この間、アップタウンで遊んだときにひょんなことから
アルマでSS書いてみるー?
という一言から出来上がったお話です。
夏の思い出になればーって感じで♪
でわでわはじまりまーす。
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『アミス学園のそれはごくごくありふれた一日』
太陽が燦々と降り注ぐ夏真っ盛りの午後。
「暑いのですぅ・・・。ぼくのカラダがずっと暑いのですぅ><」
「もう、犬っ!さっきから煩いわよ!そんな声に出したって涼しくならないんだから静かにしなさい。アナタほんとにバカなの?」
飛空庭でふたりの少女が話している。そこは青々とした芝生が絨毯のように敷き詰められ、庭の奥には木造の小さな校舎が建っている。飛空庭の上の小さな学校、アミス学園。校舎の前には小さな泉とそれを覆うように小さな木が、でも力強く空へ向けて枝を広げていた。この学園には現在8人の生徒が住み込みで勉強している。しかし、ここに人間は一人しかいない。この学園の校長であり、唯一の教師であるアミス先生。
【それじゃ・・・生徒は?】
そんな疑問を持ったかもしれない。ここで勉強する生徒はモンスター、しかし普通のモンスターではない。『アルマモンスター』モンスターでありながら、心を持つ者たち・・・それは人への憧れだったり、仲間への思いやりだったり、家族の愛情だったり。何か一つのとても強い想いによって人の姿になったモンスターがここの生徒なのだ。
「う~。ぼくはバカじゃないです!それに犬じゃないです!バウです!バカって言ったら言った人がバカなんです!」
「あら、ちゃんと自分の名前言えるんじゃないの♪すごいわねぇ、エライわねぇ。」
「えへへへ♪はいっ!ぼくちゃんと自分の名前言えるんだよ!ぼくの名前はバカ!」
ひゅんひゅんと尻尾を左右に勢いよく振りながら両手を上げて答えるが、
「・・・・・・。暑いわね、この子の相手をしていると余計暑くなってしまったわ。」
胸に抱えたぬいぐるみを更にギュッと抱きしめて小さくため息をつく。
この二人はここの生徒で、終始ふさふさした尻尾を左右に振っている少女はバウのアルマモンスター、ぬいぐるみを抱いて少しキツイ口調で話す少女はダークフェザーのアルマモンスターである。バウは首を少しかしげ、目の前の黒の少女に問いかける。
「ねぇ、だーくふぇざぁちゃんは、黒いお洋服着て暑くないですか?ぼくは白いお洋服着てるですけど、とても暑いですよ?」
「何言ってるの?私みたいなレディはこうやって黒いドレスを着こなすものなのよ?それに・・・」
「それに?」
「私よりそこのローキー姫の方が暑そうじゃないの。」
ダークフェザーはウィリー・ドゥのぬいぐるみを左手で抱きなおすと、右手で校舎の方を指差す。その先、校舎の影に一本の朱色の京和傘が花を咲かせていた。その下に異国の貴族か皇族を思わせるような雅な和装に身を包んだ少女が読書をしていた。太陽が容赦なく照りつける場所で騒ぐ二人に気付いた和装の少女は読みかけの本をパタンと閉じると、
「なんじゃ、おぬしらそんなトコでいつもいつも元気じゃのう。」
少女の言葉にバウはとてとてと駆け寄り、目の前にちょこんと座り込むとやはり首をかしげて問いかける。
「ろーきーちゃんは、そんなにいっぱいお洋服着て暑くないですか?ぼくはもふもふのお洋服着てるですけど、とても暑いですよ?」
どこかで聞いたような質問に、
「何を言っておるのじゃ。私のように一族の姫はじゃのう、こういう服をきてナンボなのじゃ。それにのう・・・」
