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各月の日記

YUNIKOさんの日記

(全員に公開)

2012年
03月15日
02:36

第23話 思い×想い×重い

友の事を思う。
友の事を想う。
思いが重い
想いが重い
トーコの気持ちは思いか想いか・・・。
23話 はじまります。

------↓↓本文↓↓------
 気が付けば、私はベッドの上にいた。所々ギャルリのような造りになっているダウンタウン、部屋の窓から差し込む僅かな陽の光は消え、代わりに街灯の灯りがカーテンを照らす。どれくらいの時間こうしていたんだろう。私はベッドから起きることなくボーっと考えていた。今日は色々ありすぎた。マーシャさんの想いを知ったり、ルルイエの想いを知ったり、ベリアルくんの想いを告げられたり。そして、エミルくんの隠された過去。何も考えたくなくて、溜息さえも音になると色んな思いが溢れてきそうで、当然食欲なんてあるはずもなく今日はこのまま眠ってしまいたい。私は黙ってベッドから出ると、左右に結われたリボンを解いてブラウスのボタンを外していく。下着一枚の姿になった私は、部屋の姿見に自分を写し静かに向き合う。ベリアルくんは私を好きだと言ってくれた。けれど、それに応えると傷つく人がいる。顔もスタイルもあの人の方が素敵、勝てる部分なんてない、私自身はエミルくんを好きなんだと思っていた。けれど、その気持ちが本当でも勘違いでもそれをぶつけると悲しむ人がいる。それにぶつけた相手が応えてくれない場合だってある。そうなった時に私はソレが受け止められる?傷ついても次のステージへ踏み出せる?

傷つくのが怖い。傷つけるのが怖い。

私の思考は定まらず、けれど定めるべき方向も何もわからず、ただ漠然と怖いという感覚だけが私のカラダに纏わりつく。纏わり付いた感覚は違和感だけでしかなく、不快で苦しくて我慢できずバスルームへフラフラと向かう。きっとシャワーを浴びればこの違和感も不快感も全て流せると思ったから。今までだって、学校で嫌な事があったり、仕事で失敗した時は、シャワーを浴びてぐっすり眠る。そうすれば次に朝が訪れる時には全てが私の中で小さく小さくなって、気にも止まらないほどになっていたから。だから、今日もシャワーを浴びる。私はバスルームでシャワーのコックをひねる。頭から雨のように降り注ぐ。頭、肩、胸、お腹、脚・・・。降り注ぐシャワーは私を清めるように順に流れていく。

しかし、流されることはなかった。

苦しいままだった。辛いままだった。違和感も不快感も。私はその場に崩れ落ちるように座り込み両手で顔を覆う。

「どうして・・・。どうして消えないの・・・。これが恋なの・・・これが人を好きになるって気持ちなの・・・。それなら・・・それなら私、恋なんてしたくないよ・・・。」

声なんて出したくなかった。けど声をださないと、このままこの違和感に飲み込まれてしまいそうで、この不快感に押しつぶされてしまいそうで。壁に寄り掛かるようにして立ち上がると役立たずのシャワーに失望した私はバスルームを後にした。
 バスタオルだけを巻いたカラダで、私はリビングのソファに腰を下ろす。何をするわけでもなく、ただボーっとそこに座っているだけ。その時、私をフッと現実に呼び戻す声がした。

「ただいま~って、トーコなにしてんの?そんな格好で!」

キサラギが帰って開口一番口にした言葉。そこで私の瞳の焦点が合う。まず視界に映ったのはリビングのテーブル。次に映ったのは、その上に仁王立ちしている小さな悪魔の姿。

「トーコ、アンタそんな格好で何やってんのよ!風邪引くわよっ・・・って、ホラ!こんなにカラダ冷たいじゃん!」

「キサラギ・・・キサ・・ラ・・・。」

私の雰囲気がいつもと違うことに気付いたキサラギは、私の肩に腰掛けると自分の小さな頬を私の頬に寄せて、

「ホラ・・・どうした?何があった?カラダ、震えてるよ?」

キサラギの優しい声に誘われて、私の瞳からSOSのサインが溢れ出す。

「ふぇっ・・・キサラギ・・・キサラギィ・・・えっく・・・。」

キサラギは何も聞かず、私の溢れ出したSOSを手でそっと拭い、

「わかったよ。風邪ひいちゃうからね。もう一回お風呂入るよ?お風呂で聞いてあげるからさ。」

「・・・・・・うん」

私は小さく頷いて、もう一度バスルームへ向かった。そしてまたも頭からシャワーのお湯が振り注ぐ。しかし、今度はキサラギが丁寧に私を暖めてくれる。シャワーを浴びて湯船に浸かる。キサラギは湯船の縁に腰掛けて長い尻尾をお湯の中に入れ、くるくるとお湯をかき混ぜる。

