俺、ベルッドはアポ無しで天戒なるオッサンに会いに行った。
このオッサン、俺にレベル55以上の冒険者を師匠にしろと言いやがった。
言うは易しの典型だとは思わないか?
そんな奴が知り合いにいたら、こんな苦労はしねえんだよっ!
まぁいいや。
そんで、ヘタレの警備隊から頼まれてキラービー退治に行ったわけだ!
キラービーごときに負けるような俺ではないんだが・・・・
なんなんだよっ!
あのデッケー青い蜂は!
散々に追い回されて体力を削られて死ぬかと思ったよ。
だが、それがいい!!
これこそが冒険じゃないかね?
何とかノルマ分のキラービーを倒して戻ったんだけどね。
ヘタレ野郎から、双子に会えと言われたんだ。
なんでも、俺のような若葉マークの初心者を支援してくれるんだとか・・・・
そういうことなら、会わなきゃいけないよな?
そう思うよな?
だけど俺は今・・・・・・
自分が何をしているのか、数え切れないほど自問自答してるんだぜ。
だってよ。
あの双子の女の方なんだが・・・・
挨拶は大事だって言うんだよ。
いや、俺もそう思うよ、うん。
でもなー・・・・
結局、挨拶をするかしないかは、そいつの品性の問題なんだよな。
だから、わざわざ行かなくてもいいじゃん。
とは、言えなかった。
だって、目の前で『挨拶なんか』って言った弟のほうがさ~・・・・
姉の見事なサマーソルトキックくらってKOされたんだぜ。
俺がビビッても仕方ないよな?な?
仕方ないから、守衛に挨拶しに行ったんだけどさ。
一箇所で終わるわけねえよな?
東西南北の守衛に挨拶したんだけど・・・・
そしたら守衛の一人が、カレーって奴に挨拶しに行けってんだよ。
なぁ、なんか趣旨が変わってねえかぁ?!
仕方ないから会いに行ったけどカレーの野郎、調子こきやがってタヤックに会えってんだよ。
こいつに会うのに近道したつもりが、ちょっと遠回りになっちゃってな。
そしたら道中で赤い色した犬が集団で襲ってきやがってさ。
マジで死ぬかと思ったよ。
誰かが逃げながらモンスターを大量に引っ張っていくのってさ。
あれってよ~
業界用語でトレインって言うんだろ?
でもよー、トレインと一つ違うのは、殲滅してくれる仲間がいねえってことだな。
どうにか逃げ切って目的地に到着したんだがね。
タヤックが言ったのは、どうでも良い昔話だったわけで・・・・
しかもファーマーに会えって・・・・
もうね、毒を食らわば皿までって気持ちで行ったよ。
そしたら今度は、東の国境警備隊に会えってさ。
分かったよ、行くよ行きますよ。
もうね、毒を食らわば(以下同文)
でも、さすがに終わりだろう。
東の国境だもんな・・・・
長い長い挨拶の旅も終わりだ・・・・・
え?
なん・・・・だと・・・・
西の国境警備隊に会え・・・・だと・・・・?