久しぶりの文字テロ・・・
勝手に書いてゴメンナサイ。
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『 最狂×最凶=最強 』
それは、日ごと寒さが増す秋もそろそろ終わりを告げ冬の訪れが間近に迫った日の午後。一人の少女がアクロニアの森に立っていた。
「四属の精霊に求む。我らが結ぶ盟約に基づき、世の理を割って生まれし穢れを汝らの息吹によって聖浄せよ・・・エレメンタル・ラース。」
少女が静かに詠唱を終えると、長い金髪がふわりと広がり木漏れ日に反射してキラキラと輝く。そして目の前に4色の光の粒が現れ、それぞれが絡み合い螺旋を作り出す。その中心に置かれていたのは鎖で厳重に縛られた宝箱。光の渦に巻かれた箱はガタガタを震えだした。光に囲まれること数十秒、箱の蓋の隙間から黒い靄(もや)が吐き出されると光の螺旋に絡め捕られるように上空へ舞い上がり弾けた。
「逝ったか・・・。」
目の前の宝箱は静寂を取り戻し、どこにでもある普通の宝箱に戻った。少女は、小さく深呼吸をすると瞳を閉じて
「アタシの知り合いにストーカーはいないよ。」
一言呟く。すると、背後の草陰がガサガサと揺れ、一人の少年が立ち上がった。
「ほう・・・手際の良さといい、カンの鋭さといい、さすがアクロニアの女帝と呼ばれるだけのことはあるな。」
「チッ、その呼び名はやめてよ。こんな可憐でか弱いレディを捕まえて女帝なんてくっだらない、一文字目聞くだけでもむかつくわ。」
少女は小さく舌打ちをする。ゆっくりと閉じていた瞳を開き振り返る。
「それで?アナタ誰?見た感じちょっとイケメンっぽいけど、前髪でよく見えない・・・。腰のぶっといの見る限り剣士っぽいけどさ。」
「失礼なヤツだな。人に名を聞くときは自分から名乗るモンだぜ。」
「ハッ!アナタから声かけて失礼とはどっちがよ。」
少女は肩にかかった透き通るような金髪を右手でパサリと払うと盛大に鼻で笑う。なかなかに勝気な態度だ。
「ほう、噂どおりのいい根性だぜ。俺はビゼンだ。見たとおり剣士をやっている。」
「へぇ。アナタが噂の剣士さま?もっとゴツいの想像してたわ。アタシの名前は・・・。」
「サキ・・・さまだろ?」
「知ってるなら聞かないでよ。って、なによっ!『さま』って!」
「いやなに、噂で『サキさま』って呼ばないと消炭にされるって聞いたからさ。」
「キッ・・・」
「おお怖っ・・・」
少年は両手を軽く上げてマイッタのジェスチャーを取る。
「ったく・・・。」
サキは右手で頭をガシガシと掻きながら、あ~と唸り
「それで?アタシに何の用よ。」
苛立ちを隠せず、無愛想に質問する。ビゼンはサキの元へ歩み寄るとパチンと指を鳴らす。すると、ドコからかその指先に赤いバラが一輪つままれていた。そして、その場で肩膝をついて手に持たれていたバラをサキの胸元へ差し出し、
「パーティへのお誘いに参りました。」
頭をさげた。いきなりの行動にサキは驚き、
「ち、ちょっと、最近の剣士はマジシャンみたいな芸当もスキルにあるのかしら。それとパーティってなによ。」
どもりながらもその行動を皮肉ってみる。
「これは、サキさま、アンタのために演出してみたんだが?お気に召さなかったか?それじゃ・・・ロクオウって言えばどうかな?」
突然出てきた単語にサキの眉がピクリと釣り上がる。
「知らないはずないわ。今この世で存在する最強といわれる伝説の魔物じゃない。あ・・・まさかアナタ・・・。」
