アップタウンの福引マシーンで手に入れたフシギな箱から出てきたのは自称悪魔と名乗る小さな(大きさ的な意味で)少女。彼女は私が召喚したというが・・・。はい、第2話の始まりはじまり~♪
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「さて、それじゃぁ順を追って説明しましょうか。大事な所はメモにとって、解らない所があったら質問するよーに。イイ?」
自称悪魔は、左手で頬杖をついて右手の人差し指をピッと立ててまるで先生のような仕草で話を始めた。
「私の名前はキサラギ。見た目通りの悪魔よ。アナタ名前は?」
突然の質問に、
「あ、わっ、トーコ、トーコですっ!」
素直に答えてしまう。
「そう、トーコか。名前も見た目通りフツーね。まぁいいわ。」
「ちょっ、見た目とか関係ないで・・」
「ハイハイ、聞きなさい。」
私の反論は、あえなく却下されてしまった。はぁ、こんな小さな子にまで私の意見は言わせてもらえませんか、そうですか・・・。
小さく溜め息をついて、キサラギの話をとりあえず聞く。
「トーコは私を召喚した。召喚された悪魔は召喚した者をマスターとして契約をする。私はマスターの願いを叶え、トーコは私に報酬を払う。カンタンでしょ?ハイ、ここまでで質問は?」
キサラギは私を指差す。私は首を横に振ると、ニコッと笑顔を作って続きを話出す。
「さて、私の契約内容は『愛』よ。」
「え?」
「『え?』じゃないの、愛、あ・い。わかる?LOVEよ。」
私はビックリした。悪魔の契約は、制限とかジャンルとかそういうものはなくって何でも叶えてくれると、学校の呪術論で習った。それに・・・
「悪魔に愛ってヘンじゃない?普通、愛ってキューピットさんがこう・・ハートの矢で・・・」
私は、弓を引くようなポーズで説明しようとすると、
「はぁ、これだから処○の妄想は怖いのよねぇ。トーコ、あなた一体いくつよ?そんなのは愛じゃない!そんな誰かが勝手に突き立てたモノで手に入れた愛に満足なの?達成感ってあるの?幸せになれるの?」
「うっ・・・。そ、それは・・・。」
あまりの迫力ある物言いに、私は息を詰まらせてしまう。確かに言われる通りかもしれないと考えさせられてしまう。○女の妄想ってトコロ以外は・・・。
「そ、それじゃアナタの・・・キサラギの言う愛ってなによ。」
その言葉を待っていましたとばかりにキサラギはテーブルの上に立つと、両手を腰に当て、
「略奪よっ!」
自信に満ちた、そう「どや!」顔で胸を張る。その時私は、アクロニア全土の時間が止まったような感覚に襲われた。そのあまりにも驚愕なそして衝撃的な発言に。私は止まった時間を動かすために、止まった呼吸を再開するために、そして次に発するセリフを思いっきり叫ぶために小さくちょっと多めに息を吸って準備を整えると、
「ええええええええ!!!!」
思いっきり、声が裏返るのも気にせず叫んでしまった。しかし、当のキサラギはそのリアクションが当たり前のように、そう・・・もう何百回何千回と繰り返してきたことのように右手で耳をほじりながらアクビをして、一連のリアクションコンボが終わるのを退屈そうに待っている。
「はぁはぁはぁ・・・」
「さ、もういい?話続けて。」
肩で息をする私に、呆れた声で問いかけてきたキサラギに私はただウンと頷くしかないわけで。
「いい?愛は奪うもの!自分の手で!恋敵から!ドロドロとした三角関係から修羅場をくぐり、時には血を流し、そうして手に入れた愛は至高の宝!めくるめく情欲で縁取られた禁断の果実!コレこそが本当の愛!究極の愛なのよぉぉぉぉぉ!・・・よぉぉぉぉ・・・ょぉぉぉ」
腰に当てた左手はいつの間にか握り拳をぐっと前にだしてガッツポーズをつくり、羽はいっぱいに広げられ尻尾はピンと斜め上45度に真っ直ぐ伸びていた。ハッっと我に返ったキサラギは、コホンと小さく咳払いをすると、
「というわけで、私はその手伝いをするために召喚されたの。ハイ、ここまでで質問は?」
キサラギの熱弁に意識朦朧とするなか私は、小さく手を上げて
「り、略奪って物騒な・・・他の方法で手伝う・・」
「却下!!!!」
「ひうっ!」
またも却下された。
「質問がないなら次の説明。ココからが大事よ。ほら、メモ取る準備!」
キサラギの気迫に、思わずテーブルに置いてあるペンとメモを手に取る。
「いい?次は報酬。この契約が成功したときに私が頂くモノのことよ。今までのマスターは代償と言っていたわ。」
一変したキサラギの表情に私はゴクリと息を呑んだ。
・・・To be continue
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