この間から書き始めたお話『幼馴染語り』。
気分転換的な自分のストレス発散という名目で続きアップです。
とか言いながら、のんびり更新で8話になりました。
初々しくて、青くて、切なくて、そんなお話にしたいなぁと思っているのですが・・・w何話まで続くのやら自分でも見当つきません!
稚拙な文章なので恥ずかしいですが、よろしければ目を通していただけると嬉しいです。
タイトル『幼馴染語り』
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第8話 つながるきっかけ
朝、いつもの時間に家を出ていつもの待ち合わせ場所に着く。篤史はまた誰も来ていないソコでポケットからスマホを取り出し、無料のアプリサイトを開く。そこに書かれた説明を読みながらとりあえずインストールと書かれたボタンをタップすると、ダウンロードが始まりホーム画面にアイコンが一つ増えた。篤史はそのアイコンをタップすると、初期設定と書かれた画面が表示され何やら色々と入力するように促される。
「ンだよ・・・めんどくせーな・・・。」
篤史は何も入力することなく、ホームボタンをタップして表示を消すと、ちょうどのタイミングで拓也たちが到着した。
「篤史おはよう。あれ?僕ら遅かった?」
「んや?いつも通りだろ?俺がちょっと早かっただけだよ。」
「そっか。」
拓也は篤史の隣に並ぶ。
「あれ?私たち遅れた?あ、篤史おはよう。」
「挨拶の前になんだよそれ。たまには俺が早くても問題ねぇだろ?」
「あはは、冗談じゃないの。」
「知ってっけどよ。それより史華は?・・・って。」
篤史が晶に尋ねるのと同時に気付き、
「おい、史華遅ぇぞー。」
俯いて歩く史華に声を掛けると、史華は遠目からでも分るほど肩をビクンを震わせて顔を上げた。
「どしたん?アイツ。元気ねぇみたいだけど。」
小声で晶に聞くと、晶は小さく溜息を吐いて
「あぁ・・・ごめん。昨日ちょっと史華とケンカしちゃって。」
気まずそうに答える。篤史はいつもの事といわんばかりに
「ふうん・・・。ま、原因とかいちいち聞かねぇけど。どっちが悪いとか言いあわず仲直りしろよ?つっても二人とも変に頑固だしなぁ・・・。」
と篤史も溜息交じりで呟くと、
「ぷっ。」
拓也が篤史の横で吹き出し
「ちょ、なによぉ。べ、別に私ら頑固じゃないじゃん。」
と口を尖らせて抗議するが、すぐに表情を緩め
「・・・うん、ありがと。ごめんね、心配させて・・・今日中に仲直りするから・・・。放課後、史華と一緒に帰るね。」
「おう。気にスンナ。と、これでこの話は終わりな。」
「うん。」
二人の会話が終わるのと少し遅れて史華が到着し、
「あの・・・おはよう・・・。」
俯いたまま、ぎりぎり聞こえる程度の声で挨拶すると、篤史は史華の頭に手を乗せワシワシとお世辞にも愛らしいとは言えない少し乱暴な手つきで頭を撫で
「ンだよ、朝から辛気臭ぇな!寝坊して朝ご飯食べてねぇのか?それともまたパンツ穿き忘れてたのか?」
史華は頭を揺さぶられながら、
「ち、違うもん!朝ご飯美味しかったもん!そ、そ、それに!パンツ!・・・。」
「パンツ?」
「・・・・・・ちゃんと・・・穿いてるもん・・・。」
恥かしそうに答える史華に、篤史は手を放し
「んなら、いつもみたく笑っとけ。一日が楽しくなくなる。」
少しぶっきらぼうに言い放つと
「・・・うん。」
史華は一言頷いて返事を返す。
「あぁあ、もう・・・史華の髪ボサボサになっちゃってるじゃないの・・・史華、ちょっとこっちおいで。篤史も女の子は朝、髪セットするの大変なんだからね?」
晶が史華の手を握って引き寄せると、鞄からブラシを取り出して乱れた髪を手早く直していく。
「・・・晶ちゃん・・・あ、ありがと。」
「・・・・・・うん。」
晶は手馴れた様子で髪を整えると、
「それじゃ行きましょ。結構時間ギリギリになっちゃうかも。」
