お待たせしました!すいませんっ!
何も言い訳しませんっ!
読んでくださいっ!!!
------本 文------
「姐さーん、姐さーん。お邪魔しますよ~。アナタのエイルですよ~。」
玄関から聞き慣れた声がした。
「あぁ・・・ちょうどいいところに。鴨がネギも鍋もコンロも背負ってきたわ♪(ΦωΦ)キラーン」
玄関からの声がこちらへ近づいてくる。途中、ドスッっと聞こえたような気ががしたけれどそれ以上に、これから始まるイベントの方が大事な私にそれは些細なことだった。
「おー、いたいたぁ。姐さん、緑ちゃんも毎度~♪あなたと共にエイル商店です~。」
リビングにぐるぐる眼鏡の少女・エイルがひょこっと顔を出す。
「おっす♪さっきはありがとね。エイル」
「そんなんっ♪姐さんの頼みやもん、ウチは気にもしてへんわぁ。それで・・・ハイ、これさっきのデータ。」
そう言って、1枚のディスクを手渡される。
「あぁ、サンキュ。悪かったね無理言ってさ。」
「それと・・・今日は緑ちゃんにもお土産があるでぇ・・・♪」
エイルはポケットをゴソゴソと何やら探し始めた。鈴緑はどことなく胡散臭い雰囲気のエイルの言葉だからと少し身構えて待っている。
「お・・・あったあった、ハイ、緑ちゃん、大事にしてな♪」
そう言ってエイルが出したのは数枚の写真だった。緑はおずおずとソレを受け取って眺めると、途端に表情が変わった。
「どうや?よう撮れてるやろ?特に最後のは宝物になるんちゃう?」
鈴緑の顔は、それはもうひまわりみたいな笑顔でエイルを見つめ
「ありがとうございますっ!みどりすっごく嬉しいですっ。大事にします。」
「ん~?なになに?みどりちゃん見せて見せて~。」
私は鈴緑の顔にくっつく様に覗き込む。ソコに写っていたものは、私と鈴緑が散歩している写真数枚と、この間のお誕生会の写真が数枚、そして最後は今日自宅に帰る途中の鈴緑と手を繋いで歩いている後ろ姿。会話の途中だったのか二人顔を見合わせ、鈴緑の屈託のない笑顔が降り注ぐ夕日に照らされて、とてもキレイに収められていた。
「へぇ・・・よく撮れてんじゃん。よかったね緑ちゃん。」
「ハイです♪」
「でも、お誕生会の写真って・・・エイルあんた来てなかったよね?」
「そうなんよ、でもユニコはんのカメラからチョイチョイっと・・・ね」
(ユニコのカメラからチョイチョイって、もしかしたら今日のアレもエイルの手に渡ってるかもしれない・・・今度じっくりねっとりみっちり訊いてみようかな。)
そんな考えを回らせながら、それよりも優先事項であるバウの話を切り出すことにした。
「そうだエイル、ちょっとイイ?頼みたいことがあるんだけど。まずはこの子・・・どう思う?」
私の目線の先には、椅子に座って行儀よく少し大きめのマグカップを両手で持ってミルクティーをフーフーしている少女がいた。
「どないしたんですか?って、またえらい可愛らしい子攫ってきましたんやなぁ。緑ちゃんもおって更にこの子て・・・姐さんハーレムルートのフラグでも立てやはりましたんか?」
エイルの一言に私の眉がピクンと動き、次の瞬間にはエイルの首をガッチリ固めていた。そして、蕩けるような艶っぽい声で、
「エ・イ・ル♪ここでルート分岐のフラグが立ちました。バッドエンドルートとデッドエンドルート、どちらを選択しますか?」
私は腕に少しずつ力を入れていく。
「え?あ?って!ちょ・・・あ、姐さん・・・両方とも先に進めませんやんっ!」
「あら?でも両方ともエンディングには到達できるわよ?ちゃんとスタッフロールも流してあげる♪」
更に力を入れる。
「そ、そんなん、い、いやや・・・そ、ちょ・・・アカン!アカンて!入ってる!決まってる!首っくびっ!これ、限りなくデッドエンドですやんカハッ・・・」
「やだわエイル♪デッドエンドだけが死ぬとは限りませんことよ?」
「すんません!姐さん!なんでも・・・な、何でもゆーこと聞きますさかいっ!なん・・・アカン・・・三途の川の向こうでじいちゃんが腰振ってる・・・。あ、今のトコ・・・突っ込むトコ・・・や・・・。」
落ちるか落ちないかのギリギリなところで腕の力を抜く。エイルはその場に崩れ落ち、ハァハァと呼吸を整える。
「よかった♪エイルだったら私の頼み聞いてくれるって信じてたんだ♪」
「はぁはぁ・・・その♪にもの凄い殺意を感じたんはウチだけですか・・・はぁはぁ。」
エイルは、カラダを起こして何とかその場に座り込む。
「はぁ・・・で、姐さんの頼みって何ですの?」
「あのね、この子預かってほしいんだ。」
「は?」
「わかんなかった?」
