召喚=契約という事実に戸惑うなか、キサラギと愛の成就?契約を結んでしまったトーコ。でも、契約って私いったいどうなるの・・・?
(略奪)愛の守護魔キサラギとマスターとなったトーコのドタバタ?ハラハラ?な日常のはじまりはじまり~
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「ぅん~・・・。はぁぁ・・・。」
カラダがだるい。疲れているわけじゃなく、理由は一つ・・・。起きたくない。ベッドの上でシーツに包まったまま私は目覚しをサイドテーブルからゆっくり奪い取る。しかし、現実は甘くはないと思い知る瞬間。
「えー!?寝坊したー!」
その場で飛び起きた結果の代償は
「え?え?きゃぁっ!」 ビタンッ!
カラダに捲いたシーツに足を取られてそのままベッドから落下。
「いたいぃ~。あ~ん・・・って、言ってられないんだよ!」
私は鼻をさすりながら、シーツとお別れするとクローゼットから服を取り出しパパッと着替える。洗顔したらそのままキッチンへ向かいパンにレタスとハムを挟んでカンタンサンドの出来上がり。
「はむっ☆」
それにかぶりついて、寝癖のついた髪をとかす。すると、昨日から聞き覚えた声が私の焦りをホンの少し中和する。
「あら、トーコ随分早いのね。おはよう♪」
「あ、おはよう!って、もうなんで跳ねちゃうかなぁ!この髪はっ!」
「そんなに急いでドコ行くの?」
ノンキな声色で聞いてくるのは、自称悪魔でありながら愛の守護魔のキサラギ。
「仕事だよっ。寝坊しちゃったの!って、いないし!!!」
理由を話しながら振り返ると、ソコには誰もいなくて。すると、洗面所から当の本人がタオルを持ってパタパタと飛んでくる。
「って、キサラギのせいで昨日眠れなかったんじゃないのよー!って、タオルなんてどーするの?」
「ホラ、鏡に向いて。アタシが直してあげるから、トーコはそれ食べちゃいなさいよ。」
「あ・・・ありがとう。」
私は少し呆気に取られながらも、食べかけの朝食を済ませる。その間キサラギは跳ねた髪を濡れタオルで押さえてくれている。
「ハイ、取れたよ。」
「あ、うん。それじゃ行って来るからっ。それから、誰が来ても出ちゃダメからね。大人しくしてるんだよ!」
それだけ言うと私は部屋を飛び出した。
私はダウンタウンを小走りに酒場へ向かう。息を弾ませて酒場に到着すると、マスターがランチ用の仕込みをしていた。
「おはようございまーす!遅くなってすみませーん!」
「おはよう、今日も元気だねぇ。大丈夫だよ、着替えて店の前の掃除お願いね!」
「はーい!」
私は店の奥でミニメイド服に着替え始める。
「はぁ~、私どうなっちゃうんだろう。」
溜め息を一つ吐いてブラウスのボタンを留めていく。一つ留めていく度に昨日の夜のやり取りが浮かんでは消えていく。
「どうなっちゃうもなにも、愛が成就するんじゃん。」
「でも、付き合ったコトもないのにいきなり略奪とか言われてもさー。」
「だから、恋愛にルールもカタチも決まってないんだって。スキになった人に恋人がいたってその想い以上の想いを自分が持ってれば、それがホンモノになるんだから。」
「そんなの聞いたことないよぅ。」
「それにしても、何?そのメイド服。ちょっとスカート短すぎじゃないの?メイド服はビクトリアン以外認めなーい!」
「ちょ、なんでメイド服?!しかも、ビクトリアンとか地味に知識豊富って・・・ええええ!私誰と話してるのっ!?」
振り返ったソコには腕を組んだ小さな悪魔がウンウンと頷きながら飛んでいた。
「な、な、なんでいるのよ!って、いつからいたの?!」
「いつからって、トーコ誰と会話してたのよ。それホンキで言ってるんだったら、もう天然のレベルじゃないよ?それに、アタシがトーコの傍にいないと契約遂行できないじゃん。」
組んだ腕をほどいたキサラギは、その手を腰に当てて呆れた風に諭す。
「そ、それはそうかもしれないけど。でも、私お店に出るからキサラギがいたら目立っちゃうよ。」
「大丈夫。私の姿は他の誰にも見えない。トーコしか見えないよ。まぁ、キッチリ具現化すれば見えるけどね。」
なるほど、私以外は誰にも見えないんだ。キサラギの言葉に少し感心していると、
「トーコちゃーん、掃除お願いねー!」
調理場かたマスターの声が響く。
「はーい!今いきまーす!」
私は、ホワイトブリムを頭に乗せるとロッカーの扉を閉めて、
「それじゃ、私はこれからお仕事だから。邪魔しないでよ。まだ契約とかよくわかってないし、大人しくしててねっ!」
「はいはい、アタシだってトーコの好みとかちゃんと把握したいしね。今日は大人しくトーコのこと監察することにするよ。」
「監察って字がちがうー!はぁぁ・・・どーなっちゃうんだろ今日・・・」
こうして、契約1日目が始まった。
・・・To be continue
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