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各月の日記

YUNIKOさんの日記

(全員に公開)

2012年
06月18日
23:44

梅雨をテーマに・・・その4

梅雨をテーマに・・・の4話目です。
今回のタイトルは、古今和歌集から・・・です。
現代訳は・・・やっぱり最後に!

じれったい!なんで!?
そんな声が聞こえてきそうな第4話はじまりで~す♪

-------↓↓本文↓↓---------
『飛鳥川ふちは瀬になる世なりとも 思ひそめてん人は忘れじ・・・けれど。』

 高校に入学して俺にひとつの変化が起きた。最初は同じ中学だって聞いた。でも、同じクラスになったことないし、友達が多いってわけでもない俺は見たことあったかどうかすら怪しい程度。いたようないなかったような。朝のあいさつとか休み時間の他愛もない会話とか、些細なことだったがホラ、有名なことわざあっただろ?「塵も積もれば~」ってヤツ。俺は仲良しグループ的なこの集まりで、みんなに話していた言葉がいつの間にかソイツに向いていた。

                   『深山ちはや』

なんでだろう、どこにだろう、そんなことを考え出したのは1年の夏休み直前だった。いつもたむろって、ダベって、ごくごく普通のクラスメイトとしての関係。顔も今まで俺が好きになった女子とはタイプが違ったし、まぁ会話自体は楽しかったのは事実だが。でもこの気持ちはきっと好きってヤツだ。こんな風に考えてしまうのは、俺という男が深山ちはやに惚れたってことだ。だったらその理由を突き止めてやる。漠然とした好きじゃなくて、ちゃんとドコに惚れたのか知ってから告ってやる。ちょうど来週から夏休みだ。学校だけじゃなくプライベートの「ちは」も見て俺の気持ちをハッキリさせてやる。青のカンバスに白いペンキを一滴落としたような夏空広がる昼下がり。
 夏休みに入って、俺たちは何かと理由をつけて集まった。待ち合わせは通学路の途中にあるお寺。ドラマとかならもっと洒落た場所なんだろうけど、何もない片田舎に暮らす俺らにはここくらいしかないんだ。人が少なくて涼めるトコがさ。8月に入ると、特に約束していなくても自然に足が向いた。ソレは俺だけが例外ではなかった。いつの間にかみんな集まってダベったり、宿題したり、花火したり。時々ココを離れてプールに行ったり。その間俺はアイツのことを見続けた。ちはが話すときの口元、視線、仕草や服装、何でもどこでも全部、見落とすことのないように。そして理解した。ちはを好きになった理由。

                『 理 由 が な い 』

アホかと言われるかもしれない。でもそれが理由。どこがじゃない、何にじゃない、それが解った。俺はちはのドコが好きじゃなくて「ちはが好き」なんだと。それからの俺の想いは加速した。見た目も仕草も声も全部全部俺の心に刻んでいった。留まることなく、溢れることなく、貪欲に。そして2年生になった最初の登校日、校庭にあがったクラス分けのボードを前に俺は誓った。

           『 こ の 1 年 で 必 ず 告 白 す る 』

男・森山翔の一世一代のプロジェクトが動き出す。
 俺らグループは4人。ちは、ミキ、ソウタ、そして俺。ちはと俺が同じ中学で他の二人は別の中学、出会いは1泊2日の新入生レクリエーションで同じ班になったことがきっかけだった。そこでちはの事も知ったし、ちょっと軽い感じもしたが自分の意見をハッキリ持っているソウタ、女子でも男子でも分け隔てなく接してくるミキ、俺ら4人が意気投合することに1泊2日は十分すぎる時間だった。それからの1年は本当によくつるんだ。2年に進級してソウタだけが別クラスになってしまったが、それでも普段の付き合いは変わらない。今日までも・・・これからも。

