さてさてー。
梅雨が明ける前になんとか完結させたいウニコです。
ムリなんですけど orz
今回のタイトルは。ズバリ キーワード 的な?
告白してフラれたのは親友。
告白してフッたのも親友。
そして自分も・・・。
それでははじまりでーす♪
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『仲良しグループ』
何とも言えない空気が支配する。別に険悪とかいうのではなく、なんとなくお互いが意識しているって感じの気まずい空気。いつもの通学路のはず。街灯も電柱もいつもの場所にちゃんとある。なのにいつもと違う道を歩いているような違和感。まぁ、理由はハッキリしているんだ、いつものメンバーにあと二人ほど足りないからだ。どうして足りないかは訊かないでほしい。といってもソウタの方は用事があるかららしいのだが。俺とミキは二人会話もなく並んで歩く。俺らが都会っ子なら『それじゃ私、駅こっちだから。』とか『俺、バス来るから。』とか言ってこの場から逃げ出せるのだが、生憎俺らの住んでいる町は片田舎の小さな町だから、学校に通う生徒の殆どが徒歩か自転車で通えるという何とも健康的な環境なのだ。エコだろ?そんな誰に説明するわけでもなく俺はこの環境をこの時ほど恨めしく思ったことはなかった。そして、程なく歩き俺たちは溜まり場にしていたお寺の前に差し掛かる。今日はフルメンバーじゃないから立ち寄ることもない、そのまま通り過ぎようとしたときだった。ふと隣にミキの姿が無いことに気付く。俺は立ち止まり振り返る。
「ねぇ・・・寄っていかない・・・。」
「は?」
「ちょっとね、ちょっとだけ・・・。」
「・・・・・・。」
「ん・・・あぁ。」
俺たちは門をくぐり境内へ入っていく。朝から降り出しそうな天気だったが、何とかまだ降り出してはいない。しかし、鉛色の重い雲は太陽を遮りお寺の境内という場所と相まって不思議な光景を生み出していた。俺たちは御堂に上がる階段に二人並んで腰掛ける。なんだろう・・・ミキのやつ近くないか?ミキは俺に寄り添うように座る。
「おい、くっつき過ぎじゃね?」
「・・・・・・。」
「なぁ、ミキ・・・」
「あのね!」
「うわっ。」
ミキは突然俺のほうを向く。俺は思わず声を出してしまった。コホンと咳払いをして駆け出した自分の心臓を落ち着かせる。
「な、なんだよ。」
「あ、ゴメン。あのね、私カケル君に言わなきゃいけないことがあるの。」
落ち着かせたはずの俺の心臓が再度駆け出す。
「言わなきゃいけないこと?なんだよそれ。」
「あのね、私、ソウタ君に言ったんだ・・・。」
「え・・・?」
「ソウタ君に ちは が今日休んでること・・・。」
「は・・・なんでそんなこと俺に言うんだよ。ってか、それ普通じゃん。友達なんだからさ。」
「休んだ理由も。」
「ちょ、おまえ、生・・」
「違う!そっちじゃなくて!バカっ!ふざけないで!」
「ミキ・・・。」
俺の心臓は駆け足から全速力になっていた。座っていたが、自分の足が震えているのがわかった。
「昨日、カケル君に告白して振られたって。すごく傷ついて、カケル君の顔見れないって。だから、ちは には今誰か傍で支えてくれる人が必要だって・・・。」
「ソレ・・・昼休みの・・・。」
「そうだよ。昼休みにソウタ君に言ったの。チャンスだよって、今ならソウタ君の願いが叶うよって・・・。」
「・・・・・・ソレ、なんで俺に言うんだよ。わざわざさ・・・。」
足の震えは声にまで伝染したのか、俺は声を震わせた。
「だって・・・だって!カケル君が悪いんだもん!」
「え・・・。」
「私ね・・・好きな人がいるの。」
「な・・・。」
俺の心臓はそんなに早く動くように出来ていないんだと言い聞かせたいくらいに早く打つ。足だけでなく手まで震えてきた。俺の思考は既に停止して、先のことなど考えられる余裕は存在しない。ミキはこちらに向けた身体を前に向けて座り直すと、視線を少し遠くに投げて、
「仲良しグループでね、いっつも一緒にいてね、いっぱい話して遊んでケンカしてね、この人たちとは一生繋がり続けて、本当の親友ってのになるんだろうなぁ、なったらいいなぁって思ってて・・・。」
俺の口の中の水分がどんどん飛んでいく。固唾を飲み込みたいのにソレすら出てこない。
「いつからなのかなぁ。覚えてないんだけど、気がついたら私の視線はある一人の男の子を追いかけてたの。歩いているときも、話しているときも、登校中だってその子のこと探してるの。あはは・・・ビックリだよ。私、今まで誰かを好きになってもそんな事したことなかったのに。ホント、私らしくないっていうかさ。」
カラカラに乾いた俺の口は、こういうときに打つ相づちすら発声してくれない。ほんと不甲斐ない口だと心の中で毒づく。俺はミキの横顔をただ黙って眺めているだけしか出来なかった。しかし、
「それでね・・・。ある日、ある違和感を感じたの。私が見ていた男の子は、私じゃない別の女の子を見てるって・・・。それで、見てる子っていうのが私の親友で・・・。」
「ちょっと待った!」
「・・・・・・。」
思わず俺の口から、女の子の告白であろう言葉を遮る野暮な言葉が吐き出されていた。
「ミキ・・・オマエの言おうとしてることって・・・。その男の子って・・・。」
「・・・・・・。」
ミキの唇が僅かに震えているのが見えた。俺は視線を上げる。上げた先に飛び込んできたのは少し釣り目の大きな瞳。そして瞳の境界線が少し滲んでぼやけていた。
その瞳を先読みしてか、鉛色の雲からポツリポツリと雨粒が落ち始めた。
つづく
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