時間が作れたので、続きを頑張ってみました~
ラストに向かって走り出しますよ!
なぁんちゃって☆
それでは、はじまりはじまり~
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シーン4:【vivace それは妹想い? いいえ、Accelerator(加速者)です。】
夜の帳が下りた頃、お腹を空かせた3バカはそれぞれの巣へ戻る。そのうちの一人、タイタスはアップタウンで妹へのお土産にとケーキを買うと鼻歌交じりで玄関を開ける。
「ただいま。」
すると、奥からエプロン姿のティタがターナー片手にひょこっと飛び出し、
「おかえりお兄ちゃん。でも遅いよぉ!今日は部活だったから夕飯のお手伝いして欲しかったのにぃ。」
ぷうっと頬を膨らませる。タイタスはティタの仕草にニコニコしながら
「ごめんよぉ。ベリアルのヤツが・・・っと、お詫びにケーキ買ってきたから機嫌直しておくれ♪」
「もぉ、そーやっていつもいつもケーキでなだめる作戦が通用すると思ったら・・・正解なんだからっ。」
ティタはそのままキッチンへ戻る。タイタスはテーブルにケーキを置くと、着替えてティタのいるキッチンへ向かう。タイタニア族は一定の年齢に達すると、試練のために親元を離れる風習がある。昔は、そのまま自分の試練を全うするために冒険や修行に出たらしいが今は時代が違う。しかし、親元を離れるという部分だけは未だに残っていて、全寮制の学校に入学したり、どこかで部屋を借りて一人暮らしをして学校に通う。この兄妹もそうだ。タイタスが一人暮らしを始め、そこへティタが加わって今の生活なのだ。
夕飯の支度を済ませ、テーブルにはカンタンだが数種類の料理が並ぶ。二人はエプロンを外し向かい合って座ると、
「いただきます♪」
ささやかだが、兄妹水入らずの時間。二人は他愛もない話で食卓に花を咲かせる。食事を終えた二人はタイタスの買ってきたケーキと食後のお茶を嗜んでいるときだった。おもむろにカップをテーブルに置いたティタはタイタスに思い切って話を切り出す。
「あのねっ!お兄ちゃんっ!」
突然大きな声を出したティタに、タイタスは右手に持ったカップを落としそうになる。
「うわっ、びっくりした。ど、どうした?」
「あ、あのね・・・じつは・・・相談したいことが・・・」
先ほどの勢いを完全になくしたティタの口調にタイタスは、ただ事ではないと気付く。
「どうした?兄ちゃんに言ってみな?エミルのことか?」
「ぁ・・・うん・・・あのね・・・。今日、部活が終わって帰るときに・・・」
ティタは今日マーシャとの出来事の一部始終を話した。正確にはエミルとマーシャがじゃれあっていたところから。そして、今度のエミルの誕生日にエミルを賭けて勝負することになったことも全部。
「なるほどな。そんなことがあったのか・・・。」
「私、悔しいけどマーシャみたいにスタイル良くないし、キスなんてしたことないし・・・エミルと手を繋いだのだって最近なのに・・・。でも、マーシャはスタイル良いし積極的だし・・・。それに比べて私は貧相で・・・」
どんどんフェードアウトしていくティタの話にガマンできなくなったタイタスは、
ドンッ!
両手でテーブルを叩き
「何言ってるんだ!ティタは最高に可愛いぞ!オマエのスタイルは貧相?!ちっがーーーう!それはスレンダーっていうんだ!黄金比なんだ!」
「ひぅっ!お、おにいちゃん・・・?」
「それはステータスなんだぞ!マーシャには逆立ちしたって手に入らないんだぞ!それに知ってるか?」
「な・・・なに?」
「昔、騎士団の騎士が言ったんだ『胸なんてただの飾りです!エライ人にはそれがわからんのです!』と。わかるか?この偉大な言葉の真の意味がティタ、理解できるかっ?!」
テーブルから身を乗り出して、今にもティタに覆いかぶさらんとするタイタスに
「ちょっと!おにいちゃん!こーわーいー!こわいよっ!」
「はっ!す、すまん。兄ちゃんとしたことが・・・。つい熱くなってしまった。」
コホンと咳払いをして椅子に座りなおし、テーブルに置いていたカップを手に取り渇ききった喉を湿らせる。
「それで、ティタは兄ちゃんに何を相談したいんだ?」
「あのね・・・。今度のお誕生日にエミルくんにドキドキして欲しいの・・・私でもドキドキしてもらうにはどうしたらいいのかなって・・・。」
「ふむ・・・」
「きっと、マーシャはすごい大人っぽい格好でエミルくんに迫っちゃうと思うの!」
「ふむ・・・まぁ、そうだろうな。」
「胸元の開いたドレスとか着ちゃって、サイドスリットとかバーって入ってるやつ!」
「い、いや、さすがに友達の誕生日でそれはないだろう。」
「わかんないでしょっ?!」
「う、うむ・・・わ、わからんな。」
「でもね、でもね、あんなに魅力的なマーシャよりも私を選んでくれたってことは、エミルくんは胸の大きな女の子には興味ないのかなって思ったりもしたり。」
「ふむ・・・どうだろうな。」
「ちょっと!おにいちゃん!そこは『ふむ・・・どうだろうな。』じゃないでしょ!・・・でも、正直エミルくんの好みが私わかんなくなってきて・・・。」
ティタは両手に持ったカップの自分の口をつけた部分を親指でなぞりながら、少し俯いてしまう。そんな妹の姿を見たタイタスは、カップの底に薄く残った紅茶をクッと喉の奥に流し込みタンッと空になったカップをテーブルに置くと、
「確かにな。兄ちゃん、ティタのこと大好きで大好きでずっとこの手で守ってやりたいがな。でもティタの幸せを考えるとやっぱりエミルと幸せになって欲しいと心の底から思う。」
「お兄ちゃん・・・。」
一息おいて、タイタスはゆっくりとその唇を開き始める。
「だから、ティタに兄ちゃんのとっておきを伝授しよう。」
「とっておき?」
ティタはキョトンとタイタスを見る。タイタスは椅子から立ち上がると、ティタに手を伸ばし、クシャっと頭にその手を置き
「兄ちゃんに任せろ。これを使えばエミルなんてイチコロだ。」
「ホント?」
「バカだな。兄ちゃんが今までティタに嘘ついたことあったか?」
「うん、ないっ♪」
「だろ?それじゃ、兄ちゃんの部屋に行こうか。」
二人はリビングを出ると、タイタスの部屋へ向かった。短い廊下の突き当たり彼の部屋はあった。ドアを開け部屋に入ったティタの第一声は
「もうっ!お兄ちゃん、私の写真増えてるっ!ポスターとかやめてって言ってるのにー!」
そして、そこに広がる光景はティタの写真が壁に、天井にはポスターが貼られた異世界だった。
「何を言ってるんだ。これは妹への愛の証じゃないか。いわば成長日記だ。気にするな。」
「気にするに決まってるでしょ!やだよ!恥ずかしいし!」
「まぁ、いいからソコに座れ。今出すから。」
「ちょっと!クッションまで私の写真・・・もう・・・やだぁ。」
ドン引きのティタはお構いナシに、ゴソゴソとクローゼットを漁るタイタス。
「あったあった。」
クローゼットから出てきたのは少し大きめのダンボール箱。しっかりと封されたテープを剥がし、中に入っていたモノは
「こ、これは・・・」
「これでエミルはイチコロだ・・・(ΦωΦ)キラーン」
・・・To be continue
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Vivace(ヴィヴァーチェ)→[速く、生き生きと] 。
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