やっと・・・やっと・・・
サキさま・・・お待たせしちゃってごめんなさいっ!
約束まもれなくて!
最終回です!
今までお付き合いくださったみなさま、本当に本当に感謝です!
それでは、最後のシーンいってみよ~!
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シーン6:【capriccio Maiden hearts extravaganza ~乙女心は狂想曲~】
「それじゃ、早くケーキ出してお祝いしよっ?」
「そうね、今日はエミルの誕生日で主役なんだからっ♪」
「あ、う、う、うん。」
ティタは持ってきた箱をローテーブルの真ん中に置くとゆっくりと箱の蓋を持ち上げる。中から出てきたのはバースデイケーキ。真っ白のクリームに包まれケーキを縁取るように数種類のベリーが散りばめられていた。中央には『Happy Birthday Emil』と書かれたチョコレートが飾られている。見事なまでのバースデイケーキだった。
「うわぁ、すごい!これ、ティタが作ってくれたの?!」
「う、うん。上手くできてるかな・・・」
「すごいよ!ありがとう!」
「エヘっ☆」
一瞬で出来上がった二人のラブラブムードに、マーシャは声を震わせ
「へ、へぇ。う、上手く作れてるじゃん。ま、わ、私ほどじゃないけどっ。」
「ふうん。でも、今日作らなかったらソレも意味ないよね。」
しかし、ティタも負けじとカウンター。
「くっ・・・」
マーシャが唇を噛む。しかし、すぐさま立ち直る。なぜなら・・・
「ハイ、これで乾杯しましょ♪」
そう言って持ってきた紙袋から出てきたのは一本のワイン。
「ちょっと!それお酒じゃ!」
「いいじゃん、カタイなぁ。お祝いなんだから今日くらいいいじゃん、ねぇ?エミルぅ?」
ワインのボトルを顔の横まで持ち上げて頬を寄せる。
「せ、せっかく持ってきてくれたんだし・・・ちょっと背伸びしてみようよ。」
「う、うん・・・エミルくんが言うなら・・・。」
ティタは小さく頷く。
「けど、それだけじゃないのよねぇ。」
マーシャはそう言うと、携帯を取り出しダイヤルする。すると、玄関のドアが開き、数人のメイドがオードブル皿を持って入ってきた。お皿の上に盛られた料理はどれも見ただけで美味しいだろうと想像ができる代物だった。
「す・・・すごい・・・。」
「ひゃぁ・・・。」
エミルとティタはそれ以上の言葉を発することが出来なかった。止まった瞬きを再開するとテーブルの上には所狭しと料理が並んでいた。
「どうせケーキは、自称彼女のティタが作ってくるだろうし。どうせケーキとかお菓子だけの寂しい誕生日は想像できちゃったからさ、私が作ってきたの。どう?エミル。」
「うん!さすがマーシャだね!すっごいオイシ・・・」
「ジト~~~~・・・・」
「んっん゛ん゛っ・・・。」
「私のケーキより・・・」
「ちっちがうよっ!ティタのケーキもすっごい美味しそうだよ!」
「も・・・」
「い、いや・・・あの・・・。」
二人のやりとりを見ていたマーシャは、大きく溜息をついて
「あ~ぁ、めんどくさー。いいじゃん、別に料理で決まるわけじゃないんだから。まぁ?私のほうが断然上だけど♪」
「むぅぅ・・・」
ちょっと高飛車な声色で仲裁(?)に入る。ティタはマーシャの一言に反論が出来ない。あんなに美味しそうな料理を持ってきて・・・って、綺麗でスタイル良くて頭も良くてスポーツも得意でオマケに料理の腕もって、どんな完璧超人なのよ・・・腹黒いけど。ティタは恨めしそうにマーシャを見上げる。別に座ってるわけじゃない、それくらいの身長差があるのだ。
「まぁ、せっかくの料理が冷めちゃってもいけないし、ホラッ、エミル食べよっ♪ティタのケーキはデザート代わりに食べればいいじゃん、・・・・・・食べられれば・・・だけど。」
「た、食べられるよ!だってティタが作ってくれたんだもん。絶対食べるよ!」
「エ・・・エミルくん・・・」
見つめあう二人間にワイングラスが飛び込む。
「キャッ」
「うわっ」
「カ・ン・パ・イ☆」
そして、3人の最後の晩餐・・・もとい誕生会が始まった。
食事がすすむ。悔しいけれどどれも美味しい。ティタは料理を口に運ぶ度に敗北感が募る。普段から料理を作っているが、きっと全力でぶつかってもこのレベルの料理は作れない、エミルくんはやっぱり料理の上手な女の子がいいのかな・・・。心がどんどん沈んでいく。料理も半分くらいになったときだった。マーシャが突然立ち上がると、
「エミル!誕生日プレゼント!用意してきたんだよ。・・・っとその前にぃ」
マーシャは、今まで身につけていたコートをハラリと床に落とす。
「どう?似合う?」
中から出てきたのは、緑色のチャイナ服。左側に入ったスリットはどんな下着を身に着ければ見えないんだろうと思うほど深く、シルクのような光沢を持ちながらレースのように透明感がある・・・?
