大型アップデートだというのに空気を読まずSSアップしてるYUNIKOですwww
アップデート日記は他のプレイヤーさんがきっといっぱいアップされているからいっかーという感じで、私はごーいんぐまいうぇいですw
夜のタイニーアイランドの泉でトーコが目にしたのはティタの姿。
どうしてそこにいるのかタイタスに詰め寄るとキサラギが全てを話すと
トーコの前に現れた。
ティタは生きている?
ティタはどうしてタイニーアイランドに?
それじゃティタの記憶というあの映像は?
第27話 はじまります。
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第27話 ココロの欠片~ティタ復活篇3~
「私が説明してあげるわ、トーコ。」
「キサラギ?!」
岩の洞窟の上からキサラギがパタパタと羽をはためかせてゆっくりと降りてきた。そして手ごろなタイニーロックに腰かけると、得意の脚組頬杖ポーズを取って二人を見据えた。私はどうしてキサラギが此処にいるのか分からないし、どうして説明できるのかもわからない。そんな純粋な気持ちをキサラギにそのままぶつける。
「キサラギ、どうしてここに?」
普段のキサラギなら自分の毛束を持って髪の毛の先端で自分の頬をなぞりながら、『別にどーだっていいでしょ?イイ女は不意に現れるもんなのよ。』などとまずは軽口から入りそうなものだが、今日は違っていた。頬杖をついていた手を解きゆっくりと腕を組むと
「そうね、まずはこのタイニーアイランドの本当の存在理由から話すべきかしら?」
「それって、世界の歪みで、常世にも現世にも属さない中立の世界とかいうの?」
「なんだ。知ってるんじゃん。なに?そこのインテリメガネに聴いた?」
キサラギは意地悪な瞳をタイタスに投げかける。タイタスは
「イ、インテリメガネなんて仰らないでください。」
とやけに丁寧な口調で一言だけ返した。その事だけでも私の謎は一気に深まるばかりで、二人を交互に見るしかできなかった。キサラギは腕を組んだ状態で口元に人差し指を添えて、
「あはは、でもその説明じゃ満点はあげられないわね。正確に言うとここは死人が死人になるための場所なの。」
「死人が死人になるための場所?」
「そうよ。ここには現世に想いが残っている人の心を浄化するためにある世界。迷い人として幽閉されているの。まぁあれね、1年のうち一回だけ星霊祭のときだけは別だけどね。」
「星霊祭?」
私はキョトンとした顔でキサラギを見る。キサラギはハァっと分り易いくらいの溜息をついて、
「ゴメンネトーコ、アナタオバカダッタンダヨネ。スッカリワスレテイタワ。」
とヤレヤレというジェスチャで左右に首を振って答えた。
「ちょっ!むぅ・・・っもう、おバカでいいよっ!」
「冗談じゃん、冗談、半分だけ♪って、ほら毎年お祭りがあるでしょ?思い出星って星が手に入る・・・。」
「あ、うん、あるね。」
「あれはね、実際には亡くなった人の浄化された想いが参加した人の想いや思い出に影響されて形を変え星になるの。それが思い出星。アレを手にしたってことは、誰かの想いが浄化されて天国に旅立ったってことなのよ。」
「知らなかった・・・でも、冒険者は最初に必ずここに訪れるよね?それに私たちも普段からここに来るよ?そんな場所だって全然わからなかった・・・。」
「そうよ、トーコ達が普段来るのは昼間のタイニーアイランドでしょ?」
「うん。」
「言ったでしょ?ここは常世にも現世にも属さない場所なの。だから生者には昼の世界、死者には夜の世界が用意されているの。だから、いつ来てもここは昼だったでしょ?」
言われてみれば、たしかにここは常に昼間だった。そして、自身納得したようなしてないような微妙な感覚が残る。そして今は夜。私たちが居る場所の少し先には、ティタがいる。
「キサラギ、じゃあ泉のところにいるティタは・・・。」
