
ドゥクス「本命チョコが欲しいぞ!!」

ツキオミ「まだやってたのか」

ドゥクス「当たり前だ!本命チョコだぞ!?欲しくないわけないだろうが!!」

ツキオミ「んで貰える当てはあるのかよ?」

ドゥクス「まったくないな!!」

ツキオミ「……いい加減諦めろよ」

ドゥクス「だがしかし!今年は奇策がある!!」

ツキオミ「秘策じゃなくて奇策かよ」

ドゥクス「なにやら世間では男子が女子にチョコを贈る『逆チョコ』なるものがあるらしいな!」

ツキオミ「ん?ああ……、傭兵達の間で流行ってるあれか」

ドゥクス「すなわち!俺が愛をこめて作った本命チョコを女子に送れば愛のこもった本命のお返しが帰ってくるのだ!しかも3倍だぞ3倍!!」

ツキオミ「ことごとく都合のいい考えしかしてなくて突っ込みどころ満載だな」

ドゥクス「はっ!貴様みたいなリア充にはわからんだろうな!!」

ドゥクス「というわけで早速チョコ作りだ!!」

ドゥクス「材料はまずはチョコレートだな!そしてバレンタインだからバレンタインの実だ!!」

ツキオミ「まぁここまでは一応普通だな」

ドゥクス「そして愛を籠めるためにハートストーンと思い出箱と七色秘薬を用意したぞ!!」

ツキオミ「おいこら待て」

ドゥクス「では早速調理開始だ!まずは材料全てを細かく刻む!うおおぉぉぉ!!」
ドガバギグシャァ! 
ドゥクス「次に湯煎にかけて溶かし、型に流し込む!どりゃあああ!!」
ズゴゴゴゴ 
ツキオミ「明らかに料理に似つかわしくない音がでてるぞおい」

ドゥクス「そして最後に愛をこめる!!」

ドゥクス「
美味しくなぁれ!美味しくなぁれ!!ラブちゅうにゅう(はぁと)!!!」
Эё☆〆○α∽!? 
ツキオミ「効果音が形容しがたいなにかに成り下がりやがった……」

ドゥクス「あとは冷やして固めれば完成だな!」
~30分後

ドゥクス「よし!完成したぞ!!」

ツキオミ「正直言って、こんな箱の外からでもわかる禍々しいオーラを放つ物体のことをチョコとは呼ばねーよ」

ドゥクス「箱から漏れ出すほどすさまじい愛というわけだ!!」

ツキオミ「どう見ても邪念じゃねーか!!」

ツキオミ「つーかそもそもの話、お前誰にチョコをあげるつもりだったんだ?」

ドゥクス「そんなもの、本命のお返しが欲しいという俺の真実の愛を受け止めてくれるヤツなら誰でもだ!!」

ツキオミ「どこが真実の愛だ……」

ツキオミ「まぁそれはおいとくとしてだ、俺の知るかぎりうちの女子の中にそんなカオス物体を好き好んで受け取ってくれるようなヤツはいないはいないはずだが」

ドゥクス「……なにぃ!受け取り拒否だとぅ!?」

ドゥクス「何故だ!本命チョコだぞ!!受け取り拒否するようなやつが世の中に存在するはず無いだろうが!!」

ツキオミ「いや、いるだろ普通に」

ドゥクス「だがしかし受け取ってもらえなければ本命のお返しが!!」

ツキオミ「それもだ、本命を受け取ってもらえたら本命が帰ってくる前提なのがまず間違いだな。お前の大嫌いなリア充の中には複数から本命を渡されるやつもいるが、そいつは全部の本命に本命のお返しをしてると本気で思ってるのか?」

ドゥクス「勿論だ!そういうヤツはハーレムリア充野郎と相場が決まっている!!」

ツキオミ「なんというかあれだな……。まずは現実を直視しろよ」

ドゥクス「現実だと!?バレンタインは本命で……チョコが……リア充……」

ドゥクス「
ヴェアアアアアア!!」
~30分後

ツキオミ「要するにだ、お前は本命チョコが貰えない自分を基準にして考えてたから色々おかしかったわけだ」

ドゥクス「そんな……馬鹿な……。それでは俺の完璧な計画は……」

ツキオミ「そんなものは最初からなかったんだよ。忘れろ」

ドゥクス「ならば誰も受け取ってくれないこの俺の本命チョコはどうすれば……。はっ!」

ツキオミ「どうしたいきなり」

ドゥクス「最近冒険者の間では自分用にチョコを買う『Myチョコ』なるものが流行りだしてるらしい。つまりこれは俺から俺への『本命Myチョコ』か!!」

ツキオミ「……何言ってるんだお前」

ドゥクス「安心しろツキオミ、俺はまだ本命チョコを諦めたわけではない!だが今年は『本命Myチョコ』で手をうってやろうというだけだ!!」

ツキオミ「いやそっちじゃなくてだな」

ドゥクス「では早速いただきます!……
グボァ!!?」

ツキオミ「そんな形容しがたい謎物体をいまだにチョコ扱いしてたのかというか食うなよ!?おい!生きてるか!!」

ドゥクス「ほ……本命が……。ほ……んめ……、ちょ……こ……」(ガクッ)

ツキオミ「はぁ、チョコ一つでどうしてこうなるんだよまったく……」
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