「って、透けてるっ!?」
ティタは持っていたから揚げをポトリと落とす。エミルもポテトを口に運ぶ途中で動きが止まる。いやいやいやいやないないないないない!ありえないでしょう!学生だよ!学生に見えないよ!ってかどこに売ってるの!・・・・でも・・・・
「似合ってる・・・。」
「う、う・・・ん」
「!!!!!!」キッ!
「ぁ・・・ヒィ!」
マーシャはその場でくるりと回ってみせる。光沢のある生地とスリットの奥からワインでほんのり桜色になった太ももが見え隠れするそのコントラストは同性のティタですら目を奪われた。もともと真っ直ぐなデザインのチャイナ服がこんなにも起伏激しいエロい・・・魅力的なデザインにしてしまうマーシャ・・・敵ながら恐ろしい子!ティタは料理に続き危機感を覚える。
「うおぉぉい!なんだよアレ!エロすぎっゼ!マーシャ反則だろ!おい!タイタス!」
「ん~?あぁ、ムダに肉が付き過ぎて反則だな。しかも透けてるだと?下品だ、あぁ嘆かわしい。」
「おいおいおいおいおい?おかしいよ?あの姿見てそんなこと言うのはオマエと変態紳士くらいだぞ。」
「よせよ、べつに褒めてもらいたくて言ってるわけじゃない。」
「褒めてねぇっ!」
エミルの部屋の窓からこっそり覗く二人の紳士。相変わらずすぎるので、視点を戻すことにする。
「そ・れ・でぇ♪ハイ、これプレゼントっ。」
「あ、ありがとう。」
「開けてみて。」
エミルは渡された包みをゆっくりと開ける。中から出てきたのは、ブレスレット。それも銀製の細かな彫刻が施された高価なものだった。
「こ、これ・・・。」
「似合うと思って♪サウスの職人の一点モノなんだよ。ほぅら、着けてみて♪」
エミルはブレスレットを左手につけてみた。やっぱり『私の』エミルくん、何を着けても似合っちゃう♪ティタの瞳はハートマークになっていた。
「マーシャ・・・こんな高価なもの・・・ありがとう。大事にするよ。」
「いいのよ♪私の誕生日に薬指にぴったりの指輪・・・プレゼントしてくれたら♪」
「ははは・・・。そ、それは・・・。」
「エ、エミルくんっ!わ、私も!」
エミルの言葉を遮るようにティタがエミルの前に立ち上がる。ティタはエミルの前でマーシャと同じようにコートをはらりと落とす。
「エ、エミルくん・・・。お誕生日おめでとう。似合ってる・・・かな?」
「・・・・・・・・・・(〃o〃)」
コートの下からまず目に付いたのは、白いセーラー服。セーラーカラーは青色で2本の白いライン。胸元のタイは淡い黄色。しかも、
「上だけっ!?」
なんとセーラー服の上着だけを身に着けていた。そして下は・・・
「こ、こ、これは・・・」
セーラー服の下に着込まれたのはスクール水着。色は紺。
「しかも旧式っ!!!!!!!!」
更に透きとおる白雪のような両脚を包むのは白と水色のボーダーニーソ。そして極めつけは頭の上にちょこんと乗ったネコミミだった。
「うわぁ・・・。ティタ、それはマニアックすぎるだろう・・・。タイタスじゃあるまいし、エミルにそれはどーなんだ?・・・・ん?雨?」
ベリアルが額に当たる雫を右手で拭い、ふと目をやるとソレは真っ赤で。慌てて上を向くと、タイタスが息を荒げ、鼻から滝のような鼻血が噴出していた。
「おいおいおいおいおい!タイタス!オマエ興奮しすぎだろ!つか、マンガみたいに鼻血出てるぞ!」
「あたりまえじゃないか!あの素晴しい組み合わせ!まさに我が天使にゃん・・・。」
「・・・・ったくぅ・・・テメェはこれでも詰めてろっ!」
「ふがっ☆」
ベリアルはタイタスの鼻に丸めたティッシュを突っ込んだ。しかし、そのティッシュもみるみる紅く染まっていく。そして、またもこれ以上は相変わらずすぎるので視点をもどして・・・。
「ティ・・・ティタ・・・。その格好・・・。」
「ちょ・・・ティタ・・・何その格好・・・なんてマニアックな・・・。」
「あ、あのね。どう?似合ってるかな?あ、そうだ、プレゼントもあるんだよ!」
ティタは、ゴソゴソと袋を取り出すとそれをスッと差し出し、
「これ・・・。」
「あ、あ、ありがとう・・・。開けていい?」
「う、うん。」
中から出てきたのは革のベルト。しかし、あまりにもソレは短かった。エミルは、少し声を震わせながら
「こ、これってチョーカー?」
「ち、ちがうよ・・・(〃o〃)」
「それじゃブレスレット?」
