台風で早めに帰宅したので、続きを書いちゃいました。
ECOじゃないお話だけど、コメントもらえてすっごく嬉しいれす(〃▽〃)
今回のタイトルは、大好きなCharaさんで「罪深く愛してよ」から1フレーズ。
切ない感じが出せたかな?
ではじまりでーす。
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『愛しいあなたの全てを私が欲しいと想う気持ちは罪ですか?』
「深山・・・。待ったか?」
「う、ううん。だいじょうぶ。」
「そっか。」
「うん。」
「あのさ・・・」「あのね・・・」
ふたりの間に気まずい空気と雨が漂う。私は差していた傘を少し自分の前に傾ける。ダメ、耐えられない、どうしよう。この瞬間から逃げ出したくて私は口を再度開く。と、同時に
「なんだよ・・・。」「なに・・・・?」
「いいよ、深山からで。」
「き、今日はいつもみたいに『ちは』って呼んでくれないんだ・・・。」
「ぁ・・・。」
「別にいいけど・・・。あのね、私、ずっと・・・。」
「うん・・・。」
「ずっと、翔クンのことす、す、好きでしたっ!」
言った!言っちゃった!卒業まで持っていくと決めていた私の想いを、心を。でも、なんだろう、何?この違和感、派手なリアクションとか予想も期待もしてなかったけど。私の告白に彼の表情は見えない。傾けた傘のせい、バカな私。しかし、傘の向こうから低いトーンでいつもより落ち着いた声で、
「そか・・・。」
一言だけ返ってきた。見たい、彼の表情を姿を全部を。今、彼って笑ってる?怒ってる?呆れてる?見たい見たい見たい。私は思い切って傾けた傘を持ち上げる。
そこにあった彼の顔はとてもとても優しい目で微笑んでいた。
その表情を見た瞬間、私の心の中に一筋の光が降り注ぐ。降り続く雨があがり、空を覆っていた雲の隙間から太陽の光がカーテンのように降り注ぐそんな感じ。私も彼の微笑みに負けないくらいの笑みを作り、
「わ、私と付きあ・・・」
「ごめん。」
「ってくだ・・・ぇ。」
「悪い、俺、深山の気持ちに応えられない。ごめん。」
聞き間違えたのかと思った。あの微笑みは優しい瞳はなんだったの?アレ?私、まさか脳内妄想が瞳に映されてた?彼の最後の3文字が私の胸を貫いた直後、彼の瞳に視線を投げると、
カレノヒトミニ ヤサシイイロハ キエテイテ カレノヒトミガグレーニミエタ
朝、下駄箱で手紙を見つけた瞬間、その封筒にちはの名前が書かれていたとき、俺は大声で叫びながらバク転したいくらいだった。できないけど。けれど、その喜びの後ろから親友の顔が浮かんだ。あの日、店で俺に相談してきたあの真剣な目、俺がかけた一言に瞳を輝かせたソウタ。だから、封筒を見た瞬間だけは本当に嬉しかった。
『だから、余計に中身を見るのがイヤだったんだ。もっと自分が嫌いになってしまう』
その日の授業は全く耳に入ってこなかった。もしかしたら、1限目の現国の教科書のまま昼休みまでいたかもしれない。午後からだってその状況はかわることなく放課後を迎えたんだ。そして今、俺は伝説の場所で
「ずっと、翔クンのことす、す、好きでしたっ!」
【俺も好きだ。ちはのこと大好きだ!】
そう言いたかった。だってそうだろう?俺はちはのことが好きで、ちはも俺のこと好きだったんだぜ?!夢みたいじゃないか。けれど、俺はそれを伝えることはできない。親友の気持ちを知っていて、けれど俺はソウタに伝えていない。それはフェアじゃない、しかも俺はソウタに『がんばれ』って応援したんだ。けど、やっぱり嬉しくて思わず微笑んでしまった。けれど、俺のその微笑みはちはにしてみれば裏切りでしかないだろう。
「悪い、俺、深山の気持ちに応えられない。ごめん。」
もしも今、制服のポケットに一本のナイフが入っていたら俺はきっとこの喉を切り裂いていただろう。自分の気持ちに嘘を付いて、この世でイチバン悲しい言葉を吐いて。終わった。全てが。俺の恋もちはの恋も・・・いや、ソウタがいるから・・・いや、それはないか。ちははきっとソウタの想いに応えない。なぜだろう、そんな気がした。自惚れかもしれないけど。
俺はなるべく遠くを見ていた。ちはの顔を見て、もしもちはの瞳を見てしまったらきっと俺は傘も少しくたびれた鞄を投げ出して目の前の女の子を抱きしめてしまうにちがいないから。
そのまま身体をひねり、俺はちはに背を向ける。
もうここにいたくない。
きっとちはも同じはずだ。
「なぁ、ひとつだけ聞いていいか?」
「・・・・・・なによ。」
「いつから好きでいてくれたんだ?」
「・・・・・・なんでよ。」
「知りたいんだよ。」
「・・・・・・中2だよ。」
「そっか・・・・・・。じゃな。」
「・・・・・・うん。」グスッ
翔クンが離れていく。
私の恋が離れていく。
遠ざかっていく彼の背中が小さくなる度に歪んで見える。
「あ・・・私・・・泣いてるんだ・・・。」
お気に入りの赤い傘をたたみ、私は雨の空を見上げた。
ちょっとだけ後悔した。
『愛しいあなたの全てを私が欲しいと想う気持ちは罪ですか?』
いつか聴いたフレーズ。
神様に投げかけた。
つづく。
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