「あぁ、そのまさかだ。俺はアイツのいる場所を突き止めた。そして、そこへ行く為の紙片と呼ばれる魔法書も手に入れた。それでヤツを討ちに行く。そこで、アンタの・・・サキさまの力が必要なんだ。どうだ?のらないか?」
ビゼンの提案にサキは
「だから、さまって言うな!ソレ、アナタ本気で言ってるの?ロクオウ討伐なんて。誰も見たことも無いのよ?策はあるの?パーティって他のメンバーは?構成は?そもそも本当にいるの?」
矢継ぎ早に質問を投げる。
「パーティのことなら問題ない。古い知り合いのパーティが同行する。策は・・・俺の剣を強化魔法で強化して、サキさまの魔法で俺を強化して、たたッ斬る・・・。それで十分だろ。」
「正気の沙汰とは思えないわ。」
サキのセリフにビゼンは、一瞬ガッカリした表情を見せ、
「アンタはすぐ乗ってくると思ったんだが・・・俺のおも・・・」
「でも・・・。」
ビゼンの話に割って入るように言葉を重ね、
「そういう勢い、キライじゃないわ。」
「ほう。」
「いいわ。最近少しヒマを持て余していたし。イイ暇つぶしができそうね。」
「オーケィ。きっと退屈しないはず・・・いや、させないさ。」
「フン、アタシの支援を受けれるなんて光栄に思うのね。」
「ハハッ、言うなぁ。サキさまも俺の剣技見て惚れンなよ?」
2人はお互い見つめあうと、フィスト・バンプを交わした。
そして
「おいおいおいおい、ありゃなんだよ。でけえっての。あんなのと闘うのかよ?久しぶりの誘いを受けたら何でこんなことになってんだよ・・・。ビゼン、俺、転生前の大事な時期なんだ。頼むぜ・・・。」
「心配すんなよライグ。お前はフレイム・ハートとアタックアシストしてくれるだけでいい。」
「お、おう・・・。」
「フォビア、バリア切らさないでくれよ。」
「誰に言ってんのさ。ビゼンこそちゃんと前向いて剣振ってくれよ?プニサンと私で後方支援は完璧さ。」
「アンゼット、取り巻きの陽動頼んだぜ。」
「まかせて!と言いたい所だけど・・・。アレ小さいけどフィールドボスだよね?」
「なんだよ。シヴァリィの名が泣くぜ?大丈夫だ。すぐに終わらせるさ。」
ノーザンの地下で見つかった無限書庫・エンシェントアーク。更にその最深部で今死闘が始まろうとしていた。目の前で牙を剥く巨大な魔物・ロクオウ。蜘蛛のような複眼を持ち、獅子のような鬣をたくわえ、背中から属性色のクリスタルを先端につけた触角が生えている。
「ぐぉおぉぉぉおおお!」
その咆哮は音圧で辺りの空気が大きく揺らす。圧倒的な強さを感じてビゼンの体が一瞬強張る。そのとき背後から聞こえたのは
「ちょっとビゼン、アナタまさかビビッてないわよね?」
サキの皮肉。ビゼンは、剣を構えた状態でほんの少し首だけをひねり
「は?なに言ってんだよ。」
「いえ?別に?ココから見てたら、剣先が震えてるように見えたからさ♪」
そんなサキの軽口に
「サキさまこそ、さっきからその古本がカサカサ鳴ってるんだが、怖いのか?(笑)」
負けじと軽口で対抗する。
「だから、さまって言うなって言ってんでしょ!それに古本いうな!これは最強の魔道書・ネクロノミコン、それもミスなんとかって学校の図書館に秘蔵してあるレプリカじゃなくて、れっきとした原本なんだからねっ!」
2人は互いの言葉をフフンと鼻で笑うと、身体から今まで纏わりついていた硬さが消えた。
「それじゃ・・・いくぜ!うぉぉぉぉぉ!」
今、戦いの火蓋が切られた。
Fin
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