腕時計を見て言う。すると、篤史はニヤリとしながら
「そっか♪遅れそうなのか♪それじゃ学校まで走るか!」
嬉しそうに提案し、
「最後の奴は、今度おばちゃんの店でアイス奢りな♪」
そう宣言して駈け出した。
「その提案は、女子にはキツイなぁ。でも勝負なら手は抜けないね。」
そう言って拓也も篤史のあとに続き
「え?ちょ?ずるいゾ!そんなの私ら勝てるわけないじゃん!」
「ええええ!?せっかく髪直してもらったのにぃ。あっくん、やっぱ意地悪だよぉ。」
残された女子は二人手を繋いで後を追った。
いつも通りに授業は進み、昼休みを迎え幼馴染+1グループはいつものように机を寄せて弁当を広げる。
「そうだ、昨日の勉強会なんだけどな・・・。」
篤史がそう口にすると、他4人の箸がピタリと止まる。
「な、何?勉強会?が?どうしたの?」
晶がカタコトに応えると、篤史は『あぁ』と今朝の言葉を思い出し
「いや、今日も俺ちょっと用事あってさ。明日からにしねぇ?ちょうど金曜日だし。次の日休みだからみっちり勉強できるだろ?」
と晶の方を見ながら言うと、晶も篤史との今朝の会話を思い出し
「・・・うん、そうね。そうしよっか。向井くんも参加する?」
不意に振られた樹はギョッと目を開いたが、冷静に
「あぁ、俺からもお願いしたい。」
と返し、それを聞いた晶は史華の顔を覗き込んで
「あ、史華は強制参加だからね?」
と肩で史華の肩をつつくと、史華は
「あう・・・覚悟してます・・・。」
と力なく答え、周りが吹き出す。篤史はいつもの雰囲気に戻ったトコロでスマホを取り出し、今朝諦めた画面を表示させて机に置いた。
「なぁ、このアプリ使ってるやついる?」
突然の事に全員が篤史のスマホを覗き込み、
「これって、今流行ってるメッセージアプリだよね?どうしたの?急に。」
晶が不思議そうに尋ねる。
「あー・・・私、この間入れてる?って聞かれた。」
史華も同じように答える。
「いや・・・昨日、校門で呼び止められてさ・・・」
と口にした瞬間、食い気味どころが食いついて
「「誰に?」」
晶と史華が篤史を覗き込むようにして口にした。篤史は二人の息の合いように驚いて
「あ、いや、誰だった・・・かな・・・話したことも見たこともない女子だった・・・」
「「じょしぃ~?」」
うっかりと性別を口にした篤史に、幼馴染は容赦なくその単語を復唱する。
「へぇ・・・篤史、昨日炊事当番とか言ってたくせに、見ず知らずのセンパイから誘われてたんだ?」
棘しかない口調で晶の追及の手が伸び、
「あっくん、モテモテさんだね・・・そういえば、中学の時も一つ上の先輩の卒業式で・・・」
と、史華が何やらとても面倒臭い展開しか待っていないであろうルートのフラグを立てようとしたので、篤史は二人の言葉を強引に遮り
「いや、俺が言いたかったのはそういう事じゃなくてな?俺らってそういうのやってないだろ?んで、これをきっかけにやってみねぇ?って話だよ。まぁ、朝も待ち合わせてるし昼もこうやって一緒に食ってるから使うかどうかわかんねぇけど。でも、樹は帰る方向違うし、休みの日とか遊ぶときに連絡取るの楽だろ?」
ちょっと言い訳っぽい口調になってしまったが、自分が考えていた事を口にすると、全員が動きを止めてしばし考える。そして、
「そだね。ちょっとしたことで連絡取りたいときとか便利かも。」
と晶が賛成し
「ま、そだね。使うかどうかは別にしても、今までメールアドレスすら交換してないって奇跡だもんね。いいよ。」
「俺は・・・前住んでたトコで使ってたからID持ってるから・・・交換してくれるとありがたい。」
拓也も樹も賛成し、
「難しくないかな・・・私にできるかな・・・」
と史華が不安そうにする。すると、篤史は史華の額をパチンと指で弾く。
「イタッ。」
弾かれた部分を手で押さえる史華に
「ンな顔すんなって。こういう事があったときにって俺と同じ機種にしたんだろ?それにこういうのは習うより慣れろだよ。」
