段々、ECOに関係なくなってきました。ま、これが私のストレス発散だしね。しょうがないさっ
****************************************
-冬空の下で-
「私、本当に好きになってよかったのかな」
一ヶ月ぶりに彼と食事をした帰り道。私は彼の腕に抱きつくように腕を回し俯き加減で呟く。 こんなことを言うつもりだったわけじゃない。久しぶりに彼と会えて嬉しいんだよ。でも、
「最近ね、考えちゃうんだよ。世の中には、私なんかより綺麗な人はいっぱいいて、私なんかより キミに相応しい女の人っていっぱいいる…。キミがそれに気づかないから私はキミの傍にいられる だけなのかなって…。だからね、私はキミのこと、このまま本当に好きになってよかったのかなって、どんどんキミのことが好きになっていくことが怖いの。」
彼の腕に回した手にキュッと力を入れて、恐る恐る彼の顔を見上げる。街頭の灯りにぼんやり照らされた彼の瞳には、今にも泣き出しそうな私がいた。
最低だ、私。
心の中で毒づく。でも不安だった。毎日が不安で、寂しくて、携帯の待ち受けと誕生日の朝にもらった1通のメールだけが私の心の拠り所。それと、毎日返信される「おはよう」と「おやすみ」8文字を繋ぎ合わせて、私は過ごしてきた。だから、今日は嬉しかった。楽しかった。彼の顔が見られて、声が聞けて、触れられて。でもだからこそ、不安の波紋はどんどん広がって。気がつけばその不安は言葉になって、彼にぶつけていた。
彼と瞳が合う。私はソレが耐えられなくて、視線を下へ逸らす。逸らした先には彼の薄い唇。彼が下唇をキュッっと咬むのが見えた。そして、彼は私の手から腕を抜くとそのまま私を抱きしめた。一呼吸おいて、更に強く。コートの上からでも彼の鼓動が聞こえてきそうな程の距離。触れ合うことがこんなにも心地いいと感じる瞬間。私は彼の胸に顔を埋める。
「ごめん…不安にさせてごめん」
彼の口から出た最初の言葉。聞きたくない。聞きたくない。例えどんな意味であっても、その単語だけは聞きたくない。私は彼の胸に強く顔を埋める。彼は私をもっと強く抱きしめて、いつもよりほんの少したくさん息を吸うのがわかった。彼の腕が胸が少し震えているのがわかる。私は勇気を出して彼を見上げた。けれど、彼の顔がはっきり見えない。
(あぁ、私、泣いてるんだ・・・)
私の瞳に現れた不安の海に沈んだ彼は、静かに揺らめきながら私の前に漂う。けれど、その表情は決して悲しいものではなく、何かの決意を秘めた硬い表情。
「確かに世界中には君より綺麗で、君より可愛くて、君よりお洒落で…君以上が一杯いる。
世界に君以上は沢山いる。でも君は君しかいない。僕の世界は君だけなんだ。それ以上も以下も無い。だから君が不安になる必要はないんだ。僕が君に謝るのは、君に愛想を尽かされないかずっと不安だから…君がいなくなってしまったら僕の世界は何もなくなってしまう。こんな言葉で君の不安が拭えるとは思えないけど、言ってる事がわかんなくて余計に不安になるかもだけど、それでも君が不安になる必要は無くて、だから…」
彼はそこで言いよどむ。
続きが聞きたい。
最後まで聞きたい。
あなたの心が聞きたい。
でも、私がそう思った瞬間、頬に落ちた温かい心がその欲望を打ち消した。私は無意識に彼の頬に手を伸ばす。
「大丈夫。ごめんね、私だけじゃないのに。そんなこと、そんな風に思ってるのは私だけじゃないことなんて自分の中ではわかっていたのに。キミが好き。これからもずっとずっと、大好きになる。でも・・・これから先、不安になるなんて沢山あるし、嫉妬だってしちゃうかもしれない。その度キミも不安にさせちゃうかもしれない。でも、今は大丈夫。キミの気持ち、ちゃんと私に届いたから。ちゃんと私、受け取ったから。だから・・・」
涙を流しながら、うんうんと頷くキミ。
涙を流しながら、微笑む私。
お互い不器用だから、言葉じゃ伝わらない。
確かなものが欲しいと願ってしまう。
キミも私もこの曖昧な世界で不安から逃れたくて"確か"を求める。
確かなものを感じたくてそれは私たちの中に存在するのか確かめたくて互いの唇を寄せていく。
これから何度も、ここから幾度も同じ事を繰り返すだろう。
それでも、今日のことは忘れない。
風に吹かれたキミの冷たい頬に、
不安に駆られたキミの寂しい心に触れたこの日を。
*************************************
などと、ちょっぴり切な系なモノを載せてみる。
コメント