「それでトーコ、アタシが傍にいない間に一体何があった?」

「・・・・・・。」

「はぁ・・・。」

湯船の縁に腰掛けていたキサラギは、溜息を一つ落とすと私の肩に座りなおし

「言ってみ?ベリアルの坊やに何かされた?キスとか・・・それ以上とか。」

「されてないっ!されてないんだけど・・・」

私はキサラギにベリアルとルルイエに会ってからの事をひと通り話した。ルルイエがベリアルくんの事が好きだということ、ベリアルくんが戦争に行くこと、私に告白したこと、そしてエミルくんには、何か隠された過去があること。

「なるほど・・・。それはまた一気に来ちゃったわねぇ。それで?トーコはそれを経験してどう思ったの?」

「誰かを好きになったときに他の誰かが傷ついて、誰かの想いに応えたとき他の誰かが傷つく・・・そんなのが恋なら私・・・したくない。恋なんてしなくてもいいよ・・・。」

私の瞳にまた涙が浮かぶ。キサラギは私の頬に自分の頬を寄せて、

「トーコ、誰かを好きになるっていうのは、傷つくことも含めてひとつなんだよ。誰かが傷つくのも、トーコがその役になるかもしれない。誰かを好きになっても、好きになった人がトーコを選んでくれなかったら傷つく。でもね、そういう経験を重ねていくから誰かを思いやる気持ちが生まれるんだし、トーコはまだ誰かをホントに好きになったことないみたいだからピンとこないかもしれないけど・・・。お店でベリアルにアタックされたときも私がエミル坊やの事けしかけたときも、トーコその後ドキドキしなかった?トーコの目に映る全てのモノ全ての人が新鮮に映らなかった?」

キサラギは、溢れそうな私の涙をまた手で拭う。

「それは・・・ドキドキした・・・。街を歩くドミニオンの人を見かけると自然と目で追ってたり・・・。」

「そのドキドキは辛かった?苦しかった?」

私は俯いて首を小さく左右に振る。

「でしょ?恋っていうのはね、心の魔法なんだよ?ドキドキしたり、優しい気持ちになったり、あとトーコ髪型変えたり自分をちょっと変えようって勇気、生まれたでしょ?」

「う・・・ん。」

「傷つくことも、そのときは辛いかもしれない。けど、その分楽しいこととか、イイコトあるでしょ?だから魔法。ようはギブアンドテイクね、イイコトばっかりじゃ成長しないからね♪」

なんだろう。この気持ち。あんなに辛いと感じた違和感が今はドコにも引っ掛かっていない。キサラギの話を聞いたから?キサラギに私の気持ちを聞いてもらったから?もしかして、キサラギが私の傍にいてくれるから?・・・・・・キサラギって、本当に恋の守護魔なんだ・・・。私は漠然とそう感じた。

「それじゃ・・・っと、トーコの行動はひと通り聞いたし、次はアタシの番か。あ、でもこれ今聞くのはトーコ辛いかなぁ。」

キサラギはブツブツと独り言を呟く。そういえば、キサラギは私がルルイエと話している辺りからいなくなっていた。一体何をしていたんだろう。気になる。

「ねぇ、キサラギ・・・。」

「うん?」

「キサラギの番って、キサラギはドコへ行っていたの?」

キサラギはほんの少しだけ考えて、自分の位置を肩の上から私の正面に来る。キサラギは少しだけ表情硬く、私の瞳をじっと見つめる。

「いい?これからトーコの中へ直接アタシが見てきたことを送り込むわ。」

「直接・・・私に?」

「そう、これはアタシとトーコが契約成立してるからできる芸当。初めてのときはちょっとボーっとしちゃうかもしれないけど、痛いわけじゃないから安心して。それと」

「う、うん。それと?」

「送り込む情報は、私が見たり聞いたり体感したことがそのままトーコに中で再生されるわ。そうねぇ・・・夢・・・を見てる感じに近いかも。」

「夢・・・」

「そう。だから、トーコには信じられないような事が見えるかもしれない。もしかしたら見たくなかった事まで見えるかもしれない。でもそれが真実だと受け止めると約束して。・・・いや、受け止めなさい。これが真実だと。」