「いや、わかんなかった?やありませんがな。預かるて・・・ウチまで誘拐犯の共犯にするつm・・・。」
「居合ってね、極めると斬られた後も暫く血が噴き出さなくて、斬られた本人も気づかないんだって♪知ってた?」><v
「><v ちゃいますやん!というか、本当のこと教えてくださいよ~。」
エイルは口を尖らせて抗議する。私は、しょうがないといった風に小さく溜息を吐くと、
「エイル、ちょっとこっち・・・。」
部屋の隅に呼ぶ。
「最近、アップタウンに人型のモンスターが出るって噂知ってる?」
エイルは少し考えて、何かを思い出したように
「あぁ、知ってます。何でもダークフェザーが可愛らしい女の子になってるっちゅうやつでしょ?」
「そう。アレさ、バウもいるんだよ。」
「は?バウ?バウってあの犬ッコロの?どこに?」
「ソコに。」
「・・・・・・」
「でも、あの子からは悪意が感じられないの。純粋に人と接したいだけなの。でもあの通り幼いし、まだ人としてのルールとかわかってないから、トラブルに巻き込まれたりしそうでさ・・・。だから、アンタに預けて教育してもらおうかなーってさ。」
私は親指を立てて、クイッと部屋の中央に向ける。その先には、鈴緑が取り込んだ洗濯物をバウがやり方を教わりながらたどたどしい手つきで一生懸命畳んでいた。それでも、初めての事ばかりで楽しいのか、フサフサのしっぽは絶えず揺れていた。しかし、エイルから出たのは
「えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
その時のエイルの表情は、見事なまでのへの字口で、もう面倒くさいと全身でアピールしていた。
「あのさぁ、あの微笑ましい光景を見てなんとも思わないの?ああいう子がこれから増えていけば、いつかモンスターと共存できる平和な世界が訪れるかもなんだよ?」
「それでもモンスターなんでしょー?ウチいつ襲われるかしれへんのですよ?そんなん嫌や不安で夜も眠れやしませんやん。」
エイルのワガママに2回目の溜息を吐き、
「誰もタダでって言ってないんだよ?」
「もう、姐さん☆さきにそれ言わなあかんやんっ♪いつまで預かればええんですか?」
私のたった一言でエイルの態度が豹変する。私はこみ上げるモノをグッと堪え、やや硬めの笑顔を作り、
「ホントゲンキンな子だねぇ・・・。まぁそれでも預かってくれるに越したことはないからね。期限は・・・あの子の成長具合かなぁ。私も時々顔出すし、昼間はここに連れてきたら鈴緑が相手してくれるとおもうから。頼んだよ♪」
エイルの肩にポンと手を置いてウィンクする。
「それで、姐さん、あの・・・報酬は・・・」
「あぁ、ちょっと待ってね。確かこのクローゼットの・・・」
私は部屋のクローゼットを開けると、エイルにあげるご褒美をゴソゴソ探し出す。
「あっ☆あったあった♪」ジャラ・・・
私の左手に乗っていたのはぐるぐる眼鏡だった。しかし、この眼鏡、ただのぐるぐる眼鏡ではない。
「こ・・・これは・・・このぐるぐるの力強さといい、フレームのナチュラルなカーブ、気品に溢れたライン・・・姐さんっ!この逸品・・・どないしやはったんですかっ!」
「イイモノでしょ?これは、トンカの庭職人がハンドメイドで仕上げた一点ものだよ。」
ぐるぐるの力強さとか私にはサッパリだけど、エイルには堪らないらしい。
「こ・・・これホンマにいいんですか?」
エイルは声を震わせる。
「いいよ。エイルにぴったりだと思って、手に入れたんだから♪・・・・・マズハ アメ」
「おおおおぉぉぉ・・・。これはホンマにエエもんや・・・最高の職人技や・・・」
エイルは穴が開くほどに眼鏡に見入る。しかし、私はそれを待っていた。スッとエイルの背後に回ると、右手に持っていたモノをエイルの首に巻く。
ジャラッ!カチン!
「へっ?!」
エイルが気づいた時には、鎖に繋がれた首輪がしっかりと巻かれていた。
「ちょっ!なんですのん?!姐さんっ!」ジャラ・・・
驚いたエイルは、まだ信じられないという表情で私を見る。
「よく言うじゃん?アメとムチって♪」ジャラ・・・
私は可愛くウィンクして、赤い舌先をチロっとだす。
「わかりやす過ぎやーーっ!しかも、ムチてこんな物理的なモンちゃいますやーんっ!」
そして、クライマックスへ・・・
あのね、ボク知ってるよ!
とぅびぃこんてぃにゅうって しちゃうものなんだよね!
1 そーだよ♪ 2 しないものなんだよ! 3 キミヲタベチャウンダヨ・・・
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