「それに?」
「風を感じるのじゃ。ここに座って、静かに書物を読み、心を落ち着かせると風を感じて自然と暑さなんぞ感じんのじゃ。まぁ、犬っ子のように元気が取柄のお子ちゃまにはムリかのぅ。」
袖の中から扇子を取り出すと少し広げて口元を隠す。バウは左右に振る尻尾を止めてキョトンとする。するとバウの後ろから、ダークフェザーがバウの頭の上にぬいぐるみをポフっと乗せて、
「バウでもちゃんと風を感じることできるわ。なんならその方法・・・教えてあげなくもないけど。知りたい?」
思いがけない提案に、止まっていた尻尾は再びひゅんひゅんと踊りだす。
「うんっ!ぼくも風感じたいっ!教えて!教えて!」
少し垂れた大きな瞳をキラキラと輝かせて振り向くと、ダークフェザーはすかさず大きく振りかぶりぬいぐるみをぽーんと反対方向へ向けて投げる。それと同時にバウのスカートがふわりと翻り、
「わんわんっ!」
宙を舞うぬいぐるみを一心不乱に追いかけて、庭の反対側まで一気に駆け抜ける。そして、ぬいぐるみが地面に落ちる前に華麗に両手でジャンプキャッチ。そのまま着地するとふわりと広がったスカートが閉じる前に駆け出して、ダークフェザーの前に戻ってきた。
「ハッハッハ・・・、風を感じたです!ひゅーってひゅーって!でも、止まるとさっきより暑いですぅ>< ハッハッハ・・・」
「フフフ・・・。それはアナタがまだ動き足りないからよ。えいっ!」
「はっ!わんわんわんっ!!!」
再度宙に舞うぬいぐるみを追いかけてバウは駆け出す。しかし、ぬいぐるみは先ほどの勢いは無く校庭の真ん中にある小さな木の手前あたりで降下を始めた。
「間に合えですーーー!」
バウは木に向けて降下を始めたぬいぐるみに飛び掛る勢いでジャンプした。しかし、その甲斐むなしくぬいぐるみは木の根元に落下。そこへ向かってバウも飛び込む。
「ふにゃっ!?もう誰っすかー。あたしの昼寝を邪魔するんじゃねーですよぉ・・・。」
木の根元からむくりとカラダを起こすポニーテールの少女。
「わんわんっ!ばるるちゃんですーーー!」
勢い余ったバウは少女に向かって飛行を続ける。当然それを制することなどできるわけもなく、バウはそのまま一直線少女へ向かっていく。
「ハッ・・・バルルおねえちゃん危ない・・・」
ダークフェザーは下を向いて両手で顔を覆う。立ち上がった少女は
「ん?」
カラダをひらりと捻り、飛び込む犬っ子を華麗にかわす。宙を舞うバウを止めることができる唯一の希望は枝から舞い散る青葉のようにひらりと目の前から消える。
「きゃ・・・キャインッ!」ざばーん・・・
小さなカラダはキレイな放物線を描き、少女の立っていた後ろにあった小さな泉に消えた。それを見ていたダークフェザーとローキーは、
「ホッ・・・・・・。」
「おぉおぉ、アレは風を感じる以上に涼しげじゃな♪」
思わず顔が綻ぶ。泉の水からすうっと波が消えたとき、泉の中心から甘いミルクティ色の髪をした小さな頭が顔をだす。
「くぅ~ん・・・、ぼく風を感じたかったのに・・・とっても冷たいですぅ。」
そのまま泉の真ん中に立つと、ぶるぶるぶるっとカラダを震わせ水しぶきが周囲を舞う。飛び散る雫一粒一粒に太陽の光が反射し、まるで宝石を散りばめたようにキラキラと輝く。
「ったく、お姉ちゃんのお昼寝を邪魔するなんて、悪い子にはこのやんちゃバットでお仕置き・・・っていきてーですけど、その必要もないみたいッスね♪」
ずぶ濡れの子犬の頭にそっと手を置き、そのままくしゃくしゃと撫でる。バウは少し瞳を潤ませて自分の頭を撫でる主の顔を上目遣いで見つめる。
