さてさてー、
寝る間を惜しんで書きました『アクロニア学園狂想曲(カプリッチオ)』でーす。
どんなお話に進んでいくか・・・
予想を裏切るシーン2
はじまりはじまり~♪
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シーン2:【alla caccia マーシャ → エミル = 獲物】
「んでさ、オレ思うわけよ。酒場のお姉さんもいいけどよ、スタンプショップのお姉さんが実はイチバン可愛いんじゃね?って。」
「ほほう、それはどんなティタなんだ?」
「なんで、世の中の女全部ティタなんだよ!それ何基準!」
「私の標準はティタであり、最高ランクもティタなんだ。いいぞ~ティタは何人いても困らないからな♪世界中の女性が全員ティタでも私は全員平等に愛せるぞ!」
「うわぁ・・・ウザッ!気色ワリィんだよ、このヘンタイめっ!」ゴキッ
「うがっ・・・」
教室を出た3人は、バカな話をしながら廊下を歩く。幼い頃からずっと一緒にいるとこういう会話が実は一般的に行われていると錯覚してしまうから怖い。結局、エミルはティタとの約束が中止になったためベリアルのバカに付き合うことになった。
「なぁ、エミルはどー思うよ?やっぱ酒場のお姉さんか?だよなぁ・・・どう考えても絶対スタイルは向こうのほうがいいもんなぁ・・・って、おい、聞いてんのか?エミル?」
ベリアルとタイタスの馬鹿な会話は右から左で、そんなコトよりもエミルは一人の少女に注意が向いていた。エミルの視線の先には、髪は腰の辺りまで伸びた明るめの茶髪、後ろでポニーテールに結われたソレは彼女の行動力を象徴している。身長はエミルと同じくらいで学校の制服という皆が同じデザインのモノのはずなのに、他の女子とは違うとわかるほどメリハリの利いたスタイル。短めのスカートから伸びる白い脚は黒のオバニに包まれているが、その無駄のない洗練されたラインは誰が見ても理想のものだ。そんな目立つ彼女が廊下に現れようものなら、たちまち生徒たちの視線は自然と独り占め状態に。
「あ、会長さようなら!」
「さようなら。」
「会長さよーならー♪」
「はい、さようなら・・・あ、ちょっとアナタ?タイが乱れてるよ。ホラ、制服はキレイに着てこそ可愛く魅せてくれるんだから、ちゃんと着ないとね♪・・・ハイ。」
と、一人の女子の制服タイを優しく直す。
「は、は、はいっ。あ、あ、ありがとうございますぅ!!」キャー
その子は顔を真っ赤に染めて、隣にいた友達らしい女子とキャーキャー騒ぎながら下校していく。その光景を見ていた他の生徒には「いいなぁ」と羨ましがられる始末。挨拶をしていく生徒達の言葉からお気付きだと思うが、彼女はこの学園の生徒会長を務めていた。ウチの学園は代々生徒会長の選出基準が首席と決まっている。そう、彼女は頭脳明晰・容姿端麗・運動神経抜群というカンペキ超人なのだ。
「なんだよエミル?ティタがいるのに浮気か?お兄さん感心しないなぁ。」
「ち、ちがうよっ!たまたま視界に入っただけだって!」
ベリアルの不意を付いた言葉についついムキになって反論してしまう。
「つっても、マーシャかぁ・・・アイツは目立つし見ちゃうわなぁ。我が東アクロニア学園生徒会長にして学園のアイドル、マーシャ姫。成績優秀、容姿端麗、2年生になった途端生徒会長だもんな。そういえば、この間も3年の人が告白して玉砕だったとか聞いたな。難攻不落のマーシャ嬢、その魅惑のボディに触れられるのは誰なのか・・・なんてな。ガキん頃は単なるやんちゃな女子だったのにな。幼なじみのオレらでも、もう迂闊に声かけられん雰囲気だよな。」
「なんだベリアル、お前マーシャが気になるのか。私はティタの方が勝っているとおもうがな。なんだあの胸にくっついてる玉のような塊は。あれはムダ以外の何物でもないじゃないか、そう思わないかエミル。」
「い、いや、ボクはそんな・・・あの・・・。」
「タイタスは話に入ってくんな。ムダにややこしくなんだよ、エミルも何マジで答えようとしてんだよ。」
と、その時廊下の向こうにいたマーシャがエミルたちに気付いた。さっきまでのすまし顔をふにゃっと崩すと、ハッとした表情で回りを確認し、誰も見ていなかったとわかるとそのまま小走りでこっちへやってきた。
「やっほやっほ♪」
「おいおい、生徒会長が廊下走っていいのかよ。」
「いいのよ。誰も見てないんだから。ベリアルみたいにアタシはおバカキャラで売ってないから、こうやって時々息抜きしないとダ・メ・な・の。」
「おめー、そのセリフ他の生徒が聞いたら泣くぞ?」
「ふっふーん♪そんな事で私の存在が危うくなるような半端な猫は被ってませんの。おほほほ」
「へいへい、さいですか。たいしたモンだよまったく・・・。」
やはり、マーシャもいい性格をしているようだ。幼い頃となんら変わりがないということは彼女の瞳を見ていれば理解できた。マーシャはおもむろにエミルの前に立つと両手を胸の下で組んで少し腰を引いたポーズを取りだした。
「ちょ、マーシャなにやってんのさ!」
「ねぇねぇエミル。アタシね、ちょっと変わったんだよ?わかる?」
上目遣いでエミルに問いかける。そして、組んだ両手を少し持ち上げ、
「胸がねぇ、また大きくなったんだよ♪でも、ウェストは1cmだけど絞れたんだ♪」
「へ・・・へぇ・・・(〃o〃)」
エミルはマーシャからすっと視線を外す。
「やん♪エミル赤くなってるぅ。」
マーシャは赤くなったエミルを見るとガバッと抱きつく。
「うーわ、マーシャ、エミルは繊細なんだからあんま刺激すんな♪代わりにオレがその役代わってやるから。」
「イヤよ!ベリアル、アンタに触られたらアタシ妊娠しちゃうじゃん!」
「ちょ!マテコラ・・・。」
「アタシのこのカラダはぁ、エミルのモノなの~♪私、約束したもんねぇ☆」
そう言って、マーシャはエミルの顔にたわわに実った自慢の果実を押し付ける。
「ちょっと、マーシャ・・・苦しいって・・・うぷっ・・・」
「やん♪エミルそんなトコでしゃべったら感じちゃう♪」
「何言ってるんだよ!いいから放して・・・ホントにく、苦しいから・・・」
生徒が下校した後の廊下で昔のようにじゃれあう4人。それぞれの立場が変わっても、それぞれの関係は変わらない・・・そんな風に見える心和む風景だったが・・・。
「え・・・。エミル・・・マーシャ・・・何してるの・・・。」
その様子を向かいの校舎にある音楽室から一部始終見ていたタイタニアの少女。
「このままじゃ、エミル獲られちゃう・・・。どうしよう・・・。」
【盗る】ではなく【獲る】と言うところが、マーシャの性格を表してしるのか。
「なんとかしないと・・・」
少女の手に握られた楽譜は、ハリセンのように細かく握りつぶされていたのだった。
・・・To be continue
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※alla caccia(アルラ・カッチア)→[狩の音楽ふう]。
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