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各月の日記

YUNIKOさんの日記

(全員に公開)

2012年
07月11日
02:49

梅雨をテーマに・・・その9

おつかれさまでぇっす!
続きはよっ!というありがた~いお言葉を胸に
がんばっちゃいました!
ラストスパートです!
案の定、特に山場もなく進んでしまいましたっ!  orz

友達から不意に告げられるコトバ
俺の目に不意に映りこむナミダ
次第に激しくなるアメ
仲良しグループはどうなるのか・・・。

それでははじまりまーす♪

---------↓↓本文↓↓----------
『梅雨明け』

「私ね・・・好きな人がいるの。」
「ミキ・・・オマエの言おうとしてることって・・・。その男の子って・・・。」

 降り出した雨は次第に強くなっていた。その中に紛れるようにミキの瞳から一筋の涙が頬を伝う。その涙を見た瞬間、なぜか俺の鼓動はいつもの・・・いやいつも以上の落ち着きを取り戻していた。ミキのキュッと噛まれた下唇がフッと緩むのが見えた俺は、次・・・ミキの口から紡ぎだされる言葉を待った。しかし、それは俺の想像を裏切る・・・。

「私・・・ソウタ君が好き・・・なの・・・。」
「ぇ・・・。」

俺は耳を疑った。
言葉を疑った。
ミキの声を疑った。
しかし、その疑いを晴らすことは許されず、現実は非情に時を進めていく。

「私ね、気がついたらソウタ君のこと見てたんだ。もとはね、最初は何か軽い感じで私のタイプじゃなかったっていうか、きっと好きになんてならないんだろうなぁって思っててさ。でも・・・アイツさ、優しいの。なんていうのかな、痛みがわかる人っていうか。」

ミキは頬に残る涙の跡を両手で拭うと、柔らかな表情で続ける。

「いつかね、私、カケル君に振られたんだ・・・。」
「は?」

初耳だった。いやいや、初耳どころかそんな記憶、欠片も存在しない。当たり前だ。そんな事実全くないのだから。更に雨足が強くなり、世界から俺たち二人の空間を切り取られたように雨のカーテンが遮断する。

「振られたっていってもね、私が勝手にそう思っただけなんだけど。ちは がね、いつもカケル君の事見てたの知ってたんだ。ホラ、乙女のカンってやつ?ふふっ、それでも私はカケル君のことまだ気になってて。でも、ある時気付いちゃったんだ。カケル君、みんなと一緒にいるとき、いつも ちは のこと見てるって。ショックだったんだぁ。もう、絶対希望ない~って。」
「ミキ・・・。」
「やめてよ、過去のコト、過去の~♪でね、でもやっぱり私悲しくってさ、凹んでたんだ。そしたら、そこにアイツが『どうした?何か悩みあんのか?』って。さすがにカケル君とは言えなくてね、ある男の子のことが好きになったんだけどその子には他に好きな子がいてって話したの。そしたらアイツ一生懸命慰めて励ましてくれて・・・。それで最後に『ホントに好きになったら、ソイツの事光って見えるんだぜ。眩しいくらいにさ。』だって、笑っちゃうよねぇ。ドコのチャラ男よって。でも、それ嘘じゃなかったんだ。」

ミキは両足を胸元に引き寄せると体育座りのように両手で抱えて、そこに顔をうずめる。

「それから、アイツ見るたびに光って見えちゃうんだなこれが。ホント眩しいくらいに。それから毎日が楽しくってさ。仲良しグループ最高~♪みたいな。」

無駄に明るい口調で話すミキに俺の胸は締め付けられる。

「でも・・・おまえ・・・ソウ・・・」
「言わないでっ。うん、知ってるよ。好きになった男の子のことだもん。アイツが誰のこと見てるかくらいスグワカッチャッタヨ・・・。」

次第にトーンが下がっていく。

「おまえ、それじゃなんで・・・なんてソウタにあんな事言ったんだよ。好きなんだろ?」

俺には理解できなかった。いや嘘だな。きっと俺にはミキの気持ちが痛いほどわかっていた。後悔してもしきれないほどの後悔をしてるハズダ。

「だって!カケル君が悪いんじゃん!自分さ、ちはの事好きなくせに!その気持ちに嘘ついて!ちは に嘘ついて!ソウタ君に嘘ついて!」
「・・・・・・。」

何も言えなかった。言う資格なんてない。そのとおりだ。俺は締め付けられた胸に杭を打ち込まれたような痛みが走る。

「でもね、私もズルイんだ。だって、絶対ちは は、ソウタ君の想いに応えないのわかってるから。だから、ソウタ君は ちはに振られて傷ついて欲しいんだ。私が入り込める隙間・・・くらいの・・・。ヒドイでしょ?打算的な女だと思ったでしょ?でも、コレが私の本音。ソレくらいソウタ君の事が好きになってたの。」