「ぼく・・・だめなバウです。こういうときはごめんなさいするってアミス先生に教わったです。ごめんなさいです。っく・・・えぐえぐ・・・」
「ホラ、さすがに夏でもそのままだと風邪ひいちまうですよ。お姉ちゃんが拭いてあげるから、教室にいくッスよ。」
「くぅ~ん・・・あい・・・。」
バウはバルルに手を引かれ校舎へ向かって歩いていく。途中、バルルは左手に持っていたぬいぐるみをダークフェザーの方へポーンと放り投げ、
「あんまり苛めるんじゃねーですよ?」
「アラ、ウィリー・ドゥと仲良く遊んでると言ってほしいわ。バウとはお友達ですもの。」
「あれじゃな、こみゅにけーしょんとかいうやつじゃな。しかし、ばるるんは相変わらずお姉ちゃんしておるのう。」
ローキーの言葉は聞こえぬフリでフンッと鼻を鳴らすと、バルルはポケットからロリポップを2本取り出すと一本は口の中へ、もう一本は尻尾をだらんと垂らし泣きながら歩くバウの口の中に放り込む。
校舎の入り口に差し掛かったとき、中から白いレースのドレスを纏った少女が泣きながら飛び出す。その後ろからもう一人左右に長く伸びた耳のようなデザインの帽子を被った少女が瞳をキラキラとさせて後を追う。
「もう、フミさんから開放されたと思ったですのに、どうしてまたわたくし逃げなくてはならないのですかぁ~><」
「海~!海とお魚の美味しい匂いがするー!はっ!ひらひら白い昆布!はむっ!」
「ひぃぃ!それは、わたくしのリボンですのにぃぃ。はむはむしてはダメですの~。」
二人が飛び出して開け放たれた扉から少し遅れて緑の髪の少女がスケッチブックを持ってとてとてと飛び出してきた。
「もう~。ぺぺんちゃんもシホお姉ちゃんも、わたしのもでるになってって言ってるのにぃ~!動いちゃだめぇ><」
終わりが来ないであろう鬼ごっこを校舎の屋根の上から、雑誌を片手に赤い少女がうーんと唸りながら横目に見る。
「わたしもあんな白いヒラヒラした可愛い服似合うかなぁ・・・。でもわたしの赤い髪には似合わないかぁ・・・。やっぱりこの雑誌に載ってるこの赤いヒラヒラしたワ、ワ、ワンピースが・・・にゃぁぁ><だめだめだめぇ!恥ずかしすぎるぅぅ!」
屋根の上で両手足をじたばたさるとそのまま大の字になる。太陽が燦々と降り注ぐ夏真っ盛りの午後。思い思いの時間を過ごしているごくごくありふれた一日。しかし、日常は全てがいつもと同じとは限らない。しかもそれは常に突然やってくる。飛空庭のエレベータが動き出し、小さな緑に囲まれた学園に似つかわしくない機械音にそこにいた全員の視線が集まる。
「は~い、みんなー先生のところに集合~!」
エレベータから現れたのはアミス先生だった。先生の一言に、その場にいた生徒たちは元気に駆け寄る。ずぶ濡れのバウは上着を脱いでシミーズ姿で頭からタオルを被せられバルルに大人しく拭かれている。
「はーい、今日も暑いわねぇ。今日はいつもの授業とは違う授業をしちゃいますよー。」
「いつもと違う?」
「はて?いつもと違うとはどういうことじゃ?」
「ひふほろひはう?ほひひー?」
「もう、ぺぺんさん、はむはむしちゃ・・・ひゃう!足!それわたくしの足ですのー!」
皆がアミス先生の言葉に疑問を持ち、そして次の言葉を待つ。彼女は右手の人差し指で赤いフレームをそっと直すと、
「いつもと違う授業っていうのはぁ・・・・」
「「「「「「「「いうのはぁ・・・?」」」」」」」」
To be continue
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