「そうよ。あの子は死人、想いが残っているからここで浄化中・・・」
「そ・・・そうな」
「っていうのとはちょ~~っと違うのよねぇ。」
「え?えええ?!」
突然口調がガラリと変わったので、私は思わず声を裏返してしまった。キサラギは腕組みをしながらパタパタと羽ばたいて私の肩に乗り、またも口調を変えて話を始めた。
「そもそも、人だけじゃなくこの世に生を受けるもの全ては、神界と言われる神様の世界にある輪廻の蝋燭という命の灯で寿命は決まっているの。その蝋燭は風じゃ消えないし、それこそ水を掛けたって消えないわ。その人が命尽きるまで、その人の成長とともに蝋燭は燃え進んでいくの。」
「・・・・・・ふ、ふうん。」
「それでね、ティタはあの日、エミルの命を救うために禁忌と言われている移魂の術を発動し、自らの魂をエミルの魂と入替えた・・・。けれど、実はそれは寿命じゃなかったの。」
「寿命じゃなかった?」
「ええ、そもそもあの日エミルもティタも死なないはずだったの。でも死んでしまった。わかるよね?トーコ。」
「矛盾・・・が起こる?」
「そう、エミルは結果的にティタの魂で上書きされて何事も無く時が進んでいるわ。でも、ティタは死ぬはずのないタイミングで死んじゃったから、輪廻の蝋燭はあの日のままでずっと燃え続けているの。進むこともなく消えることもなく。」
「そんな・・・。」
私はティタに視線を向けると、虚ろな瞳でじっと泉を見つめているティタに胸がギュッと締め付けられた。でも、同時に私の中には
「それなら、ティタをすぐに生き返らせることはできないの?その・・・輪廻の蝋燭は消えていないんでしょ?それなら・・・」
私はキサラギとタイタスを交互に見つめる。キサラギは眉間に浅く皺を作り小さく微笑む。作り笑いだ。この表情はあまりいい結果が期待できないときの表情だと私は知っていた。
「本当ならトーコの言うようにすぐに蘇生させれば何も問題なかった。でも、ここの監視役であるタイニー族がその勤めをさぼったのよねえ。ホラッ!出てきなさい!」
キサラギが隣の茂みに向かって声を掛けると、中から1匹のタイニーが出てきた。キサラギはタイニーの頭の上に飛び移ると、ヒールの踵をタイニーの額にめり込ませて、
「死人がここに送られたときに、まずここの監視役であるタイニーはその死人がここに来るべき死人か確認するの。念の強さとか一番は心臓の辺りにできる死の痣ね。」
「死の痣・・・。」
「そう、ティタにも例外はなくってね、当然その確認は行われたわ。」
キサラギはそこで、踵を更にめり込ませる。するとタイニーがブルブル震えだし、
「あ、あ、あ、あの日っ!私たちはちゃんと確認したんです。溢れるほどに強い念と、そ、その・・・胸にできた痣・・・。」
「その痣の形をちゃんと確認しなかったのはこの飾りの目ン玉よねっ!」プチ
キサラギは笑顔を引きつらせて、左目を縫い留めてある糸を抜く。するとタイニーの左目になっていたボタンがほつれ、地面にぽとりと落ちた。
「ぎゃあああああ!目!目!目がぁぁぁぁぁ!ひぃぃぃぃ!」
「うるさいよ。アンタらが犯した罪はこれくらいじゃ償えないの・・・解ってるわよね?」
「は、は、はひぃ・・・・。も、も、も、申し訳ございませんっ!申し訳ございませんっ!」
タイニーは汗なのか涙なのか、自身の身体がどんどん変色していく。キサラギはそのまま落ち着いた態度で
「続きは自分で説明しなさい。」
「はい・・・。その日、私たちは新たにここに訪れた死人の確認作業に追われていました。その中にここにいるティタさまがいらっしゃいまして。確認作業の中で現世での想いは本当に強く強く感じられ、その強さは過去に例を見ないほど膨大なものでした。そして、痣の確認を行ったのですが、想いの強さに圧倒された私は胸に痣があるとわかると、それが死人の証であるということを確認せずに受け付けてしまったんです。」
「それは間違いだったんでしょ?というか痣は?その痣は・・・。」