「ううん、首輪・・・(〃o〃)」
「そのままだった!?」
「でね、私に着けて欲しいの。(〃o〃)」
「しかも自分用!?」
「い、いいから・・・早く着けて・・・(〃o〃)」
エミルはおずおずと右手に握られたソレをティタの白く細い首に巻く。革の首輪はティタの細いソレにはあまりにも不恰好で、留める穴を一つ間違えばポッキリ折れてしまうんじゃないかと思えるほどだった。エミルの指が僅かに震える。
「エミルくん、くすぐったいよ・・・。」
「あ、ごめん。」
言われたとおりに首輪をティタに巻く。すると、今度は一本の革紐を差し出し
「エミルくん、これ・・・」
「ん?これ・・・紐?・・・金具?・・・ってまさか・・・」
「うん、リード。」
「言う前に言われた!?しかも冗談じゃない!?」
渡された革紐は片方の先端には金具、反対側は輪っかになったドコをどうみてもリードでしかなかった。エミルは次に出てくるであろうセリフにドキドキが隠せない。
「うーわ、うーわ、うーわ。おいおいおい、おいって。タイタス。ありゃ何なんだよ!いくらなんでもアレはないだろっ!?さすがのエミルもアレは・・・って、おい?タイタス?」
「ふっ・・・。なぁベリアル。」
「んあ?」
「どうして、こんなにも妹LOVEな私がどうしてエミルとの交際を認めたと思う?」
「はあ?・・・あ、言われてみれば・・・。」
「ふ・・・ふふふふふふふ・・・・・・。」
タイタスの不敵な笑いがベリアルをおぞましく包み込む。それで、またもこれ以上は(以下略
「それ・・・私に着けて欲しいの・・・。」
「え・・・。」
ティタはほんのり頬を染め、心なしか瞳が潤んできているように見える。エミルはゴクリと唾を飲む。次の瞬間、エミルはティタの首に同じ革でできたリードを装着する。
「これが・・・エミルくんへの本当のプレゼント。中身は・・・わたし・・・。エミルくん・・・私をいつまでもエミルくんの傍においてくだ・・・さキャァ!」
「あっ・・・うわぁ!」
エミルが持っていたリードがテーブルの一皿に引っかかり、お皿が宙を舞う。しかし、それに気付いたときは、ときすでに遅く料理が盛大にティタの上に降り注ぐ。
「いやぁん・・・もう・・・べとべと・・・。」
魚のポワレにかかっていたホワイトソースがティタに降り注ぎ・・・。顔や首筋、セーラー服、ニーソに至るまでべとべとに汚す。
「うわぁ・・・、あれはアレでエロいな・・・。確かにあのシチュはマーシャじゃ破壊力ないわな・・・なんだこの心の底から生まれてくる背徳感は・・・。」
「おぉ?ベリアル・・・なんだオマエもこっち側にくるのか・・・(ΦωΦ)」
「行かねぇ!」
と、外の二人の会話は意外な方向へ・・・。(以下略
ホワイトソースを浴びたティタを見た直後、エミルの方から不穏な音が聞こえた。何かが切れる、そうブチンという鈍い響きが・・・。
刹那。
目の前にいたエミルの瞳から人としての輝きの一切が消えた。
しかし、ソレをティタは確認することは出来ない。
なぜなら。
「テ、テ、テ、ティタアアァァァ!」
その時には、すでにエミルの腕の中に抱き寄せられているから。
「え?え?え?ちょ・・・と?エ、エミルくん?」
「もう放さないっ!絶対放さないっ!ティタはボクのものだぁぁぁ!」
「エミルくんっ?!」
「(;´Д`)ハァハァ (*´Д`)/lァ/lァ (*` Д´)//ア//ア//ア!!」
「ちょっ・・・ちょっと、エミ・・・!?」
「ティタァティタァティタァティタァ・・・!!!」
窓の外で見ていたベリアルが
「おい!エミルが壊れた!おい!タイタス!なんでそんなに冷静なんだ!てかなんでそんなしたり顔なんだ!?」
「私がエミルをどうして許したか・・・。教えてやろう・・・。それは・・・」
「そ、それは?」ゴクリ
「私と同じ側の人間だからさああああぁぁぁぁぁ!!ふははははははは!」
高々と響き渡るタイタスの笑い声。そして部屋の中では
「エミルくん!!!こーわーいーーー!!!!!でも・・・でも、私幸せかも~♡」
「「ありえないわっ!!」」
ベリアルとマーシャのツッコミがダウンタウンの喧騒に消えていく。
そして二人は、赤い糸ではなく赤い革紐で固く結ばれ、永遠の愛を誓うのであった。
超 HappyEnd ?
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