まにあったぁぁぁぁぁ!
いや・・・正確には間に合ってません・・・。
私の大事なフレさまのフォビアさまの誕生日に間に合わせようとしたんですが、私のスキルではどうしても間に合わず・・・でも、年内には・・・と奮起した途端、仕事で半徹夜とか・・・。でもなんとか!なんとか間に合ったのれす!
フォビアちゃん!
お誕生日おめでとうございました!
フォビアちゃんにとって、次始まる一日一日が素敵な日々になりますように。
というわけで、プレゼント代わりに受け取ってっ!
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タイトル『Happy birthday to you』
柔らかな日差しが降り注ぐ午後、フォビアとプニサンは飛空庭で静かな時間を共有していた。アスタロト討伐から1週間が経ち、次の冒険に備え休養と準備を兼ねてパーティは一時解散、それぞれ自由な日々を過ごしていた。
「フォビ?お茶淹れよっか?」
「あぁ・・・ウン・・・あ、いや」
「プニサン、今日は私が淹れてあげる。」
「え?どうしたの?珍しいね。」
「ま、たまには・・・ね♪ほら、座って座って。」
フォビアはプニサンの手をそっと引くと、窓際のソファへと導く。彼女をそこへ座らせると大きめのYシャツの袖を数回折り、キッチンへ足を運ぶ。お揃いのカップに熱いお湯を注ぐと、棚からとっておきの茶葉を用意する。再度ポットを火にかけスコーンを用意していると、背中に温かい重みを感じる。
「ん?座ってないのか?」
「うん。ここがいい。」
プニサンはフォビアの背中にそっと頭を預けゆっくりと瞳を閉じる。人の体温をこんなにも感じることが今までなかったフォビアにとって、この瞬間がとても心地よかった。
「なぁ、プニサン。ホントに大丈夫?この間の戦闘のときの・・・まだ本調子じゃないだろう?」
すると、フォビアの腰にすっと両手がまわり、
「ううん、大丈夫だよ。誰かさんの献身的な看病のお・か・げ・で♪ふふっ」
「・・・っく。ば、ばか・・・」
フォビアはティーポットに茶葉を入れる手が一瞬止まるが、平然を装い作業を続ける。そのとき腰に回った手にきゅっと力が入る。
「おい・・・そんなにしたら用意ができな・・・どうした?カラダ・・・やっぱり痛むのか?」
フォビアは心配そうな表情で体を捻るりプニサンと向き合う。プニサンはそのままフォビアに抱きつくカタチでそっと胸元に顔を埋める。瞳を閉じて、
「ホントはね、あのとき私怖かったの。みんなを回復させて、でもその度に私の体は重くなって目の前が暗くなっていって。今自分が立ってるのか座ってるのかすらわからなくて。でもね、でもね私は死ぬことが怖いんじゃなかったの。フォビ・・・アナタの笑顔が、大好きな人の笑顔が見られない事が怖かったの・・・。ほんとうに・・・」
「プニサン・・・」
フォビアはプニサンの身体を抱き締める。そっと、ガラス細工に触れるかのように、優しく。フォビアの胸元に顔を埋めていたプニサンはゆっくりと瞳を開くと、
「でもよかった。もう一度、今ここでこうやってフォビの笑顔が見れるんだもの。さ、お茶が冷めてしまうわ。フォビ?ご自慢の一杯をいただけるかしら?」
プニサンの柔らかな笑顔にフォビアは口元をフッと緩めると、抱きしめた腕を解き一歩身体を後ろに引くと、右手を胸元に上げ
「かしこまりました。すぐにご用意いたします。さぁ、そちらのソファでお掛けになってお待ちくださいませ。Mon deary.(私の愛しい人)」
こうして、二人のささやかなお茶会が始まるのであった。
二人だけの優しいがいくらか過ぎたときだった。フォビアの胸元で突然鳴き出す機械仕掛けの小鳥。ピピピピとそれは森の中で囀る小鳥のソレとは大きく違うなんとも無機質な音。Wisモバイルだった。フォビアはプニサンに視線を投げると小さくため息を吐く。それを見たプニサンはにっこりと頷き
「出てあげて。」
そう言って、カップに口を付ける。フォビアは胸ポケットからWisモバイルを取り出すとソファから立ち上がり、少し離れたところで通話ボタンを押す。
「フォビアだ。」
少し不機嫌そうにトーン低く受話口に投げる。まぁ、フォビアがご機嫌な声で「はーい♪フォビアっで~す!」なんて一度も出たことないし、そもそもそんな出方したものなら皆そのまま医者を連れてくるだろう。要するにいつものことだ。
「・・・あぁ、わかった。・・・なるほど。・・・それは興味深いな。ほう・・・」
フォビアの紫色の瞳に明かりがさす。新しい冒険の話しだとプニサンはすぐに気付いた。また新しい冒険、今度は一体どんな内容なんだろう。プニサンの頭に今までの出来事がぐるぐる走る。しかし不安はない。恐怖も寂しさも。好きな人と一緒にいるのは今だってそう、でも、冒険だって同じ。それに普段守られてばかりの私が唯一あの人を守れる場所。フォビアの戦う姿、戦う瞳が好き。背中が好き。プニサンはカップを静かにソーサーに置くとフォビアの姿を瞳に焼き付ける。もしかすると、今日が最後の休息になるかもしれないから・・・。
