トーコの1日・・・もう少しお付き合いください♪
そして、新たな進展が?!
でわでわ、第6話のはじまりでーす。
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「4番唐揚げ上がったよ!」
「はーい!」
「トーコちゃん、ビール追加~」
「は~い、ただいま~!」
「トーコちゃん、こっちワインね~!」
「はいはーい!少々お待ちくださーい!」
「ひぃ~、今日なんでこんなに忙しいのぉ・・あ、演習日だからかっ!」
右手にジョッキ左手に料理を持って走り回る私。今日のディナータイムはいつもの倍以上の客入りで目が回るほどの忙しさだ。今日は闘技場主催の四騎士団合同演習が開催されたため人が多いのだ。しかも、いつもは開催スケジュールが組まれていてその日に関してはヘルプを雇うのだが、月に2、3度はスケジュールと関係なくゲリラ的に開催されるためこんな風に私とマスターの二人だけで戦争しないといけないのだ。
「マスター!ウテナチキンとアクロニアサラダ入りまーす!」
オーダーの書かれた紙を厨房カウンターに叩きつけるように置いていく。
「ねーちゃん、おあいそだ!」
「はーい!」
「トーコちゃん、こっちもチェックねー!」
「少々おまちくださーい!」
パタパタ所狭しと走り回る。
(もう少し・・・もう少しでおしまい、ガンバレ私!)
「450ゴールドのお返しです。ありがとうございましたー!」
「ごちそうさま。またくるよ。」
「はい、またのご来店をお待ちしておりまーす♪」
そんな感じで夜のピークタイムは収束を迎える。お店には数人の客がお酒を片手に熱く語り合っているくらいで、さっきまでの出来事は夢か幻かと思うほどの落ち着きぶりだ。私はお皿やジョッキを片付けながら、私たちの戦争の疲れに小さく溜息をつく。
『トーコ、トーコ』
耳元・・・いや頭の中に声が響く。
『なに?私、ちょっと疲れちゃってるから・・・』
『だから・・・お疲れ様。トーコいつもこんなに働いてるの?』
『ううん、今日は特別。いつもはもう少し少ないよ。』
テーブルのお皿を両手に持って厨房へ戻る私の肩にちょこんと腰を下ろすキサラギ。
『でもアレねぇ。こんなに毎日バタバタしてるんじゃ、恋を見つけるどころか出会いすら難しいわねぇ。』
腕を組んでうーんと唸る。
『しょうがないよ、って別にそんなの求めてココで仕事してるわけじゃないし。それに楽しいよ?』
『はぁ、こうやって世間のオールドミスが生産されていくのねぇ。』
『ちょっ!何よ生産って!それにオールドミスとかそんな歳じゃないよっ!』
『こんな生活じゃソレも時間の問題でしょうが。まったく・・・』
私はお皿を厨房カウンターに置いて次のテーブルの片付けにホールへもどると、
「こんばんわ。マスターまだ大丈夫かな?」
店に二人の男性が入ってきた。
「はーい、いらっしゃいま・・・あ、エミル君、タイタスさんもこんばんわー。」
「やぁトーコちゃん。き、き今日もかわいいね・・・。」
入ってきたのは、エミルとタイタスだった。
「もう、エミル君そういうの似合わないって。それにどもってるし。」
「い、いやぁ・・・やっぱり?ベリアルが女の子に出会ったら挨拶だから必ず言えっていうんだけど、いざってなると恥ずかしくってさ。」
エミルは鼻の頭をポリポリと人差し指で掻きながら言う。
「アホかエミル。あんな女たらしの悪魔男の言うこと真に受けやがって・・・ったく。」
エミルの後ろでタイタスがメガネを中指で直しながら溜息をつく。
「い、いやでも、ボクも少しは女の子と話くらいできないと・・・。あはは。」
二人はそのまま奥のテーブルに腰掛ける。
「今日は珍しく遅いんだね。演習には出なかったの?あ、ご注文は?」
私はメニューをテーブルに置く。二人はメニューを手に取ることなく、
「今日はコレやって、それから・・・。」
エミルが私に1枚の紙を差し出した。
「あ、クエストだったんだ。それはそれはお疲れ様です♪と、それから?」
「あぁ、タイタスの探し物だよ。」
エミルとタイタスの表情が少し曇る。
「あ・・・。それで、見つかったの?えっと、ティタのココロの欠片だっけ?」
「いや・・・。」
「そう・・・。」
私は切なくなった。笑みが顔から消える。
「その話はもういい。そんな簡単に見つかるなんて思っていないしな。それにトーコ、オマエも気にするな。その代わりティタの同級生で、いや友達のままでいてやってくれ。」
タイタスが優しい瞳で私を見つめる。
「うん、もちろんだよ。ティタには優しくしてもらったもん。ずっと友達だよ。」
私も精一杯の笑顔でタイタスに向き合う。
「それじゃっと、いっぱい動いたからお腹ペコペコだよね?マスターにボリューム満点の美味しいもの作ってもらうよ。それと、クエストの報酬も取ってくるね。それでは、少々おまちくださいませ。」
そう言ってペコリと頭を下げると厨房へさがった。
「マスター?オーダー入りまーす。エミル君とタイタスさんに元気が出るゴハンでーす。あと、クエスト報酬も出まーす。」
「オッケー。依頼書に書いてある依頼番号と同じタグのついた袋、金庫から出してくれるかい?」
「はーい。」
私は厨房の奥にある金庫を開けて、中に入っている小さな麻袋の束から同じ番号のタグを探す。
「あった♪」
目的の袋を取り出して、立ち上がった私に声がかかる。
「そうそうトーコちゃん。結局、トーコちゃんの本命はどっちなんだい?」
・・・To be continue
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