そのとき間違いに気づけば問題なく生き返らせられたんじゃないかと私は感じていた。
「受け付けてしまえば、後は想いが浄化されるまで幽閉という形で放置されるんです。特に何の処置も確認も行われません。そこである日気づいたんです。ティタさまの想いの強さが一向に変化がないということに。」
「それは、ティタが死人じゃないからだったんでしょ?でも痣は?」
私の言葉を遮るようにタイニーは話を続けた。
「それで、私はもう一度調べたんです。そうしたら・・・ティタさまの胸にあったのは呪術の痣だったんです。」
「呪術の・・・痣?・・・・・・あ・・・それってまさか・・・。」
「!!」
タイタスは顔面を蒼白にして無表情でその場に立ち尽くす。私は先日キサラギに見せられたティタの記憶を思い出す。エミル君が命を落とした理由、それはデスが放った呪術魔法(カーズスペル)が原因だった。その際、エミルの胸にできた痣が移魂の術を行うことでその呪いごとティタに移ったということなのか。私はその先が知りたくなり、タイニーに詰め寄る。
「私は焦りました。これがもしもバレてしまえば私たちタイニーの立場は剥奪され、ただのぬいぐるみに戻されてしまう。人々の記憶からも抹消されて、マリオネットでいることすら許されない・・・だから・・・だから・・・。」
震えるタイニーに座っていたキサラギは静かに
「だから、見なかったことにしたのよね。・・・そんな役立たずなモノは必要ないわよね。ムダ・・・・だわ。」
そう言うと、もう片方の目のボタンを縫い付けてあった糸を静かに抜く。
「ぎゃあぁぁぁあぁ!お許しをぉぉ!目が!目が!何も見えません!」
「ほら、さっさと続きを話すんだよ。」
私は足元に転がってきたタイニーの目だったボタンを拾い上げる。キサラギは冷静に冷酷に冷徹にタイニーに言い放つ。
「ううぅ・・・。そこで私たちはティタさまの想いを結晶化して身体から引き離すことにしたんです。そうすれば、念は消え天界へ送ることができますので・・・。」
「それも失敗したのよね?」
「はい。ティタさまの想いは『アクロニアの鼓動』という宝石に封印しきれず、あと少しというところで取り込みきれず破裂し粉砕されてしまいました。そのときの勢いで世界中へ欠片は飛び散ってしまいました。けれど、想いを引き離すことが出来たことに変わりはありませんので、天界へ送る儀式を行ったのです。」
私は思わず口を開いていた。
「天界の輪廻の蝋燭は消えていなかった・・・ということですね?」
「はい・・・。」
タイニーは小さく力なく頷いた。キサラギもそれに合わせるように溜息を吐く。
「それなら、また蘇生させればいいじゃないですか!生きているって証もあったわけだし!どうしてできな・・・。」
私は口早にそこまで言って気づいてしまった。
「ココロが世界中に飛び散って空っぽの状態で蘇生させれば、その人は空っぽのままなんです。」
タイニーの言葉は正確過ぎて、素直すぎて、
「そうね、ココロがないなんて・・・生きる死人そのものよね。」
キサラギの言葉は適確過ぎて、率直すぎて。
「だから私が・・・エミルと一緒に探しているんだ。トーコ・・・。」
タイタスが口を開く。その言葉とほぼ同時にタイニーは小さな箱を取り出して私の前で蓋を開けた。
「これは・・・。」
私の前で開かれた小さな箱には血の様に赤い宝石が1つ入っていた。無数のひびが入ったその宝石はハートの形をしている。いくつもの欠片がその形を作り上げていると一目見てわかる。そして、
「真ん中に穴が開いてる・・・?」
私は見たままを言葉にしてみる。
「あぁ、そこがきっと最後の欠片なんだ・・・。」
「これがティタのココロ?」
タイタスは声にせず、ゆっくりと静かにうなずいた。
・・・To be continue
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