忙しいっ!とかいいながら、続きをアップ~
色々書きたくて書きたくてついつい睡眠時間を(ry
少しずつ少しずつ進んでいく物語。
でわでわお時間のゆるす限りごゆるりと・・・
DEMとの戦闘で深手を負い、
目覚めたときに傍にいたのは幼馴染。
記憶の海の底
そこで見たのはタイタニアの少女との約束。
ふたりのココロに触れた少年に
手を差し伸べるのは・・・
第10話『 再会Ⅰ 』 はじまります。
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第10話 『再会Ⅰ』
エミルが目を覚まして数日後、身体の痛みも消え久しぶりに学園へ登校することになった。いつもの通りダウンタウンから稼働橋へ上がりアップタウンに入る。いつもの風景、いつもの日常。階段を上りきったところで待っている少女、これも日常。
「おはようエミル。」
「オッス。」
2人並んで登校する。特に会話もなく、なんとなく気まずい雰囲気が二人の間に漂い始める。目覚めた日から数日は外傷は綺麗に治癒していたが、身体の痛みが引かず、暫くベッドで過ごしていた。その間もマーシャは毎日見舞いに訪れ、身の回りの全てをしてくれた。あまりにも普段のまますぎて、エミルは目覚めたあの日のマーシャの態度がやはり気になっていた。
【やめてっ!!!】
あの時のマーシャにいったい何があったんだろう。あの日の事が脳裏に蘇るが、あの時以降彼女があんな風になることはなく、二人の間に何があったのか聞けないまま今日に至っていた。
「な、なぁ。」
「ん?どーしたの?お尻・・・また触りたいの?」
「ぶっ・・・ん、んなわけ・・・・・・あるかっ。」
「今ちょっとだけあった間は何?・・・エッチ。」
「ば、バカ言ってんじゃねぇよ。それより、ベリアルもあの日からこっちに来てないのか?」
なんとか話題を全年齢対象方面に向けなおす。マーシャはごまかしたぁとエミルの頬をつついてきたが、
「うん、ベリアルもルルイエも来てない。メールも一応出してはみたんだけどねぇ。大事なことになってなかったらいいんだけど。」
カバンを持つ指先に視線を落として呟く。エミルはマーシャの頭に手をポンと置き、
「まぁ、アイツ等なら大丈夫だろ?ああ見えてベリアルもルルイエも強いしな。知ってたか?ルルイエってあのスタイルでアサシン志望なんだぜ?セクシーアサシンとかどっかの●不●子と通じるモンねえ?そのうちベリアル『るーるいえちゃぁん』とか言ってパンツ一丁で飛びついたりしてな♪」
クククと笑うと
「何言ってるのぉ、エミルバッカじゃないの♪あはははは。やだ、想像しちゃったじゃないのよぉ♪」
マーシャもお腹を抱えて大笑いしていた。その表情を見てエミルは少しだけ安心した。しかし、それ以上に気になっていることがあった。ティタのこと、あの日以降学園にも来ていないということだったが、詳しいことをマーシャに訊くことはできない。あの日のことがエミルの中でフラッシュバックする。
しばらく歩き、黒の聖堂前にある学園の入り口に差し掛かったときだった。背後から聞き慣れない声で呼び止められた。
「エミルさま・・・でいらっしゃいますよね?。」
呼び止められたエミルは振り返り声の主を探すと、そこに一人のタイタニアの少女が立っていた。金色に輝くストレートの髪、ティタと同じくらいに白く透き通るような肌、身に着けている空色と白のワンピースに頭に結んだ大きな白いリボンが清楚な雰囲気を作り、少し垂れ気味の目元はあどけなさを残し、綺麗というよりは可愛いという印象を与える。しかし、ただ立っているだけなのに隙がない。エミルは直感的にこの少女が只者ではないと感じ取った。隣にいたマーシャの表情が一瞬にして固まりエミルの上着の裾をキュッと掴む。なるほどと、ティタ絡みの人物だとすぐに理解できた。