篤史が微笑みかけると
「うん、そだね、えへへ。」
史華は嬉しそうに頷いた。こうして、午後の予鈴までの時間にアプリをインストールしそれぞれのIDを交換した。
午後の授業を終え生徒たちは放課後の喧騒に紛れていく。篤史は晶との朝の会話から用事が出来たと昼食時に話したが、特に予定も無いため帰り道にある駄菓子屋に立ち寄った。冷蔵ケースからペットボトルのコーラを買うと、店先のベンチに腰を下ろしコーラの栓を開ける。僅かに乾いた喉を湿らせるように一口流し込むと、ポケットからスマホと小さく折り畳まれたメモを取りだした。コーラをベンチに置き、小さく丁寧に折り畳まれたメモを広げるとアルファベット数文字がメモ用紙のデザインや折り方に似合わない流れるような達筆で記されていた。篤史は昼にセットアップしたメッセージアプリを起動すると、アドレス帳部分にその文字を入力しOKをタップする。そして、メッセージ機能を呼び出すと
【こんにちは。この間メモ貰った篠田です。】
と入力すると、間を置くことなく既読フラグが立ち
【篤史くん、ありがとう。ホントに連絡貰えるなんて思ってなかった。ありがとう。】
すぐさま返事が返ってきた。篤史は慣れない手つきで画面をフリックする。
【それは、ID貰って何もしないとか逆に不安でしょう?それに俺も何でID渡されたのかちゃんと聞きたいですから。】
そう入力してOKボタンをタップすると、篤史の隣でニャアと猫の声が聞こえ、
「そうだよね、いきなり見ず知らずの女の子にID渡されたら怖いよね。」
「え?」
篤史は驚いて顔を上げると、自分のすぐ隣にスマホを持った女の子が立っていた。篤史はその場で立ち上がると
「見ず知らず・・・ではないですよね?センパイ。って、なんでここに居るンスか。」
「へぇ、覚えてくれてるんだ?」
「当たり前ですよ、告白されたの・・・アレが俺の人生初なんですから。キリタニ・・・桐谷由貴センパイ。」
篤史の口から自分の名前が紡ぎだされた瞬間、彼女は満面の笑みを浮かべ、スマホを持っていた両手を自分の後ろに回し
「はい♪お久しぶり、会いたかったんだよ?あ、まずは遅くなったけど入学おめでとう篤史君。」
そう言って見上げるように覗き込む。篤史はその無邪気とも取れる行動と笑顔に自分の顔が熱くなるのを感じ、
「ありがとうございます・・・。それで・・・あの・・・。」
ソレを相手に悟られないようにと矢継ぎ早に言葉を返すが上手く言葉にできず、思わず俯いてしまう。それを見ていた由貴はクスクスと笑い
「今日はね、昇降口で篤史君が一人で校門出て行くのが見えたから、急いで追いかけたんだけど。やっぱり男の子は歩くの早いね。それで追いつけないかなって諦めそうになったときにメッセージが届いたから・・・嬉しくなっちゃって♪」
嬉しそうに声を出す彼女に篤史は
「あ、いや、そういうこと・・・ではないこともないんですけど・・・それよりもっと・・・こう根本的な部分と言うか・・・。」
少し困った口調で返すと、由貴は突然篤史の手を取り
「うん、わかってる。でも、ほらここだと人目に付いちゃう・・・というか知り合いに逢っちゃいそうだから・・・ちょっと場所・・・変えよっか。」
「え?あ・・・え?」
そう言うと、篤史の手を引きスタスタと歩き出した。慌てた篤史はベンチの上のカバンとペットボトルと慌てて取り上げると、由貴に引かれるまま通学路から一本道を外れ、数十段ある石段を上り赤い鳥居をくぐった。
「やっぱり、お祭りの季節じゃないと人・・・全然居ないね。ほら、こっち。」
由貴は手を握ったまま、正面にある拝殿の階段に腰を下ろすと
「篤史君も。ほら座って座って。」
篤史は促されるまま隣に並ぶようにして腰を下ろした。
to be Continue...
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