・・・・・・そう思っていた。

 それは、俺ら4人が迎えた2回目のGW。連休最後の日は、ソウタと買い物に街に出ていた。草野爽汰、俺の親友。恐らく中学からの友達でもそう呼べるヤツはいない。いや、いなくなったと言うべきか。久しぶりの二人での買い物は、なかなか楽しい時間だった。夕方、駅前のファーストフードショップに入り、歩き疲れた足にひと時の休息を与える。ナゲットを一つ摘み、ポイと口に放り込んだときソウタの口が開かれた。

「なぁ、カケル。」
「ん?」
「オレさ、ちはの事好きになってた。」
「・・・・・・え?」
「ちょっと前まではさ、ミキがいいなってずっと思ってたんだ。けど、ある日からちはが時々なんだけど見せる憂い顔っていうかさ、なんかこう・・・そんな表情見てたらさ、切ないんだよ。だから、オレがその表情を全部笑顔に変えたいっておもったんだ。」
「・・・・・・。」
「でもさ、俺らっていっつも4人じゃん?ここでオレがコクっちゃうと、今の関係が終わっちゃいそうでさ。それって、オレも含めみんな望んでないし。でも、この気持ちは抑えきれないっつうか。」
「・・・・・・・・・・・・するよ。」
「は?」
「大丈夫だよ。応援するよ。」
「ほ、ほんとか?!」
「あ・・・あぁ。」
「サンキューなっ!おっしゃぁ、俄然やる気出てきたぜ。」
「がんばれよ。」

カップの中のコーラの炭酸は抜け氷は溶け、中途半端に薄くて甘ったるいジュースに成り果てていた。

キョウマデイキテキタナカデ ジブンガサイダイキュウニ キライニナッタシュンカン

 そして今・・・。
いつもは校舎の影で寂しい場所に今日は覚めるような赤い傘が咲いていた。

「深山・・・。待ったか?」
「う、ううん。だいじょうぶ。」
「そっか。」
「うん。」
「あのさ・・・」「あのね・・・」

今、決して伝説どおりにならない恋が雨音とともに悲しみの刻(とき)を告げる。


                                       つづく。
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~飛鳥川ふちは瀬になる世なりとも 思ひそめてん人は忘れじ~
『何があったって、好きになった君のことは忘れないよ』
  • ECOじゃない創作

コメント

1番~5番を表示

2012年
06月19日
01:19

第2話の「コノオモイハジョウジュシナイ」の理由が明らかに!
でもこれはまたなんとも言えない状況ですね(;゚д゚)
ど・・どうなるんだ?この話の結末は・・・

2012年
06月19日
01:28

うわああああああああああああ…

まさかこんなことだとは…
結末が気になります

2012年
06月19日
09:46

第三勢力きたぁぁぁあ!!
一体どーなる仲良しグループ!

文書の書き分けが凄いと思った。
なんだろ、雰囲気が違う感じ。

2人の行く末が気になるぞぉぉぉお!!

2012年
06月19日
12:54

 つ、続きをっ!
 出来るだけ早くっ?!
 切な過ぎて死にそうです!!
 ハッピーエンドはどこだっ。゚(゚´Д`゚)゚。

2012年
06月19日
18:04

台風ー!台風ー!
急いで帰ってきたー!
でも、駐車場まで歩く間に、下着までずぶ濡れ+。・(Pд`。q)゜。+ 

そして、コメントありがとうございますぅ!!

>>るみねちゃん
どうでした?想像通りの展開だったかにゃ?
このあとは・・・切なさ上昇中!?

>>エコイストさま
予想外な展開でした?
最後はどうなるか・・・おたのしみっ!

>>えめるたま
お約束な第3勢力!w

>>文書の書き分けが凄いと思った。
>>なんだろ、雰囲気が違う感じ。
男の子パートだから男の子っぽい雰囲気を・・・って思ったんだけど
上手く書けてるかな?
切なさ上昇中のふたり・・・。
がんばって書き上げるね!

>>詩綺さま
∑( ̄□ ̄;)ナント!!
切なさで死んじゃだめですぅ><

ハッピーエンドは、台風で飛んでいきそうです!(マテ

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