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各月の日記

YUNIKOさんの日記

(全員に公開)

2014年
03月10日
21:10

第8話『天空の花とアクロニアの蝶』

けれど・・・
で、終わった第7話。どうなるんですかねっ!ということでこんばんわ~♪
今日も空元気なYUNIKOですwww
さてさて、第8話がはじまりますよー。やっと、それっぽく動き出したような気がします。それじゃ前置きはこれくらいで・・・

エミルに友達として、マーシャに友達とそして恋の好敵手として認められたティタ。
これからはじまる生活は心躍るステキな日々だった・・・。
第8話『 襲撃 』 始まります。
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第8話『襲撃』

 昼食を終えた3人は揃って教室に戻り、午後の授業を受けた。まぁ友達になったからと言ってそんなにいきなりベタベタなんて出来ないものだ。ただ、午後の授業で使う教科書がまだ全部揃っていないティタはエミルと机を寄せて教科書を見せてもらうくらいまでは進展していた。これが友達だからと言えるかどうかは疑問だが。しかし、その行動はマーシャの心に焦りを生んでいるのは明白だった。もちろん、転校初日にお姫様を泣かせたエミルがその本人と仲よく机を並べて教科書をシェアしているなんて当然クラスメイトも納得いくはずもなく、午後の授業は彼らの全方位から突き刺さるような視線にエミルはひたすら忍耐の時を過ごすのであった。本日の授業がすべて終わり、エミルは机に突っ伏した状態でピクリとも動かない。クラスメイトの男子たちは、なぜか教室を出るときエミルの席の横を通り、ティタへ挨拶すると同時にエミルの椅子の脚を一蹴りしてから帰るという『ひと蹴りしようぜ!』なんていう新しいトレンドが生まれつつあった。

「エミル、なぁんか大変そうだね・・・。」

マーシャがエミルの前の席に腰を下ろす。エミルはそのまま机に突っ伏した状態で

「うるせ~・・・。なんで俺がこんなメに合うんだよ。めんどくせぇ。」

力の抜けた声でブツブツと呟くエミルに横から申し訳なさそうにティタが声を掛ける。

「あ、あの、ごめんなさい。エミルくんとお友達になれたからって図々しかった・・・。」
「いいのいいの。ティタがそんなの気にすることないわ。エミルの普段の行いがねー。アレだよ。ティタってすっごく可愛いから男子の嫉妬なんだってー。昨日、ティタにひどい事言ったくせに何仲良くしてんだよーってやつ。気にしない気にしない。」

マーシャは笑いながらティタに説明するが、ティタは納得いかないという感じでエミルを見ていた。ティタの視線が愛おしく見るソレに変わりつつあることを恐れたマーシャはパンと手を叩いて、

「さ、さぁ、帰ろうよ。エミルもいつまでもグダグタしてないのー。」
「・・・あ~だりぃ。」

ゆっくりと体を起こすエミルの制服の襟を両手で整えながら、

「そういえば、ティタってどこに住んでいるの?もしよかったら一緒に帰ろう?」

マーシャの誘いにティタの表情は驚きから喜びといった感じで流れるように表情を変え、

「いいんですか?」
「勿論だよ。ねぇ、エミルもいいよね?」
「ん?あぁ勝手にすればいいとおもうぞ。」

頭をわしわしと掻きながら気怠そうに答える。しかし、ティタはすぐにその表情を曇らせ

「・・・・・・あ、でも私、校門に迎えが・・・。」
「あ、そうなんだ。さすがお嬢様って感じだぁ♪ねぇねぇ、やっぱり執事さんとかメイドさんがお迎えに来るの?」

興味津々といった感じで瞳をキラキラと輝かせるマーシャに、

「えっと、メイドも執事もお屋敷の方にはいるけれど、私が今住んでいるのはこっちだからそういった人はいないわ。でも、従者が一人・・・。」
「じゅう・・・しゃ・・・。」

ティタの発した単語にエミルは何か違和感のようなものを感じ、自身も口に出してみたが特に何も変わらない自分の心に気のせいだと結論付け引き出しに仕舞う。それに比べマーシャはその単語がカッコいい響きだったらしく、