「それでいつだ?・・・はぁ?!明日ぁ?いきなりじゃないかっ!・・・あぁ、わかった、わかったから。それじゃ・・・って、おいっ!ちょっ・・・チッ」
最後に盛大な舌打ちをして終話ボタンを押す。Wisモバイルをカウンターに転がすと、頭をかきながらプニサンの元へ戻る。
「ねぇフォビ?その様子だと新しい冒険ね?」
「ん?・・・ん、あぁ、そうなんだ。そうなんだけ・・・」
プニサンはフォビアの言葉を最後まで待たずに
「おおかた、『出発は明日の早朝、朝一番に出発したいから今夜のうちに全員で宿に集合。』ってとこじゃないのかしら?そうねぇ・・・そんなこと言うのは・・・ライグかしら。」
プニサンの言葉にフォビアは苦笑いで
「あぁ、ご名答。話し相手も正解。詳しくは聞いてないけど、またノーザンに行くみたいだ。それで今から準備しとけってさ。」
「そっか。私、寒いトコ苦手だなぁ・・・。コート、この間着てた雪うさぎのコートでいっか。今度は長くなるのかな?」
「いや、どうだろう。なんかノーザンの書庫にダンジョンが見つかったらしい。そこの調査だってさ。」
「ふぅん。・・・でも安心して。」
「ん?」
「フォビは私が守ってあげる。」
「あぁ、私もプニサンを守るさ。」
二人は向かい合うとどちらともなく瞳を閉じると、お互い引き寄せられるように唇を重ねた。
二人は冒険準備を終えると、部屋を出て飛行庭のデッキに出る。アップタウンの港は街の中心にあるため、デッキに出るとアップタウンがパノラマで一望できとても気持ちがいい。西の空が茜色に染まり始め、白い壁の建物が同じく茜色に変わっていく風景はとても神秘的で飛行庭という場所が、街の喧騒も届かない上空にあるためその空間は特別な空間であるかのように錯覚してしまう。二人は手をつなぎその光景を眺める。プニサンはフォビアの肩にそっと頭を寄せ、それに重なるようにフォビアも頭を寄せる。
「プニサン・・・、この景色を今度もゆっくり二人で見よう。」
「えぇ。」
「プニサンは私が必ず守るから。私の・・・」
「ストップ。フォビ?何を言おうとしてるのかしら?だめよ。フォビだって私に言ったんだから。『そんなわがまま聞いてやれるか!』って。それは私も同じよ。」
「あぁ・・・そういえばそうだったっけ。そうだな。私たちは。」
「「いつも、いつまでも一緒なんだから。」」
二人は顔を上げ、見つめ合うとクスっと笑って茜色のカーテンに包まれながら世界で一番甘い口づけを交わした。どちらともなく唇を離すと、フォビアが何かを思い出したようなわざとらしいフリをして、
「あ、そうだ。」
ポケットから小さな包みを取り出した。
「なに?」
プニサンが不思議そうに包みを見る。フォビアの顔は夜の帳が下りようとしているこの時間でさえもハッキリとわかるほど頬を染めて、
「こ、これ・・・あの・・・プレゼント・・・」
「ん?なに?どうして?」
「ほ、ほら、あれだよ。その・・・なんていうか感謝の気持ちっていうか・・・その・・・あぁ~もういいから受け取ってくれよっ!」
「ぷっ・・・あはは♪もう、フォビったらこういうときはホントダメダメね。ありがと。何かなぁ。」
そう言ってプニサンは包みを受け取ると掛っていたリボンを解き箱を開ける。
「わぁ・・・キレイ・・・」
箱の中に入っていたのは虹色に輝くブローチだった。光が当たっていないにも関わらず、ソレは虹色に輝きブローチの周りには白い半透明の羽が無数にひらめいていた。
「天使の宝珠っていうらしい。世界にもあまり数がないっていう幻の石なんだ。石の周りに輝いているホログラフがまるで天使の羽のように見えるから天使の宝珠って名前がついたらしいんだ。ほら・・・かして。私が付けてあげる。」
「うん。」
フォビアは箱からブローチを取り出すと、そっとプニサンの胸元につける。すると、石は一瞬不自然なほど輝きだし、先程まで石の周りをひらめいていた羽のホログラフが小鳥の羽程になりプニサンの体周りにひらめきだした。
「すごい・・・キレイ・・・。ありがとうフォビ。」
「あ・・・うん・・・プニサンは私の天使だから・・・。でも・・・本当に天使になった・・・。」
フォビアは暫くその姿に見蕩れていた。夜の闇が深くなり始めた中で白く輝くプニサンの姿は本当の天使のように神々しくそして魅力的に見えた。そんなプニサンがゆっくりと口を開け、
「フォビ・・・実は私もアナタにプレゼントがあるの。」
「え?」
プニサンはそう言うと、同じくらいの大きさの包みを一つゆっくりとフォビアに差し出す。
「これ・・・」
「開けてみて。」
