代訳は・・・イチバン最後に♪
では、はじまりでーす。
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『忍ぶれど 色に出でにけり わが恋は 物や思ふと 人のとふまで・・・だから・・・』
雨が一段と激しくなってくる。手紙の場所に着いたとき、彼の姿はなかった。考えても見ればこんな雨の日に来てくれるのだろうか。いや、彼はそういうところ律儀だからきっと来てくれる。今は待とう、放課後って書いただけで時間書いてなかったし。私は赤い傘をギュッと握って桜の樹の下で待つ。傘に当たる雨の音に私の心音がシンクロしていく。
そもそも、この恋は私の中で、このまま卒業まで持っていく予定だった。私の想い人『モリヤマ カケル』中学の同級生でクラスメイトにはなったことなかったけれど、好きになるのにそんなのは条件に入らない。中2からの想いは一度も告げることなく、無事卒業まで持っていけた。同じ高校だと知ったときは、夜ひとり部屋でドキドキして眠れなかったっけ。だから、高校に行ってもそのつもりで覚悟を決めていた。初恋は実らないのが一般的な定説だと信じていたから。けれど変化は入学式の朝、校庭から始まった。
『1年E組 22.森山 翔』
『1年E組 37.深山 ちはや』
それからの毎日を私はハッキリと覚えていない。嘘だ。毎日がドキドキで嬉しくてしょうがなかった。当然クラスメイトなのだから話す機会も増えたし、同じ中学という共通点もあってクラスの中でも仲が良い方になり、いつの間にかクラス内の友達グループに私と彼はいた。最高だった。
だから
この関係もこの距離感も何も無くしたくなかった。彼が好き、でもソレを告げて今の状態が壊れてしまうのは最悪のバッドエンドルートだ。だから私は改めて誓った。「この恋は卒業式まで持っていく。」
けれど
その誓いは1年経った春の朝、校庭で揺らぐ。
『2年A組 21.森山 翔』
『2年A組 37.深山 ちはや』
また1年、彼と同じ教室で同じ空気を吸う。彼の姿が視界に入り、声が聞こえる。彼の口から私の名前が紡ぎだされて、彼の瞳に私が映る。あんまりだ。隠せるはずがない。この想いは留まるところを知らなかった。いつの間にか友達にまで感づかれてしまう有様だった。
「ちはさぁ、」
「ん?」
「最近なんか悩んでる?」
「な、なんで?」
「ん~、なんていうかさ、上の空?って感じがさー。」
「・・・・・・」
「まさかの恋悩?」
「ちょっ!なんで・・・」
「あはは~♪乙女のカンですよ~☆」
「もう、ミキはぁ・・・そういうことスグ言うぅ。」
ダメダ ダメダ コノママダト コノオモイガ タニンノコトバデ カレニツタワッテシマウ
それが現実になってこの関係に綻びが生まれてしまうのは、バッドエンドを通り越してデッドエンドだ。それなら・・・
『私の想いなんだもん、私の言葉で伝える。』
そして今・・・。
雨の喧騒と傘に落ちる雨音に混ざって足音がひとつ、今この空間で奏でられているメロディに割ってソロパートを奏で始めた。彼だ。
「深山・・・。待ったか?」
「う、ううん。だいじょうぶ。」
「そっか。」
「うん。」
「あのさ・・・」「あのね・・・」
今、世界で一番短い歌劇の幕が上がる。
つづく
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~忍ぶれど 色に出でにけり わが恋は 物や思ふと 人のとふまで~
『あなたへの恋心を知られまいと我慢していても、顔に出てしまい、周りの人に"何か悩み事でもあるのか"と、問われてしまうほどです』
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