「いやぁん♪従者ですって!エミル聞いた?すごーい。もうお姫様って感じだよね~♪」

エミルはマーシャの額を軽く指ではじき、

「マーシャ、うっさい。落ち着け、ティタは最初っから姫様じゃねぇか。」
「いたっ。だってぇ、そんな単語私たちの生活には縁ないんだもーん。あ、それじゃ校門まででもいいじゃん。一緒に帰ろ?」

マーシャはウィンクしながらティタの手を取った。エミルは自分のカバンを手に取ると、

「帰るぞー。」

と一人さっさと歩き出す。2人は互いの顔を見合わせて、ふふふっと笑うとエミルの後を付いて教室を後にした。
 3人は他愛もないことを話しながら廊下を歩き、校門を目指す。

(姫様っつっても、意外に気さくなんだな。普通の女の子じゃねぇか。)

エミルは女子二人の会話を聞きながらふとそんな事を考えていた。学園のある飛空城の昇降装置を操作して、ターミナルに降りたときだった。いつもと違う張りつめた空気感にエミルはカバンをマーシャに渡し、腰に付けていたレザーホルダーからダガーを抜くと、

「二人とも動くな。ここでじっとしてろ。」

エミルの突然の行動に二人はただ言われるがまま、その場にじっと立つ。

「エ、エミル・・・どうしたの?」
「わかんね。でも、いつもと違う。黙ってそこにいろ。」
「うん・・・でも・・・」

マーシャの泣きそうな声にエミルは、

「大丈夫だ。2人とも俺が守ってやるから。」
「そうじゃなくて、エミルも危な・・・」
「大丈夫。あ、これ時空の鍵。登録ポイントはギルド元宮になってる。万が一の時はこれで飛んで助けを呼ぶんだ。」
「エミル、そんな万が一ってど・・・」
「いいから、とりあえずそこにいろ。」

そう言ってエミルは昇降機から飛び出し、ターミナルの芝生の上に立つ。正面に人の姿はない。しかし、この状況が普通じゃないと確信を持てるだけの殺気がエミルの両側から満ち溢れていた。

「チッ、二人かよ・・・って、アレは・・・」

エミルが左右に視線を飛ばした先に見えたのは明らかに人ではない、けれど人型の神と呼ばれる存在、そしてエミルが西の平原で見かけた二人だった。

「デウス・マキナ・・・。なんでこいつらがここに・・・。」

左右に立っていたDEMの男と思われる方はレーザーブレードを持ち、女と思われる方は鉄のカバンのような形をした銃器を構えていた。エミルは思い切って声をかける。

「おい!なんでオマエらがここにいる!俺らに何かする気か!」

エミルの言葉に二人は特に反応することもなく、無表情のまま

「イエス、マム。・・・タイタ・・・OK。ミッションスタート」

この間のように何かを呟き、姿勢を落とす。エミルはその後に攻撃が来ることを悟り、先手必勝とばかりに男の方へ飛び出す。しかし、

「なに!消えた?・・・こっちか!」

目の前にいた筈のDEMは姿が一瞬消えた。しかし、その殺気は消えず更に大きくなり、エミルの右側に現れた。エミルは蹴りだした足を地面に下ろし、その足を軸に体を右に捻って殺気と対峙する。しかし、エミルが構えるよりも速い速度で固い金属の膝がエミルの腹部にめり込む。

「ぐはぁ・・・。」

思わず前のめりになるエミルに容赦なく追撃が。左手のエルボーが背中に重く突き刺さり、そのまま地面に倒れこみそうになった瞬間、エミルの顎に衝撃が走り視界が一気に反転し青空が映る。サマーソルトキックが命中したのだ。エミルは腰を軸に綺麗な弧を描き、背中から地面に叩き付けられる。

「っぐぁ!・・・。」

声にならない音がエミルの口から零れる。

(強ぇ・・・なんなんだ・・・)