「あの、俺がエミルですけど・・・アンタは?」
タイタニアの少女は、ワンピースの裾を摘まんで膝を曲げ
「申し遅れました。私はティタさまにお仕えしているヘルミーネと申します。以後、どうぞお見知りおきを。お隣にいらっしゃるのはティタさまのご学友のマーシャさまですよね?先日は、ゆっくりとお詫びを申し上げることもできず、大変失礼いたしました。」
そういって、丁寧に頭を下げる。
「・・・・・・。」
マーシャは無言でヘルミーネと名乗った少女を睨みつける。
(俺が知らないってことは、DEMにやられてから来たってことか。)
「それで、ヘルミーネさん・・・だっけ?俺に何か用でも?」
頭を上げたヘルミーネは真っ直ぐな瞳でエミルを見つめ、
「はい。これからお二方をお屋敷へご案内させていただきます。」
「「は?」」
2人は顔を見合わせる。ヘルミーネは伏し目がちに
「はい、ティタさまはあの日以来部屋に閉篭りっきりで、口を利くことはもちろん、食事すらまともに摂られていらっしゃいません。従者の私でもマトモにお部屋に入ること適いません。そこで、ご学友であるマーシャさまと・・・。」
「私と・・・。」
「ティタさまが幼少の頃よりお慕いされていたエミルさまのお力をと思い、ティタさまには黙って参じました。」
ヘルミーネはそう語りながら両手でスカート部分をギュッと握り小さく震えていた。きっとヘルミーネはティタとエミルが以前どういう関係だったのかも知っているのだろう。それでいて現在従者であるヘルミーネがティタの傍にいても解決にならないという不甲斐なさに自分自身憤っているのだろうとエミルにはわかっていた。俺だって、結局ティタを守ることができなかったし、涙を止めることもできなかった。そういう意味ではエミルとヘルミーネは同じだ。エミルは小さく息を吐き
「要件はわかった。俺もティタのことは心配してたんだ。マーシャだって、こんな感じだけど俺と同じで心配してる。」
エミルの言葉にマーシャは目を見開き、驚いた表情で
「ちょっと、何言ってるのよエミルっ!」
エミルの背中を叩く。そして今度はエミルがヘルミーネの瞳を真っ直ぐ見つめ、
「もう・・・もう全部思い出したんだ。ティタのこと・・・。だから逢わせてくれ。謝りたいんだ・・・この間の事・・・それと・・・。」
声はフェードアウトしていき、最後はハッキリと聞き取れなった。すると、マーシャはヘルミーネが返事をしようと口を開いたと同時に
「私もっ!私も会いたいです。ティタとはお友達だから・・・それにライバルだし・・・約束した・・・から。」
マーシャも言葉が進むごとに視線を落としていき最後は俯いていた。ヘルミーネはそんな二人を見届けて、
「かしこまりました。それでは参りましょう。」
「はい。」
2人はヘルミーネの後について歩き出した。
「そういえば、ティタってこっちに家あるんだよな?」
エミルがマーシャに声を掛けると、
「うん、えっとウテナ湖の丘の上とか・・・。」
マーシャは人差し指を顎に添えて応える。すると、前を歩いていたヘルミーネが前を向いたまま
「はい。しかし、今は天界の本家屋敷にお戻りになられています。」
やや事務的に話す。東稼働橋に出た3人はそのままダウンタウンへ降りていく。
「あれ?それじゃなんでダウンタウンに行くんだ?どっちにしろ天界なら天まで続く塔からじゃないと時空の歪みに行けないだろ?」
エミルはヘルミーネに質問を重ねると、
「そうですね。本来の方法で渡航するならそうですが、今回は少し特別な経路で向かいます。セキュリティも兼ねてなのですが。」
「特別?」
「はい。ここダウンタウンにはタイタニアの貴族・王族専用路が用意されていまして。詳しく説明させていただくことはできませんが、直接お屋敷の中へ行けるのです。」