キサラギの言葉が私の胸に突き刺さる。
なんだろうこの感じ。
聞いちゃいけない、見ちゃいけないと私の能が無意識に警告する。けれど・・・

「うんわかった・・・約束する。」

その警告とは間逆に、私は首を縦に振る。

「オーケー。それじゃ、お風呂上がってトーコの部屋でやりましょう。・・・・・・とその前に・・・・・・。」

「ん?」

その瞬間、キサラギの目が狩人(ハンター)のソレに豹変した。もっと警戒するべきだった。いやそうじゃない、最初のシャワーの段階でちゃんとパジャマに着替えてベッドに潜り込んでおくべきだったんだ。

「トーコの・・・・・・女度成長チェ~~~~~~~ック!!!」

キサラギが私の胸を鷲掴みしてきた。

「ちょっ・・・きゃあああぁぁぁ!」

私は突然の攻撃に思わずその場で立ち上がるが、それがマズかった。キサラギは一瞬の隙に私の背後に回りこみ、容赦なく私の胸を揉み拉く。丹念に、執拗に、みっちり、たっぷり、それはもうねっとりと・・・。

「トーコ、アタシと出会ったときより大きくなったんじゃない?」

「そんなのわかんないよぅ!ちょっと、やだぁ・・・もぅ・・・ちょっ!!」

私は必死に抵抗しようとするが、

「あれ?手が動かない?ええぇ?!」

キサラギの尻尾が私の手首に巻き付いて、身動きが取れない。私は手の自由を取り戻そうともがくが、きつく縛られたように全く解けない。そして、いつもより少しトーンの高い声が耳元で・・・これが本当の悪魔の囁きとでも言うように

「つーぎーはー・・・ラインア~ンドヒップチェ~~~~ック!」

キサラギの手が私の脇から背中、腰、そしてお尻へ滑っていく。その動きがあまりにも滑らかで、私はゾクゾクと全身に電気が走る。

「シリアスな流れだったのにぃぃ!どうして最後にこうなるのよぉ!も、も、もう・・・・やだぁぁぁぁぁぁ!」

しかし、これくらいリラックスしてなかったら、きっと私はこの後の・・・・・・。


To be continue…
  • ECOの創作
  •  キサラギ

コメント

1番~5番を表示

2012年
03月15日
07:49

待ってました!

やっぱりこのお話はこうやってトーコちゃんとキサラギちゃんが話したりしてるのが一番好きですね
二人のしぐさや感情がすごくリアルに伝わってくる感じがします

この後トーコちゃんが衝撃の真実を知ってどうなっちゃうのか、キサラギちゃんがどう支えていくのか、気になってしまいます

2012年
03月15日
12:40

>>エコイストさま
待っててもらっちゃいましたっ!
ありがと~♪
ですよね、私もトーコとキサラギの掛け合いが書いてて楽しいです。

>>二人のしぐさや感情がすごくリアルに伝わってくる感じがします
ホントですかっ!?そう言ってもらえると書いてて俄然やる気がでます♪

このターン、ちょっぴりシリアス風味で次回も続きます。おたのしみにっ☆

2012年
03月15日
13:29

ふはー!一気読み!!
役立たずのシャワー、が気に入ってしまいましたw

冒頭のブルーでグレーな映像が頭で自然と再生されましたん。
良い感じの描写表現だと思いますっ!
キサラギさん、凄くイイコト良いマスねぇ・・・。

2012年
03月15日
15:34

タイトルどおりちょっと重い話でしたね~(ラスト除くw)
この状況でエミルの過去話を聞いたらトーコちゃんはどうなってしまうのか!?
次回に期待ですな

2012年
03月15日
19:10

>>えめるさまん
一気読みありがと~!
お気に入りのフレーズが1つでも見つかるって、嬉しいよぅ。゚(゚´ω`゚)゚。ピー
今回と次回はちょっとこの先の展開に関わってくるターンなので、
ちょっぴりシリアス風味ですw
でも、ソコを抜ければ・・・・!!!←ハードルアゲルバカ

キサラギはイイ子だよっ!イイコトシカイワナイヨッ


>>るみねちゃん
読んでくれてありがと~!
ちょっと重かったですか?次回もちょっと重いですよ?w
でもその後はきっと笑顔になれる展開に・・・ナルトイイナ

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