エミルは漠然と自分が全く相手にならないと思い浮かべた時だった。脳内に浮かんだ、ついさっき体験した光景に砂嵐のようなノイズが走り、何倍速かの速度で逆再生されるように記憶が逆転していく。その奇妙な状況が止まったとき、映し出されたノイズ交じりの光景はひどく懐かしい感じがした。それは、芝生の上でタイタニアの少女が手を差し出していた。

【こんにちは。私の名前はティタ。ティタでいいわ。よろしくね、エミル。】
【ね?エミル?お友達になってくれますよね?】
【はい・・・。ティタ姫さま・・・。】
【ちがう~、ティ~タ。】
【はい・・・ティタさま。】
【はい♪】
そして、ノイズがまたひどくなり次に映し出されたのは、真っ暗な部屋で泣いている同じ少女。
【ティタさま、お腹痛いの?】
【こわいの・・・。夜は静かで寂しくて悲しくて・・・。】
【そんなのっ!そんなの僕が守ってあげる!】
【え・・・エミル?】
【僕はティタさまの事を守るためにここに来たんだって父さんが言ってたんだ。だから僕がティタをずっとずっと守るっ!】
【エミル・・・ホントに守ってくれる?】
【うん、だからティタさま、もう泣かないで?そうだ、指切りっ!】
【指切り?】
【うん、これはね、僕たちの世界でする一番大事な約束なんだ♪】
恐らく自分の小指と少女の小指が小さく絡みあい、
【ゆーびきーりげーんまーん うっそついたら はりせんぼん・・・】 

その光景が映し出された瞬間、エミルの中で全てが繋がった。ぽっかり開いていた胸の風穴もティタを学校で見たときに起ったざわつきも全て。エミルは体中の血液が逆流するような熱いたぎりのような感覚に襲われる。そして、現実に還る意識と感覚。エミルは瞳を開き叫ぶと同時に立ち上がり、そして立ち向かう。

「ティタはぁぁ!俺が守るってぇぇ!約束したんだぁぁぁ!」

大きく大地を蹴り、DEMへの間合いを詰める。エミルのスピードはさっきのソレとは比べものにならないほどで、一瞬DEMの無表情に驚きの色が現れる。しかし、

「エミルゥゥゥゥ!だめぇ!後ろぉ!」

ティタが叫んだ時には、もう一人のDEMが駆け出しエミルの背後に迫っていた。

「くっ・・・。」

寸でのところで、エミルはティタの声に気づき体を反転、ダガーを突き出しカバン型の銃器の銃口を上へ逸らせた。

刹那。

エミルの背中に走る衝撃、そして追いかけてくる真っ赤に熱したコテを突きつけたような激痛。相手は2人、エミルはDEMのレーザーブレードで背中から切り捨てられた。

「いやああああああああ!エミルゥゥゥ!」

マーシャは腰が抜け、その場にうずくまり泣きじゃくるしかできず、ティタは目の前の狂気と惨劇に意識が飛びそうになった。目の前の障害を排除したDEMは覆いかぶさるように崩れ落ちるエミルを払い除け、視線をティタへ向ける。その意志も意思もない冷やかな視線を向けられたティタはその恐怖から声も出せず、その場に立ち尽くす。DEMは呼吸を整える時間すら惜しむかのようにすぐさま飛び出す。ティタは両目をきつく閉じ、その瞬間を覚悟した。

「神速っ!」

どこからか声が響いた直後、ティタに向かっていたはずのDEMはターミナルの壁に重なるようにめり込んでいた。

「ティタ様、ご無事ですかっ!」
「ヘルミーネッ!」

ティタの目の前に魔剣・煌刃白虎を構える一人の少女剣士。黒金の鎧を身に纏い、浅いヘルムからこぼれる金糸のような金髪、瞳は大きくほんの少し垂れた目尻は幼さを拭いきれない顔立ちが今は目の前のDEMを眼光だけで斬り裂ける程の凄みとオーラを発していた。ティタは目の前に立つ救世主のごとく現れた剣士に緊張の糸が切れ、涙を滝のように流しながら、整った顔をくちゃくちゃにして