「へぇ・・・。初めて聞いたな。そりゃ便利だ。」
と、前を歩いていたヘルミーネが歩みを止めた。そこはダウンタウンの一角、何の変哲もない資材置き場だった。
「は?ここ・・・ですか?」
マーシャはきょとんとした目でその場を見つめる。ヘルミーネは首に掛けていたペンダントを服の中から引っ張り出すと、それを資材置き場に向かってかざした。すると、目の前の資材が幻のように消え、重厚な鉄の扉が姿を現した。続けてその扉の中央に開いた窪みにペンダントヘッドを合わせると、白色に光る結界術式が浮かび上がり消滅し、扉が自動で開く。
「さぁ行きましょう。こちらです。」
ヘルミーネはそのまま中へ入っていき、エミル達は今の出来事がおとぎ話のようで
「ふわぁ・・・エミル・・・すごいね・・・。」
「あ、ああ。スゲーな・・・。」
口をあんぐりと開けて見蕩れるしかなかったのだった。中は一本の廊下が続き、突き当たりまで行くとそこは広く開けていて何やら見たことのない装置が鎮座していた。ヘルミーネはその装置の脇にある画面とキーボードを操作して、
「これが転送装置です。ここからお屋敷へ向かいます。さ、お二人ともその台に上がってください。」
ヘルミーネの説明にエミル達は恐る恐る台に上がる。マーシャはエミルの手をキュッと握ってくる。
「大丈夫だよね?」
「あぁ、大丈夫。心配だったら俺の手しっかり握っとけ。」
二人が上がったのを確認してヘルミーネも台に上がる。
「それでは行きましょうか。少し眩しくなるので、目を閉じていただくことを推奨します。」
3人はゆっくりと目を閉じると同時に、一瞬身体が軽くなる感覚に襲われ、
「着きましたよ。」
ヘルミーネの声に目を開けると、そこはさっきまでいたホールではなく、大きな屋敷の玄関ロビーのようなところにいた。
吹き抜けの天井に大理石を敷き詰めた床、左右には大きな花瓶に色とりどりの花が生けられ、中央に敷かれた赤い絨毯はそのまま正面奥にある階段へ続いていた。
「すごいお屋敷・・・。ここがティタのお家?」
「ああ・・・見覚えがある・・・。懐かしい感じが・・・。」
エミルは辺りを見回してマーシャの質問に答える。その表情を見てマーシャは自分の胸がチクリと痛み、それを紛らわすためにそのままエミルの手を離さずにいた。
「それでは、早速ですがティタさまのお部屋へご案内させていただいてもよろしいですか?」
ヘルミーネはそう言うと、奥の階段へ向かって歩き出した。二人はそれについて行く。そして階段に差し掛かったときだった。
「ヘルミーネ、そこにいる人間は誰だ。」
階段の最上から少しきつい口調で声がした。ヘルミーネはその場で立ち止まり頭を下げると、
「はい、こちらにいらっしゃるのはティタさまのご学友でティタさまの体調をご心配されお見舞いに・・・」
と、そこまで説明したとき、ヘルミーネの言葉を遮るように、
「き、貴様・・・エミルか・・・?エミルなのか!」
突然強い口調で言い放たれる。エミルはビクンと肩を震わせ、声の主の方へ視線を上げると、そこには取り戻した記憶の中に深く刻まれていた男が立っていた。
「タ、タイタス・・・。」
エミルは名を口にするのがやっとという感じで、全身に嫌な汗が滲みだす。マーシャはエミルのただならぬ雰囲気に、思わず息を呑み繋いだ手を離しエミルの背中に隠れる。
「なぜだ・・・なぜ戻ってきた!もう貴様はティタに必要ない!従者でもない人間風情がなぜこの地を踏んでいる!ヘルミーネっ!お前ほどの者がなぜこんなくだらない事をするっ!」
タイタスは険しい形相で湧き起こる怒りの矛先をヘルミーネに向けた。
「俺はっ!」
そこでエミルが再度口を開いた。
to be continue
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