フォビアは言われるがまま、包みを開け同じように箱を開けると、そこには漆黒の石で造られたペンダントが入っていた。
「これは・・・」
「うん、それねダークフェザーのペンダント。ほら、いつか話したでしょ?ダークフェザーアルマちゃんのこと。」
「あぁ。」
「その時にね、その子に貰ったの。付けてあげるね。」
そう言って、プニサンはペンダントを取り出すと、フォビアの首にそっとかける。すると、先程のプニサン同様に一瞬輝くと、白い光に縁取られた黒い羽がフォビアの周りにひらめきだす。
「やっぱり・・・。フォビアはその色の感じがとても似合うね。フォビアは私のナイト様だもん。魔法というランスで私を守るナイト様。うんうん、かっこいいよ。」
「あ、ありがとう。」
「それにね、明日フォビの誕生日でしょ?一日早いけど・・・お誕生日おめでとうフォビ。アナタの記念日に私が隣にいられるなんて幸せ・・・。これからもよろしくね。そしてこれからもアナタの隣にいさせてね。」
「プニサン・・・」
フォビアはそれ以上の言葉を紡ぐことをやめ、代わりにプニサンを抱き締める。この気持ちを言葉になんてそんな陳腐なもので今の私の気持ちを表せられない、そんな想いがフォビアをそうさせた。
「あぁ・・・これからもずっとずっと一緒だ。私の隣はプニサンしか考えられない。愛してる・・・ほんとうに愛してる・・・。」
「フォビ・・・私も・・・私も愛してる。」
今日何度目かのキス。そして今日イチバンの熱いキスが交わされる。抱きあった二人の周りには無数の羽が交わり合い、白い羽とその羽の光に包まれるかのように白く縁取りされた黒い羽が二人を祝福するかのように舞い踊る。
「ほぉ・・・これは興味深い。天使と堕天使・・・。やはり私の推論通りイクスドミニオンは地底人ではなくて堕天使だった・・・。」
「!?」
二人の甘い結界にヒビが入った気がした。少し低いトーンで抑揚のない話し方。
「しかし、プニサンとフォビアは女の子同士・・・どうやって子作りするの
か・・・あ、フォビアは実はフ○ナリ説。おおぅ、新しい展開。」
「おいっ!!!!!誰がフタ○リだ!誰が!私はれっきとした女だっ!」
フォビアは肩を震わせて突然の訪問者に怒鳴る。
「それにいつも言ってるだろう!ちゃんとチャイムを鳴らせと!」
「あぁ・・・ということは、やっぱり尻尾か・・・ふむふむ。あのカタチは前々からエロいカタチだと思っていたんだ。すごいな。キミのもそうなの?シロ」
「はわわ・・・わ、私のシッポはそ、そんなことに使えない・・・のですぅ。あ、でも私が使ったことがないだけで、ホントは・・・あうあうあうあう」
白い使い魔アルマのシロが顔を真っ赤にして俯いてしまう。
「ちがうっ!違うからっ!ミサキもヘンな事をシロに吹き込むなっ!それと何回も言わせるな!チャイムを鳴らせ!」
「あ、ごめんなさい。でも、鳴らそうと思って中を確認したら二人がまぐわっている最中だったから・・・。」
「だからっ!だからっ!チャイムは中を確認してから鳴らすんじゃないっ!確認するために鳴らすんだっ!」
「そんな些細な事を気にするようではまだまだだな・・・ふっ。」
「ふっ・・・じゃねぇぇぇ!」
フォビアは拳を硬く硬く握り、顔の前でフルフルと震わせる。
「はいはい、ふたりとも漫才はこの辺で終わり♪ミサキ、私たちを迎えに来てくれたの?」
プニサンはフォビアとミサキの間に入るとにっこりを笑ってミサキの頭を優しく撫でる。
「うん・・・そろそろみんな集まる頃だから。迎えに行ってこいってライグが・・・。」
「そう、ありがとう。それじゃ行きましょうか。フォビ?そんな子供の言葉に一喜一憂するようじゃ私のナイト様にはまだなれないのかしらね♪」
プニサンはフォビアの方に振りかえると人差し指をピッと立ててたしなめる。その後ろでミサキがニヤリと口元を緩めるのを当然フォビアは見逃すはずもなく、
「そ、そんなっ!?おい、ミサキをただのお子ちゃまだと思ったら大間違いだぞ!?お子ちゃまじゃなく『お子ちゃ魔』だからなっ!ホントだぞ!今だって・・・」
「はいはい。おーわーりー。さ、行きましょ。ミサキ?アナタは大きくなってもあんなお子さまみたいな駄々をこねちゃだめよ?ステキなレディになるんだよ?」
「うん、わかってる。アタシはシロとミニーとプニサンみたいなステキなレディになるのが夢・・・。」
「うんうん、イイ子だね♪」
「プニサァン・・・。」
こうして、二人の甘い休日は幕を閉じ、新たな冒険の幕が上がるのであった。
Fin
Happy Birthday. Phobia
I pray sincerely looks like a nice one year.
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