「ころしてっ!目の前のアレをころして!エミルを斬ったアイツをこーろーしてぇぇぇ!」

狂ったように泣き叫ぶティタを背に、ヘルミーネは

「ティタさま、少しだけ目を閉じていてくださいませ。これから起こることはティタさまには少し刺激が強いかもしれません。」

静かにそう言うと、ヘルミーネの全身から真っ白なオーラが噴出し、

「魔力開放・・・竜眼。闘神乱舞(ソードディレイキャンセル)。」

呟くように詠唱を行い、腰を低く落とす。すると、重なるように壁に叩き付けられたDEMはその凄まじい闘気に恐れをなしたのか、下になっていた男のDEMの腕を取り、目にも留まらない速度でターミナルから飛び降りていった。ソレを見たヘルミーネは深追いはせず、チッっと舌打ちをしてティタのほうを振り返った。ティタはそんな事はお構いなしに、中央で倒れるエミルへ駆け寄り血だらけのエミルを抱き起こす。

「エミル!しっかりして!エミル!死んじゃだめっ!エミル!返事して!エミルゥゥゥ!」

我を忘れ泣き叫ぶティタに、フラフラとマーシャが歩み寄り思いっきり頬を打った。

「アナタのせいだよねっ!エミルが!エミルが・・・アナタさえいなかったらエミルもこんな風になってないよね!放してよ!エミルからその手を放してよっ!」

泣きながらティタとエミルの間に身体をねじ込み、エミルを抱き奪うと、

「消えてっ!早く!私たちの目の前から消えてっ!お願い・・・お願いだからぁ・・・うぇぇぇぇん!」

大声で泣きじゃくる。ティタは呆然とその場に座り込んだまま放心していた。ヘルミーネがティタの後ろに立つと、そのまま抱き起こし、

「ティタさま・・・今日はこのままお屋敷の方へ戻りましょう。失礼します。ティタさまのご学友とお見受けいたします。このたびは大変危険なめに合わせてしまい本当に申し訳ありません。すぐにドルイドを呼びましたので、ここでお待ちください。それでは。」

そういうと、ティタを抱きかかえ空から飛んできたグリフォンに跨りターミナルを後にした。

「おい!今通報があったんだが、大丈夫か!君はマーシャ君じゃないか!それと・・・エミル君か!すごい出血じゃないか!」

騒ぎを聞きつけた野次馬と学園の教師たちが駆け寄り二人を囲む。そこでマーシャはただただ泣き続けるしかできなかった。

to be continue
  • ECOの創作

コメント

1番~4番を表示

2014年
03月11日
15:04

エミルの記憶のピースが揃ったところでハイパーエミル君覚醒となるのかと思いきやガッツリやられてしまいましたね~まぁそんなに甘くないか(笑)
今後の成長が楽しみです。

それにしても、ヘルミーネたんはグリフォン持ちだったんですね~今度乗せてもらおう(違

2014年
03月11日
19:46

>>ねこさん
読んでくれてありがと~♪
そうねそうね、ここでエミルくんがんばっちゃうと話終わっちゃうもんねw
なんてww
これからがやっと本編というかなんというか・・・
筆遅なので、気長に待っててくださいなw

2014年
03月11日
21:21

エミルがバッサリやられて「え、これどうなるの?」と思った次の瞬間・・・
まさかの展開に大爆笑しましたw
ティタを護る大役、あざっす!!
・・・ってコレ後でお亡くなりになる役のような気が・・・まあそれはそれで本望!

ちなみに本物は氷結DD2Fで一瞬で地面に転がるヘボ剣士です
さらに乗り物はグリフォンではなくカッカランです(ぁ

2014年
03月11日
22:18

>>るみねちゃん
読んでくれてありがと~!
そいと・・・ゲスト出演(勝手に)ありがとー!

るみねちゃん、かっくいい感じだったでしょ?
ダイジョウブ!死亡フラグは立ちませんよ!

あ、カッカランはお羽が付いてないので、飛べないから
グリフォンにコスさせちゃいました(ぁ

続きがどうなっていくか・・・楽しみにしててくださいね~♪

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