ミキは埋めた顔を持ち上げると、顔をこちらに向けて膝のうえに頬を乗せ、

「だからね、カケル君も自分の気持ちに素直になって欲しいの。それで、ちゃんと ちは の気持ちに自分の気持ちに応えてあげて欲しいの。」

ミキの表情は柔らかいまま、しかしそれ以上に少し釣り目の大きな瞳に温かい色が見えた。俺はその瞳を見て、胸の痛みがほんの少し和らいだ。

「それでアレか?ソウタにトドメを刺せってか?」

ほんの少しトーンを上げてふざけた感じの口調で言うと、

「そうだよ。って、そうじゃなくって!カケル君、もしかして性格悪い?」
「今更知ったか。」
「ヤダよもう、一瞬でも好きになった私、あの時だけは見る目がなかったんだぁ。」
「うっせぇよ。ばぁか。」
「ふふふっ。そうじゃなくってね、ソウタ君が好きになったのは『カケル君が好きになった恋する ちは』で、本当の ちは じゃないの。だからそれに気付いてほしいっていうのかな・・・。」
「なるほど・・・な。」
「それで、今度は私がアイツのこと一生懸命慰めて励ましてやるの。それで私のことも光って見えるようにしてやるんだ。・・・・・・だから」

俺はその瞬間、俺の心を締め付けていた後悔の鎖が解かれていくのがわかった。俺はその場で立ち上がり、大きく伸びをするとミキの方を向き

「わかった。俺も自分に素直になるわ。ケジメつける。ソレが原因でソウタとケンカになるかもしれない。」
「させないよっ♪」
「茶化すなよ・・・。」
「ごめんごめん♪」
「それでもっ・・・明日、今度は俺から告白するわ。ちゃんと、まっすぐアイツの目を見て。」
「うんうん。」
「ミキ・・・ありがとな。」
「うんうん。」

二人を覆う雨のカーテンはいつの間にか消え、この世界の音が二人の周りに溢れ出す。

「雨、だいぶマシになったな。この雨で梅雨明けるといいのにな。」
「そだね。」
「今のうちに帰るか・・・。って、あぁぁ!傘学校だ・・・。」
「なにやってんのよ。じゃっじゃーん!ここに可愛い折りたたみ傘がありまーす。ねぇねぇ、一緒に入る?相合傘しちゃう?」

悪戯っぽい目で俺を見上げる。

「い、いいのか?」
「なに言ってるの、予行練習じゃん、よ・こ・う・れ・ん・し・ゅ・う♪」
「俺とちはのか?そ、そんな事してもらわなくってもだな、俺は・・・」
「カケル君、カケル君・・・」
「ん?」
「ばっっっっっっっっっっかじゃないの?!私とソウタ君に決まってるじゃん!」
「へいへいそうですか。べ、別に俺だって、そんなの期待してないんだからなっ!」
「うわぁ・・・ツンデレですよ、こやつ。男の子のツンデレは可愛くないよ?萌えの要素はあるけど。」

俺はミキの持つ小さなピンクの折りたたみ傘に頭だけ入れてもらって・・・
『二人に訪れるであろう別々の未来の同じシチュエーション』
にむけた予行練習をした。

 帰宅後、濡れた頭をタオルで拭きながらリビングのテレビに流れていたニュースで、この地域の梅雨が明けたと知らされた。

                                         
                                         つづく
  • ECOじゃない創作

コメント

1番~5番を表示

2012年
07月11日
08:22

なん…だと…

前回のを読んだらミキちゃん→カケルくんかと思ってました

ミキちゃんが一番みんなの状況をよくわかってそう
ソウタくんが言ってたちはの憂い顔はカケルくんを思ってのものだから、それを笑顔に変えられるのはカケルくんしかいないですよね

2012年
07月11日
12:31

>>エコイストさま
ふふふ…どうでした?
そういう事だったんです♪(*´∇`*)
ちょっと拍子抜けでした?
梅雨も明けましたし、いよいよ……。
次回もお楽しみに♪

2012年
07月11日
14:59

やられたっ!!やりおるっ!!!
どこぞから引用させて貰えば、『どうなるの~~どうやってまとるめるの~?って思わせといてあっさりまとめちゃう天才モーツァルト』って感じ?w

素晴らしいお話でした、まとめも秀逸。
明けるときは、一気にさらっと明ける、ホント梅雨らしい良いお話だっ!

ここからどう繋げるんじゃろ・・・あとはエピローグかな?

2012年
07月11日
20:15

やーらーれーたああああああw
いい意味で裏切られた!なんというどんでん返し!!

このままハッピーエンドになるのか、それともまだ一波乱あるのか・・・
次回も期待ですな

2012年
07月12日
01:14

>>えめるたま
どうでした?
二人ののちょっとすれ違いな雰囲気はこういう流れにもって行くための
布石のつもりでした♪
上手くまとまったと感じてもらえたので、嬉しいな♪

>>つみねちゃん
やられちゃいましたか~♪
るみねちゃんの予想を超えられたのは、純粋に嬉しいですw


さてさて、次は・・・ご期待あれっ!

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