エミドラを倒した後に、色んな人からお祝いの言葉を貰った
最初に戦おう!って決めた時は、勝てるかどうかも分からなかったから…本当に嬉しかったな
その時 なんだけど
気になる言葉を発してる人が何人か居たんだ
「次は転生ですね」
転生…って、何だろう?
*
「私は、それを知らない」
「だよねー」
飛空庭の外は綺麗な澄んだ空と少し冷たい空気
私はアイテムだったパートナー達を元の姿に戻して、転生について話をしてみようと思った
結果はご覧の通り
スタートラー・アルマのメセチナは知識を蓄えてる最中だから、知らなくて当然って感じだった
でもこのきょとん、とした顔で淡々と答えてくれるの…可愛いよね
「私もわからないぞ!」
「…もふ~…」
ダンプティー・アルマのアウラは大きな声でハッキリと答えてくれた。ちょっとむすーっとしているのがまた可愛い
子パンダのこぱんちゃんも、戸惑っている様子から言葉の意味が何なのかが分からなかったみたい。モフモフ可愛い
それなら、私より強くて経験豊富そうな彼に聴いてみようか…
庭に設置したフラワーゲートの手入れを始めていた、アルカナハート・アルマのアヴェルスに問い掛けてみる
「それを聴いて、キミはどうするのかナ?」
珍しく、目線を合わせないまま返事をされてしまった
何だろう…心なしかいつもより言葉が固かった気がする
「んー 何をするか、じゃなくてただ知りたかっただけなんだよね」
「うんうん」
「私は、メセチナじゃないけど知らない事が多過ぎる」
「だろうね~」
「でもさ、知ったらキミ。やるつもりなんじゃない?
『転生』を」
「…」
アウラ程ではないにしても、彼も一緒の時間が長くなっている
考え無しに目の前の事柄に体当たりで行ってしまう、そんな私の普段の行動を確かめている様だった
「流石に今回はさっぱり分からない事だもの、きっとやらないんじゃないかなー?」
これは一応本音。知った後はどうなるか分からないけれど、現段階での答えでもある
「ふ~ん…」
アヴェルスは目を細めて私を見る
彼はゲートを世話している手を止めて、いつもの調子で答えてくれた
「プリムラが知ってるよ☆」
*
「で、ご主人」
「ハイハイ?」
「ぷりむらはあんないしかしてないぞ!」
「だねぇ。結局転生って何ぞや?って感じだわー☆」
妖精のプリムラ
彼女には道に迷った時や困った時に案内とかアドバイスを貰ってる
今回は転生について聴いてみたんだけど…「ノーザンプロムナードで人探ししよう!」と言われていつもの石畳を歩いていた
青い色で統一された町並みは、寒々しく感じるものの佇まいが静かで綺麗。それは今日も変わっていない
ただ一つ。目の前に変な生き物が居る事を除いては
確かあれは…特徴から察するに、絶滅動物の猫だ
私も以前頭に乗ってくれる子を譲って貰ったんだけど、その子とは違ってしっぽがゆらゆらと常に揺れている
アウラ達とは違った「構いたい!」って可愛さが詰まっているなぁ、なんて思ってしまった
でも…身体が透けている気がする
私は声を掛けると、半透明の猫は独り言を呟いて何処かへと行ってしまった
「プリムラさんプリムラさん」
「何かしら?」
「あの子が探し人?」
「そうよ。さぁ、追い掛けましょう!」
プリムラに聴いたらこれである。私はちょっとだけ問い詰めた
「いやいや!転生について聴きたいんだけど」
「あの子」
「へ?」
「あの子が知ってるよ」
プリムラに問い詰めたらこれである。私はこれ以上聴くのを諦めた
と言うか、もしかしてこの子も知らないんじゃ…って気がしてきたんだけど気のせいだよね?
「んっと…
メセチナ。ちょっと良い?」
「…呼んだ?」
私は荷物の中に居る、かかしのぬいぐるみになったメセチナに声を掛ける
「これは、たらい回し」
「これは、たらい回し」
折角なのでご主人の経験を元に、新しい言葉を覚えさせる事にした
*
漸く、半透明な猫を見付けた
転生について話を聴きたい。そう思ってたからやっと何なのか判明するぞ!と喜んだのも束の間
いつもと様子が違う 女王の部屋
いつも女王が立っている筈の場所へと猫は歩き続け
居なくなってしまった
「待って!」
「あっ、ご主人!」
私は猫を、アウラは私を追い掛けて
行き着いた先は一面の 白
ノーザンの白い雪でも、クジラ岩のあの霧だらけな空間でもなく
<何も感じられない>白さ
少しだけ歩くと柱が一本立っていた
辺りを見渡せば等間隔で、同じ柱が一本、二本、三本…
反対に向かって歩けば 其処もまた同じ光景
何処までも続く同じ光景
足元は辺り一面の白、その先もずっと白。何でもない、何もない白
「あ…っ」
感覚がおかしくなりそう
いや、その前に確か転生の話を聴きたかった筈なのに
色々おかしいな。こんな事をしたかった訳じゃないんだけど
わからないとわからないがぐちゃぐちゃに混ざって怖くなってきた
帰らないと、せめて場所だけでも此処じゃない所に
私は見えていなかった
目の前もその先も 何もかも
【時間切れの為中断;】
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